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【番外編】大不正解(東儀×神楽)
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しおりを挟む「おい…なんであんたが担当振付師で俺が現役復帰する事になってんだよ!!」
「アキのご両親もアキの現役復帰をごっつ喜んでくれててなぁ。二人で協力して必ず天下を奪い取りますって誓ってきたわ!」
そうなのだ。
この契約書にはご丁寧にも神楽の両親の署名、捺印がされ完璧な契約がなされていた。
どうやって俺の両親の個人情報を知り得たんだこいつは…。
そう考えた瞬間、竜太の優秀な側近の顔がちらつき神楽は思いっきり舌打ちをした。
そんな事はどうだっていい、今は!
取り上げた契約書を破り捨てようと手をかけ端が少し破けたところで後ろから竜太の明るい声が響く。
「その契約破棄したら弁天親慶…それか、あー…義経ゆうたか?あのちびっこいの。あれももう少し背ぇが伸びそうやからあれでもええなぁ…」
「てめぇ…!」
「かわええ教え子、自分の代わりに差し出すなんてアキはでけへんやんなぁ?」
「…」
破りかけた契約書を神楽の手から奪い返した竜太は嬉々としながらその細い身体を後ろから抱き締める。
「どうしたらええか…アキなら分かるよなぁ…?」
「…嫌だ…」
回された手を引き剥がし振り返りざまに竜太の肩を押し後退すると、神楽の予想しない行動に竜太はそれでも静観する。
「俺はあんたに関わって生きていくつもりなんかない!俺達の関係は三年前のあの日にもう完全に終わったんだ!!」
「…終わらせへん。俺にはアキしかおらん」
「やめろ!俺はもうあんたと関わり合いになるつもりなんかない!!」
「ほんまに嫌なら本気で抵抗してみぃ!俺を突き飛ばすくらいアキにとって簡単やろ?」
「っ…やめろ!…嫌だ…」
壁に押し付けられ両腕を押さえ込まれると昔の記憶…というよりも身体が勝手に熱を上げ、何度も植え付けられた甘い痺れが神楽の決意を鈍らせる。
しかしそれを振りきるように頭を振ると躊躇なく竜太の脛を蹴り上げた。
「ッ…!!あれが!アキの思いやと直感したんや…やっと俺を受け入れてくれたんやって」
「そ、んな訳っ!!」
「愛してる」
「っ…」
蹴り上げられた足を庇いつつそれでも神楽を押さえ込む力は緩まず、真剣な表情で囁かれる愛の言葉も熱量もあの頃と微塵も変わらない。力強いその瞳に神楽は絶望的な気持ちに包まれるが、それでも頭を振り絆されることを許さない。
「愛してる…気持ちは今でも変わらへん…」
「やめてくれ……やめてくれ、嫌だ…」
「愛してる、アキ…」
眼鏡を取られ囁かれ続ける呪いのような愛の台詞はあの頃と変わらない。
強引で甘い口付けに身体は溶かされ、神楽の体は壁づたいにずるずると沈んでいく。何度も啄まれる唇に拘束されていた腕は解放され意思を持って床に縋りついた。
意識を手離してしまえばその甘い痺れに毒された身体は昔のようにこの腕を竜太の首に回して…この行為を受け入れてしまいそうで怖いと神楽は奪われる意識の中で考えていた。
堕ちるな。
二人で生きる世界なんて望んではいけない…。
ようやく離れた竜太に神楽は嫌悪を見せつけるように手の甲で唇を拭い、いつもとは違う鋭い視線で射抜き唇の片端を引き上げた。
まるで麻薬のようにじわじわと身体を蝕んでいたこいつに、俺はもう逃げられない程の中毒に侵されていた。
そうは思っていても簡単に竜太の好意を受け入れられるほど単純な関係ではない。
「ほんま…そそるわ、その目ぇ…」
竜太の背中を走るゾクゾクとした加虐心の電流は今すぐに神楽を屈服させたいと征服欲を駆り立てる。
堕としたい…。
そんな竜太の心情を汲み取った神楽はさらに笑みを強くすると全く臆する事なく言い放った。
「…そんな簡単には俺は堕ちてやんねぇぜ?」
「ははっ。上等や…」
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