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【番外編】大不正解(東儀×神楽)
12*
しおりを挟む「ご両親に契約書書いてもらえへんかったらアキの事、この部屋に監禁するつもりやってなぁ…」
「…鎖まで準備してたのはそのためか。……なぁ、あんたさっき会場がどうとか言ってなかったか?」
聞き捨てならない単語はしっかりと神楽の頭に残り、訝しむ表情に竜太は満面の笑顔で答える。
「そりゃあアキと俺のフィギュアスケート復帰記者会見の会場やん!!」
いまだに涙で濡れる神楽の目元を指で拭われると、眩しい程の竜太の笑顔に神楽は二の句も告げず再び脱力してしまう。
こいつは俺との未来も、フィギュアスケーターとしての才能も信じて疑わねぇんだな…。
その事実が神楽の胸を温かく灯し、竜太に見つからないように静かに微笑むと胸に頬を擦り寄せた。
「…現役復帰なんてしたって通用するとは思えねぇぞ…」
それでも素直になれない性格は減らず口をたたくが竜太は不思議そうにきょとんとした表情を浮かべた。
「いや、通用するやろ?」
「っ、んぁ!」
神楽の上半身を起こし、ガウンを羽織っているだけの神楽の腹部をまさぐるとしなやかで強靭な筋肉は現役の頃と遜色なく、それがこの三年間の神楽の努力の証だと竜太は笑みを浮かべた。おそらく神楽は現役への未練を捨てきれず誰にも見つからないように鍛練を続けて来たのだろう。
いつかあのプログラムを自分が満足できる状態まで高められたらその時に現役復帰するつもりでいたのではないかと。
それはもちろん竜太の願いが込められた片寄った推測ではあるが、あながち間違ってはいないだろうと自信すら覗かせながら竜太は自分の体に跨がったままの体を抱き締めた。
「…なんだよ…」
「ほんま、アキはかわええなぁって改めて実感したんや。やっぱり俺はアキやないとあかんわ」
「意味わかんねぇ…」
「ところで…」
「んっ!!な、にしやがる…!!」
竜太は抱き締めたまま神楽の腰を引き寄せながら再び腹部をまさぐると神楽は体を跳ねさせた後、顔を引きつらせた。
「そんな魅力的な格好で上に乗っかられてたら我慢でけへんのやけど…」
「ふざけんなっ!この足の鎖のせいでパンツも履けねぇんだよっ!!」
見せつけるように足の鎖を持ち上げると竜太は思い出したようにズボンのポケットから鍵を取り出し鎖を外すと、指先を足首から膝へ滑らせる。
「やらしい触り方すんなよ…」
「アキをやらしい気分にさせよう思うて?」
指先はさらに上へあがり足の付け根に這わされると、神楽の体は反射的にびくりと跳ねる。
それに気を良くした竜太は目の前にある首筋に唇を押し付け舌でなぞると神楽の体は小刻みに揺れ、耐えきれず漏れた吐息がさらに竜太を昂らせる。
抵抗がないことを確かめながら竜太は神楽自身を根本から扱き上げると、逃げようと動く腰を回した腕で制止する。くちゅりと先走りが神楽の鼓膜を揺らすと諦めたように竜太の肩に体重をかけ溜め息にも似た吐息を溢した。
竜太の手は頭をもたげ始めた神楽自身を根本から先まで強弱をつけ何度も往復を繰り返し、その度に神楽は腰を震わせ、愛撫する手にねだるように自身を擦り付ける。それは意図的なのか無意識なのか、神楽でさえ分からなかったがこの行為を感受しているようでもあった。
「っ…ふぁ……ん…」
窮屈になったズボンの前をくつろげると自身を取り出し、神楽のものと合わせると水音が強くなり神楽は耳を塞ぎたくなったが、もどかしい感覚に右手を竜太の手に添えると二人の欲情を高めていく。
「ん……あっ!あ、ぁ…ゃっ…」
「痛い?」
神楽の手がゆっくりだが止まることなく二人のものを扱き続けている間に竜太の指は神楽の後腔に滑り、先走りを纏った指先を挿れると神楽は小さく頭を横に振るが竜太の声にもゆるく頭を振り答える。先日の行為のせいか、まだ柔らかいそこは竜太の指を優しく受け入れ、奥へ誘うように蠢く。
「ぁ、あ…っ!ぅあっ!!…や、ぁ…」
促されるまま奥へ進みしこりのようなものを見つけ、竜太が爪でそれを弾くようにひっかくと同時に神楽の体が仰け反り、甘く鳴く。
「…ここ、今日は優しく可愛がったるわ…」
「やっ、やめ!ああっ!!そ、こ……ゃめ…あ、あぁ…」
敏感なところを触れられる度に神楽は体を跳ねさせ自身は萎えるどころか熱を集め昂らせていく。縋るように竜太の背中に回した指が爪を立ていくつもの赤い筋をつけるが、自分の手の中で喘ぐ姿に痛みも忘れ愛おしく微笑み返す。
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