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お前は犬だ! 犬になれ!

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 桜大地、香納英人は憂鬱な朝を迎えていた。

「そっそろ解放して欲しいもんだぜ……」


 桜大地は疲れ切った顔である。


「それには賛成です……あの宇宙人とやらは君よりも不快になってくる」


 香納英人は非常に機嫌が悪そうな感じだ。


「相変わらず一言多いな」


 モニターが出現し、宇宙人よりメッセージが送られた。


(おはよう。早速だが君達にプレゼントを与えよう)


 二人は嫌な予感しかしていなかった。それを宇宙人も察したようだ。


(変なものをプレゼントする気はない。気に入らないなら返してもOKだ)


 二人の足元に四足歩行の生命体が二匹出現した。それは互いにそれぞれがよく知っている犬であった。


「ぷうた!」


「レオン!」


 ぷうたは白と黒のパートカラー色のトイプードルである。ぷうたはその場で寝転がり、桜大地に対し股間をおっぴろげて見せている。ちなみにぷうたはオスの犬である。


「相変わらず変な犬だなお前は」


 と言いながらも桜大地は嬉しそうな表情でぷうたをなでていた。ぷうたも自分が一番気に入っている主人になでられて恍惚の表情をした。


「くぅん、くぅん」


 甘えるような声を出しながら、ゴールデンレトリバーのレオンが香納英人の足下によってきた。ちなみにレオンはオスの犬である。


「すまないな、寂しい思いをさせてしまって」


 香納英人は滅多に見せない優しい表情をしていた。


「普段からそういう顔していれば印象悪くねえのによ」


「そうですか、そっくりそのまま返しますよ、と言いたいですが、君は地顔が怖いですからね」


「なにぃ! この見るからに善人な俺様の地顔が怖いだって!!




「ピーピー」


 レオンが桜大地の声に怯えていた。


「僕の犬を怖がらせないでくれないか? 君の犬よりも大分デリケートなんだよ」


「デリケートだぁ? お前の犬をうらやましく思うぜ。ぷうたなんか気に入らねえことあると俺に対し牙をむくぞ」


「飼い主に似たんでしょう、きっと」


「なるほどな、レオン君の臆病もお前譲りって訳か?」


(二人とも、愛犬自慢はその辺にしておけ。今日はお互いに愛犬を使って競い合ってもらう)


「ふむ、それは常識的な競い合いですかね?」


(恐らく常識的なことだ。今日は、二人の愛犬のしつけがどの程度なされているかで勝敗を競う)


「待った! それ俺不利だし! うちのぷうたは暴れん坊で言うことは大人しく聞かねえぞ!」


「ほう、それはそれは、勝負が楽しみだ」


「勝負成り立たねえから別のにしろ! 闘犬だったらうちの犬は負けねえぞ! こいつは小柄な割に凶暴だからな!」


(それは認めん。こちらの提示したやり方で競い合って貰う)


「……ちっ、俺の負け確定じゃねーか。はいはい、罰ゲームはなんですかい?」


(犬にちなんで敗者は勝者の犬になるのだ)


 いつのまにか、犬のコスプレセットが置いてあった。犬耳、首輪とリード、犬の尻尾つきのアナルビーズが置かれてあった。


「うわぁ……あれつけたくねえ……」


「そうですか? 多分似合うと思いますよ」


 香納英人が意地悪そうな笑みを浮かべていた。


「くそっ、こうなったら手段をえらばぬまでだ」


 マジックアームが、桜大地、香納英人にドッグフードの入った器が渡された。


(はじめに「待て」ができるかをやってもらう。こちらが良しと言うまで餌はやらぬように)


 二人がえさ箱を足下に置くと、二匹の犬が電光石火の如くダッシュしてきた。ぷうた、レオン二匹とも舌を出してごはんが食べれるのを期待している。


「まて!」


 ぷうたとレオンはお座りしたが、ぷうただけ我慢できないというのが態度に出ていた。


「わう! わう! わう!」


 早くよこせと言わんばかりにぷうたは吠えている。おまけに飼い主の桜大地に牙を見せている。


「うるせえっ! それ以上吠えるとはたきつけるぞっ!!」


 桜大地の一喝でぷうたが逃げ出した。レオンも怯えてぷるぷると震えている。


「ぷうた君どころか、人間まで怖がりますよそれでは。まるでヤクザの恐喝そのものだ」


「誰がヤクザだ!」


「そうですね、ヤクザに失礼でした。半グレと訂正させていただきます」


「お前もしつけしてやろうか?」


(「待て」に関してはレオンの勝ちである)


「待てぃ! 勝負まだついてないだろうが!」


(待てずに逃げ出したのはぷうただ。ゆえにレオンの勝ちとする)


「先に言えよそういうの!」


「ハンデを与えましょうか? 一度でも君のぷうたくんがレオンに勝ったら僕の負けということにします」


「よっしゃ! 言質はとったぞ! 男に二言なしだぞ!」


 その後、ボール拾い、他犬とのコミュニケーション、番犬ができるか等を見られたが、ことごとくぷうたの敗北であった。


(決まったな。勝者は香納英人だ。ついでにレオン用のおやつも商品としてやろう)


 香納英人はビーフジャーキーをいくつか貰い、レオンと一緒に上機嫌になっていた。一方、桜大地はかなり落ち込んでいた。


「……俺の愛犬への教育は間違っていたのか……くそ! やけだい!」


 桜大地は自主的に裸になり、犬の耳と首輪をした。


「ほれ! これでいいだろ!」


「桜君、しっぽを忘れていますよ」


 香納英人が意地悪そうな笑みで犬のしっぽ付きアナルビーズを持っていた。


「え? そんなのもあったっけ?」


「とぼけないでくださいよ」


 香納英人は素早く桜大地のお尻の穴へ、犬の尻尾付きアナルビーズを挿入した。


ずぶぶぶ


「ふぎゃああああ!! いきなりさしこむな! こちとらケツに物入れるのは初めてなんだぞ!! 痔になるだろうが!!」


「君はいつぞやか容赦なく太鼓のバチを僕のデリケートなお尻に挿入しましたよね? 忘れたとは言わせませんよ」


「ぐわぅ! ぐわぅ!」


 ぷうたがレオンに向かって怖い顔で吠えていた。


「ふむ、しつけではぷうた君はレオンに完敗ですが、飼い主への仲間意識に関してはレオンより強いかもしれないですね。ぷうた君、これは君への敬意です」


 香納英人はぷうたにビーフジャーキーを一つ与えた。ぷうたの態度は掌を返すように変わり、香納英人に懐きはじめた。


「現金な性格だ。まさに飼い主を見ているかのようだ」


「ぷうた……あとで覚えてやがれ……」 


「ほら、散歩に行きますよ」


 桜大地は嫌そうな顔をしながら四つん這いで香納英人の歩行についていった。


「カメラがなくて残念ですね。是非ともこの姿を学校の皆さんにもお見せしたい」


「俺の人生が終わるからやめろや!」


「君の人生が終わっても僕の人生に問題はないから大丈夫ですよ」


「てめえは俺が嫌いなのか?」


「嫌い? もし嫌いな人間なら僕は構う事すらしないですよ」


「ん? それってどうい」


ぐいっ


 桜大地の声を遮るように、香納英人はリードを引っ張った。


「いきなりひっぱんな! 首がもげる!」


 二人が犬の散歩プレイをしていると、電柱が突然現れた。


「……これ、やらなきゃいけないやつか?」


「……僕もあまり見たくはないですが……」


(犬は自身の匂いをつけるマーキングとしてよく電柱に尿をかけることが多いと聞く。それをやれ)


「できるかぁ! つうかなんでそんなマニアックなプレイを要求するんだ!!」


(人間の中には、排尿の姿を見て性欲を増す層も居ると聞いた。なぜその層の人間は排泄行動に興奮する性癖を持っているのか? その事に関して知るためにデータが欲しいのだ。それがだめというならかわりに、尻から排泄物の方を)


「分かった! 分かった! 出せば良いんだろ! しょんべんぐらいだしてやるよ!」


「僕は見ないようにする。さっさと出したまえ」


(香納英人、お前にも桜大地の排尿姿を見る役目がある。できぬのなら同様の罰をお前に下す)


「……分かりました。桜大地君、存分に出しなさい」


 香納英人は睨み付けるかのような表情で桜大地を見ていた。


「い、いや、そんなガンつけられると膀胱も縮むというか、出す気がなくなってな……」


ぐいん ぐいん


 突如、桜大地のお尻に挿入された犬の尻尾付きアナルビーズが動き出した。


「んあっ! ぼ、膀胱が押されて、やばい、出ちまう!」


「片脚をあげるのも忘れないように」


「分かっていらぁ!」


 桜大地は片脚をあげて、電柱に向かって放尿を開始した。


しゃああああ


 電柱が黄金水で濡らされ、こうばしい匂いと湯気も発生する。その有様を香納英人はじっくりと見ている。


ちょ ちょろ ろ


 桜大地の排尿が終わった。これで終わりかと二人は一安心した。


(あまり電柱に上手くかかっていないのでやり直しだ)


「ふぁっ!? で、できるかあ! もう出る物だしつくしたぞ!」


「なぁに、桜君簡単ですよ。こうやればまだ出ますよ」


ぐいっ ぐいっ


 香納英人は桜大地の肛門に挿入されたアナルビーズを前後に動かしはじめた。


「や、やめ、犬の尻尾を前後に動かすな! 別のが出ちまう!」


(香納英人よ。やはりお前は賢い。その方法でも良しとしよう。ちなみに言い忘れていたがアナルビーズ部分に感度上昇の薬を塗っておいた。桜大地、貴様は容易に射精に至るだろう)


「余計な気遣いしやがって! こちとらすぐに射精しちまいそうだ!!」


ぬぶ ぬぶ ぬぶ


 しだいに桜大地の挿入部から、液音混じりの音が聞こえるようになってきた。


「さぁ、いっぱい出しなさい」


ばしぃぃん


 香納英人が桜大地のお尻をおもいきり引っぱたき、、それが射精へのスイッチとなった。


びゅるる びゅるる びゅくん


 電柱の黄金水で濡れた部分に、白濁とした子種液が被さった。黄金水と子種液の双方が混じり合いなともいえぬ淫らな匂いを発していた。


「……ぷうたのおしっこの度に今日のこれを思い出すのかと思うともう散歩に行く気がうせるぜ」


「ぎゃう! ぎゃう!」


 ぷうたがそれに反論するかのように吠えていた。

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