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番外編②
ポリネシアンセックス① (3話有ります)
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※響視点
「ひーくん、俺めっっっちゃ最高なセックスした」
「……あのさ、せめてもう少し言葉選んでくれない?そんな話あんまり聞きたくないんだけど」
カフェでコーヒーを飲んでいる時にそう話を切り出したのは同僚兼親友の麗くん。ここ最近随分幸せそうにしているのは分かっていたが、そういう理由なら聞きたくなかった。
「いいじゃん。俺たちのこと知ってんのひーくんだけなんだし」
「知ってるからこそ聞きたくないんだけど。まぁ幸せそうで何より」
「話終わらそうとすんなよ。聞いてよめっちゃ良かったし詩ちゃんとしてほしいの」
「詩の名前出さないで汚れる」
「汚れねーよ!!」
話を変えようとしてもなかなか引き下がらない麗くんは、ぷんすかと怒りながらもスマホ画面を見せてきた。そこに書かれていたのは「ポリネシアンセックス」という文字。
「……何それ」
「いいから読んでみて」
「……」
スマホを受け取り、表示されている文章を読んでみると『恋人と心で繋がる幸せな日々』という見出しから始まり、その内容は5日間かけてゆっくりとお互いを確かめ合いながら愛を深めていく──というもの。
「もう少しで大型連休だし、ひーくんも詩ちゃんとしてみなよ」
ざっくりと目を通し終えたところで、うっとりしながらそう呟く麗くんは本当に幸せそうだった。
「……はいはい。教えてくれてありがとう。じゃあそろそろ仕事戻るよ」
「はぁーい。また感想聞かせて」
「やだよ」
一応忘れないように教えてもらった内容をスマホにメモした後、終始幸せそうな麗くんと共に連休前の仕事をこなしていった。
◇ ◆
「お帰りなさい!響くん!」
仕事が終わって帰宅すると、ひと足先に連休に突入している詩が笑顔で出迎えてくれた。
「ただいま」
「先にご飯にする?お風呂にする?それとも──」
「お風呂入ってくるね」
「せめて最後まで言わせてよ!!じゃあ俺も一緒に入る!!」
いつも通り騒がしい詩を可愛く思いながらも、手洗いとうがいをした後にお風呂に入る準備をした。本当に一緒に入るつもりなのか、そこまで広くない脱衣所に入ってきては鼻歌を歌いながら一緒に服を脱ぎ始めた。
出会った当初はお互い恥ずかしさを感じてはいたが、一緒に入る機会も増えたので、衣類を脱ぐのも一瞬。全てを脱ぎ終えた詩は嬉しそうに浴室へ入っていった。
(……そういえば詩はポリネシアンセックスって知ってるのかな)
服を脱ぎ終えて少し遅れて浴室へ入ると、笑顔で椅子へ座るように促された。
「響くん!いつもしてくれてるから、今日は俺が全部綺麗にする!」
言葉に甘えて椅子に腰掛けると、適温になった温かいシャワーが体を濡らす。
「今日はお仕事どうだった?俺はねー、ドラマ見たりアニメ見たりゲームしたりしてた!」
「仕事はいつも通りだったよ。明日から詩と過ごせるからそればっかり考えてた」
「俺も!!響くんとずっと一緒に過ごせるの楽しみで楽しみで堪んなくてさぁー」
俺の体を丁寧に洗いながら色んなことを話してくれる詩に相槌を打っていると、ぎゅうっと後ろから抱きついてきた。
「はーい!次は前洗うからこっち向いてね?」
「…抱きつかれてたら向けないんだけど」
「えへへ。我慢出来なかった。ね、キスしたい」
そう言われて麗くんに教えてもらったことを思い出した。
「……詩ってさ、ポリネシアンセックスって知ってる?」
「響くん、そういうの知ってんの?もしかして麗くんから聞いた?へぇーー?そういうお話しするんですかぁ?」
「ごめんそういうつもりじゃなくて」
「ふふ。うそうそ。俺響くんみたいにそこまでヤキモチ妬きじゃないから平気。うん、まぁ……知ってるよ」
最後何となく気まずそうにしながら話すのを聞いて、少しだけモヤっとした感覚が生まれる。
「……したことあるの?」
「へ?いや、違う違う。勘違いさせたならごめん。俺響くんと色んなことしたいなと思って調べてたから知ってただけ。一瞬言葉に詰まったのは…そんなことばっか調べてんのかよって思われるのが恥ずかしかったから。時間が取れたらいつかしてみたいと思ってたんだけどさ。──誘ってくれたって捉えていいんだよね?」
その言葉に安心し、くるりと体を反転させて正面から抱き寄せると、泡だらけになった詩も腕を回してくれた。
「うん…したことないから下手かもしれないけど、してみたい」
「上手だったら逆にやだ。じゃあ今日はキスもしないようにするからさ、たっぷり楽しもうね」
「…ん」
あと少しで触れそうになる唇をグッと堪えて小さく頷き、お互い少し気恥ずかしさに無言になりながらお風呂の時間を過ごした。
お風呂から出て、いつも通りテレビを見て雑談しながらの食事を終えた後、もう少し詳しく勉強してみようと内容を検索してみた。
「ねぇ、調べてるなら俺にも見せて。結構前にサラッと読んだだけだから詳しく覚えてなくてさ」
片付けを終えてソファでスマホを触っていると、ちょこんと隣に座って画面を覗き込んできた。
「うん」
見えやすいように詩の方にも画面を近付けて読み進めていった。
「一日目はキスも我慢で裸で抱き合うだけかぁ。我慢出来るかなぁ」
「二日目からはキスOKだけど深いのはだめなんだって」
「うー…暫く出来ないなら帰って来てすぐお帰りなさいのキスしてれば良かった。けど最終日最高の日にしたいから頑張ろうね」
本来なら前もって日程を決めておくのが良いようだが仕方ない。
「…じゃあそろそろお腹も落ち着いて来たし、寝る準備してお布団行く?」
「…うん」
初めてのことに挑戦するからか、詩の様子がいつもと違って少し初々しいのも堪らなく可愛い。普段は詩からくっついて来てくれるのであまり俺から行かないが、既に手を出してしまいそうになる。
なるべく顔を見ないように頷いた後、お互い早々に歯磨きを終えて寝室へと向かった。
まず、1日目は裸になって会話をして、抱き締め合って眠るだけ。緊張気味に縮こまる詩の服を脱がせてみると、何故かとても恥ずかしそうにしていてまるで初夜のよう。
──まぁ俺たちの最初はこうではなかったが。
ゆっくりと一枚ずつ脱がしていくと、詩も俺の服へと手を伸ばしてきてはお互いの衣類を取り去っていく。ベッドの傍に二人分の衣類と下着が全て置かれて、ただじっと見つめ合う。
本来自分がリードすべきなのだろうが、正直今の状況が恥ずかしくて堪らなくて照明を消そうとすると、遠慮気味に詩の手が伸びてきた。
「だ、だめだよ。響くんの体、全部見せてよ」
「……恥ずかしい」
「俺も恥ずかしいよ。けど、せっかくだから俺の体も、全部見てよ。今日はキスも出来ないし、時間はたっぷりあるんだから」
お互い向かい合って座っていたのだが、詩がのそのそと動き出して仰向けに寝転んだ。照明が明るく体を照らす中、流石に照れがあるのか詩は足を閉じて手で顔を隠した。
(……なんか新鮮かも)
1日目は基本的には肌に触れ合うのは控えてただ会話をして心の繋がりを深めていく日。
「…可愛い」
「……な、なんか恥ずかしいね…っ」
「うん、恥ずかしい。けど、いつもの詩と違うから新鮮かも」
恥ずかしそうに体を隠して視線を合わせない詩の隣へ寝転がり、腕を伸ばしてみると、詩は俺のしたいことを理解してくれて頭を乗せてくれた。
腕枕をしながら、少しずつ視線を合わせて会話をした。頬を染めながらもじもじとして話す詩は本当に初々しい。
「…いつも、すぐエッチしてたから裸でこうやって喋るだけってなんかすごく恥ずかしいね。響くん、いつも可愛いのに…なんか、近くで見ると格好良く見えちゃうから、やだ」
「やだって何。俺は格好良いって思われたいから嬉しいけどな。恥ずかしかったら無理しなくていいけど、なるべく顔見ながら話したい」
「……響くんの、顔好き。腕枕も気持ち良い。肌も綺麗で、細いところも好き。……大好き」
「性格は?」
「ん…照れ屋さんなところが好き。いつもクールに装ってるくせに、俺が話しかけるとすぐに顔が崩れて嬉しそうにしてくれるところが好き。俺のことを大切にしてくれるところが好き。響くんが幸せそうにしてたら俺も幸せになれるんだ。こんな気持ち初めてでさ。響くんのこともっともっと幸せにしたい」
恥ずかしそうにしながらもじっと視線を合わせてそう言葉を紡いでくれるのが嬉しくて、胸が温かくなった。
「…俺も詩が幸せそうに笑ってる顔が好き。いつも笑顔で出迎えてくれて、一緒に居て明るくなれて楽しい。仕事が大変な時も、家に帰ると詩が居ると思うとそれだけで頑張れる。ヤキモチ妬いて嫌な思いとか、格好悪いところとか見せるかもしれないけどこれからもずっと詩の幸せを守って行きたい」
「…ふふ。何か、お互いがお互いのこと大好きなのは分かってたけど言葉にするとなると上手く言えないし恥ずかしいね。本当は言葉に表せないくらいに好きだから。これからもずっと響くんのこと独占させてね。何処も行っちゃダメだからね襲われたりすんなよ」
「そうだね。俺も本当はもっと詩が好きだよ。詩も変な人についてっちゃダメだからね。元彼と会ってもご飯行かないこと」
「はぁい」
ぎゅっと抱きついてくれた詩の体はとてもあたたかい。腕枕をやめて同じように抱き締めると、お互いの肌の感触が気持ち良い。
「響くんあったかい。肌気持ちい」
「…俺も同じこと思った。冷えたらいけないから一応布団被ろうか」
「んー…なんか気持ち良すぎて俺寝そう。電気消してもいい?」
「ん、俺も眠くなってきたかも」
照明を消していつも二人で使っている布団を被ってもう一度抱き締め合った。布団の温もりも合わさってとても気持ち良い。
「……好きぃ」
「俺も好きだよ」
「本当はもっとしたくなるかなと思ったけど…こうやってるだけで幸せすぎる…響くん、お休みなさい」
「…ん。俺も……お休みなさい」
詩の眠そうな声につられてうとうとしながらもぎゅっと抱き寄せると、直後にスースーと寝息が聞こえてきたので俺もゆっくりと目を閉じた。
→
「ひーくん、俺めっっっちゃ最高なセックスした」
「……あのさ、せめてもう少し言葉選んでくれない?そんな話あんまり聞きたくないんだけど」
カフェでコーヒーを飲んでいる時にそう話を切り出したのは同僚兼親友の麗くん。ここ最近随分幸せそうにしているのは分かっていたが、そういう理由なら聞きたくなかった。
「いいじゃん。俺たちのこと知ってんのひーくんだけなんだし」
「知ってるからこそ聞きたくないんだけど。まぁ幸せそうで何より」
「話終わらそうとすんなよ。聞いてよめっちゃ良かったし詩ちゃんとしてほしいの」
「詩の名前出さないで汚れる」
「汚れねーよ!!」
話を変えようとしてもなかなか引き下がらない麗くんは、ぷんすかと怒りながらもスマホ画面を見せてきた。そこに書かれていたのは「ポリネシアンセックス」という文字。
「……何それ」
「いいから読んでみて」
「……」
スマホを受け取り、表示されている文章を読んでみると『恋人と心で繋がる幸せな日々』という見出しから始まり、その内容は5日間かけてゆっくりとお互いを確かめ合いながら愛を深めていく──というもの。
「もう少しで大型連休だし、ひーくんも詩ちゃんとしてみなよ」
ざっくりと目を通し終えたところで、うっとりしながらそう呟く麗くんは本当に幸せそうだった。
「……はいはい。教えてくれてありがとう。じゃあそろそろ仕事戻るよ」
「はぁーい。また感想聞かせて」
「やだよ」
一応忘れないように教えてもらった内容をスマホにメモした後、終始幸せそうな麗くんと共に連休前の仕事をこなしていった。
◇ ◆
「お帰りなさい!響くん!」
仕事が終わって帰宅すると、ひと足先に連休に突入している詩が笑顔で出迎えてくれた。
「ただいま」
「先にご飯にする?お風呂にする?それとも──」
「お風呂入ってくるね」
「せめて最後まで言わせてよ!!じゃあ俺も一緒に入る!!」
いつも通り騒がしい詩を可愛く思いながらも、手洗いとうがいをした後にお風呂に入る準備をした。本当に一緒に入るつもりなのか、そこまで広くない脱衣所に入ってきては鼻歌を歌いながら一緒に服を脱ぎ始めた。
出会った当初はお互い恥ずかしさを感じてはいたが、一緒に入る機会も増えたので、衣類を脱ぐのも一瞬。全てを脱ぎ終えた詩は嬉しそうに浴室へ入っていった。
(……そういえば詩はポリネシアンセックスって知ってるのかな)
服を脱ぎ終えて少し遅れて浴室へ入ると、笑顔で椅子へ座るように促された。
「響くん!いつもしてくれてるから、今日は俺が全部綺麗にする!」
言葉に甘えて椅子に腰掛けると、適温になった温かいシャワーが体を濡らす。
「今日はお仕事どうだった?俺はねー、ドラマ見たりアニメ見たりゲームしたりしてた!」
「仕事はいつも通りだったよ。明日から詩と過ごせるからそればっかり考えてた」
「俺も!!響くんとずっと一緒に過ごせるの楽しみで楽しみで堪んなくてさぁー」
俺の体を丁寧に洗いながら色んなことを話してくれる詩に相槌を打っていると、ぎゅうっと後ろから抱きついてきた。
「はーい!次は前洗うからこっち向いてね?」
「…抱きつかれてたら向けないんだけど」
「えへへ。我慢出来なかった。ね、キスしたい」
そう言われて麗くんに教えてもらったことを思い出した。
「……詩ってさ、ポリネシアンセックスって知ってる?」
「響くん、そういうの知ってんの?もしかして麗くんから聞いた?へぇーー?そういうお話しするんですかぁ?」
「ごめんそういうつもりじゃなくて」
「ふふ。うそうそ。俺響くんみたいにそこまでヤキモチ妬きじゃないから平気。うん、まぁ……知ってるよ」
最後何となく気まずそうにしながら話すのを聞いて、少しだけモヤっとした感覚が生まれる。
「……したことあるの?」
「へ?いや、違う違う。勘違いさせたならごめん。俺響くんと色んなことしたいなと思って調べてたから知ってただけ。一瞬言葉に詰まったのは…そんなことばっか調べてんのかよって思われるのが恥ずかしかったから。時間が取れたらいつかしてみたいと思ってたんだけどさ。──誘ってくれたって捉えていいんだよね?」
その言葉に安心し、くるりと体を反転させて正面から抱き寄せると、泡だらけになった詩も腕を回してくれた。
「うん…したことないから下手かもしれないけど、してみたい」
「上手だったら逆にやだ。じゃあ今日はキスもしないようにするからさ、たっぷり楽しもうね」
「…ん」
あと少しで触れそうになる唇をグッと堪えて小さく頷き、お互い少し気恥ずかしさに無言になりながらお風呂の時間を過ごした。
お風呂から出て、いつも通りテレビを見て雑談しながらの食事を終えた後、もう少し詳しく勉強してみようと内容を検索してみた。
「ねぇ、調べてるなら俺にも見せて。結構前にサラッと読んだだけだから詳しく覚えてなくてさ」
片付けを終えてソファでスマホを触っていると、ちょこんと隣に座って画面を覗き込んできた。
「うん」
見えやすいように詩の方にも画面を近付けて読み進めていった。
「一日目はキスも我慢で裸で抱き合うだけかぁ。我慢出来るかなぁ」
「二日目からはキスOKだけど深いのはだめなんだって」
「うー…暫く出来ないなら帰って来てすぐお帰りなさいのキスしてれば良かった。けど最終日最高の日にしたいから頑張ろうね」
本来なら前もって日程を決めておくのが良いようだが仕方ない。
「…じゃあそろそろお腹も落ち着いて来たし、寝る準備してお布団行く?」
「…うん」
初めてのことに挑戦するからか、詩の様子がいつもと違って少し初々しいのも堪らなく可愛い。普段は詩からくっついて来てくれるのであまり俺から行かないが、既に手を出してしまいそうになる。
なるべく顔を見ないように頷いた後、お互い早々に歯磨きを終えて寝室へと向かった。
まず、1日目は裸になって会話をして、抱き締め合って眠るだけ。緊張気味に縮こまる詩の服を脱がせてみると、何故かとても恥ずかしそうにしていてまるで初夜のよう。
──まぁ俺たちの最初はこうではなかったが。
ゆっくりと一枚ずつ脱がしていくと、詩も俺の服へと手を伸ばしてきてはお互いの衣類を取り去っていく。ベッドの傍に二人分の衣類と下着が全て置かれて、ただじっと見つめ合う。
本来自分がリードすべきなのだろうが、正直今の状況が恥ずかしくて堪らなくて照明を消そうとすると、遠慮気味に詩の手が伸びてきた。
「だ、だめだよ。響くんの体、全部見せてよ」
「……恥ずかしい」
「俺も恥ずかしいよ。けど、せっかくだから俺の体も、全部見てよ。今日はキスも出来ないし、時間はたっぷりあるんだから」
お互い向かい合って座っていたのだが、詩がのそのそと動き出して仰向けに寝転んだ。照明が明るく体を照らす中、流石に照れがあるのか詩は足を閉じて手で顔を隠した。
(……なんか新鮮かも)
1日目は基本的には肌に触れ合うのは控えてただ会話をして心の繋がりを深めていく日。
「…可愛い」
「……な、なんか恥ずかしいね…っ」
「うん、恥ずかしい。けど、いつもの詩と違うから新鮮かも」
恥ずかしそうに体を隠して視線を合わせない詩の隣へ寝転がり、腕を伸ばしてみると、詩は俺のしたいことを理解してくれて頭を乗せてくれた。
腕枕をしながら、少しずつ視線を合わせて会話をした。頬を染めながらもじもじとして話す詩は本当に初々しい。
「…いつも、すぐエッチしてたから裸でこうやって喋るだけってなんかすごく恥ずかしいね。響くん、いつも可愛いのに…なんか、近くで見ると格好良く見えちゃうから、やだ」
「やだって何。俺は格好良いって思われたいから嬉しいけどな。恥ずかしかったら無理しなくていいけど、なるべく顔見ながら話したい」
「……響くんの、顔好き。腕枕も気持ち良い。肌も綺麗で、細いところも好き。……大好き」
「性格は?」
「ん…照れ屋さんなところが好き。いつもクールに装ってるくせに、俺が話しかけるとすぐに顔が崩れて嬉しそうにしてくれるところが好き。俺のことを大切にしてくれるところが好き。響くんが幸せそうにしてたら俺も幸せになれるんだ。こんな気持ち初めてでさ。響くんのこともっともっと幸せにしたい」
恥ずかしそうにしながらもじっと視線を合わせてそう言葉を紡いでくれるのが嬉しくて、胸が温かくなった。
「…俺も詩が幸せそうに笑ってる顔が好き。いつも笑顔で出迎えてくれて、一緒に居て明るくなれて楽しい。仕事が大変な時も、家に帰ると詩が居ると思うとそれだけで頑張れる。ヤキモチ妬いて嫌な思いとか、格好悪いところとか見せるかもしれないけどこれからもずっと詩の幸せを守って行きたい」
「…ふふ。何か、お互いがお互いのこと大好きなのは分かってたけど言葉にするとなると上手く言えないし恥ずかしいね。本当は言葉に表せないくらいに好きだから。これからもずっと響くんのこと独占させてね。何処も行っちゃダメだからね襲われたりすんなよ」
「そうだね。俺も本当はもっと詩が好きだよ。詩も変な人についてっちゃダメだからね。元彼と会ってもご飯行かないこと」
「はぁい」
ぎゅっと抱きついてくれた詩の体はとてもあたたかい。腕枕をやめて同じように抱き締めると、お互いの肌の感触が気持ち良い。
「響くんあったかい。肌気持ちい」
「…俺も同じこと思った。冷えたらいけないから一応布団被ろうか」
「んー…なんか気持ち良すぎて俺寝そう。電気消してもいい?」
「ん、俺も眠くなってきたかも」
照明を消していつも二人で使っている布団を被ってもう一度抱き締め合った。布団の温もりも合わさってとても気持ち良い。
「……好きぃ」
「俺も好きだよ」
「本当はもっとしたくなるかなと思ったけど…こうやってるだけで幸せすぎる…響くん、お休みなさい」
「…ん。俺も……お休みなさい」
詩の眠そうな声につられてうとうとしながらもぎゅっと抱き寄せると、直後にスースーと寝息が聞こえてきたので俺もゆっくりと目を閉じた。
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