16 / 45
二章
episode 4 村長
しおりを挟む
*
玄関で靴を脱いで廊下を歩き畳の大広間に三人は通された。
そして女が座布団を三枚横一列に敷いてくれたので、星野、新田、日向の順に座った。
女は星野の向かい側に座布団を敷くと座った。
星野は緊張した様子でちらちらと女の方を見ると目が合う。そのたび星野はビクッとして赤くなった顔を下に向けた。
大広間の横の襖がスーッと開く。すると髪を綺麗に後ろの高めの位置にお団子ヘアに結んだ、紫色の着物を着た六十代くらいの女性が入って来た。
その女性は冷たい視線で星野達を案内してきた女を見るなり言った。
「琴子さん!まだ帰っていなかったの!?」
琴子と呼ばれた女は、ニコッと微笑むと言った。
「外に出たらお客様がいらしたのが見えたので大広間にお通しいたしました」
「もういい!私が来たから琴子さんは帰りなさい!」
「はい」
琴子が立ち上がろうとした時だった。大広間の襖から今度は六十代くらいの男性が入って来た。その男性は渋い茶色の着物を着て、白髪で横分けにしたお洒落な髪型は色気を漂わせているように見える。
星野達から離れた位置に向かい合わせで敷いてあった座布団の上に男性はゆっくり腰をおろす。
「俺が帰る琴子に客人を大広間に通せと頼んだのだ!琴子帰らないでいい」
琴子と呼ばれた女は再び座布団に座り直す。
六十代くらいの女性は、男性が琴子をかばって嘘を言っているのがすぐにわかる。それが面白くないのか女性は琴子を睨みながら琴子の横に座った。
そして星野達を見るなり急に男性は笑顔に変わり話しだした。
「遠くからようこそ双山村へ!双山村の村長の久遠宗一郎と言います、そして皆さんの向かい側に座っているのが妻の千代と千代の横に座るのは琴子です」
星野、新田、日向はよろしくお願いしますと言いながら頭を下げる。
「それじゃ本題に入ろうか!皆さんは双山村祭りのために双山村へ来たわけじゃなさそうだ・・・本当は何しに双山村へ来た?」
星野は少し考えてから口を開いた。
「いやいや、双山村祭りをたまたま知り、楽しそうだなって思い知人たちと来ただけですよ」
「ほぉ~‥しかし、たかが祭りを楽しみに来た客人がなぜ私の家に?」
「双山村にせっかく来たので、村長に一度お目にかかりたいと思い、挨拶をしに来たんです」
すると久遠は突然笑い出した。
「がっはっはっは!お前達もよくわからん都市伝説のような話に振り回されるタイプだな!双山村についたら最初に村長の家に行って許可を得ないと、この村で自由にできないと聞かされてきたんだろう?もう何人もそういう都市伝説を信じ取材だの動画だのって来た事か。そんなもんあるわきゃねーだろう」
探偵をやっているのに、双山村のことがかいてあった情報雑誌に騙された事に気づき、星野は悔しい気持ちになる。
「すみません・・情報雑誌に踊らされて、村長の久遠さんの家に来てしまいました」
「いいよいいよ、せっかく遠くから双山村祭りをみに来たのは確かなのだからな」
すると日向がコホン!と咳払いをして新田の腕を突っついた。
新田は日向の方に顔を向けると、小声で((片桐風子のことは?))と星野に伝えてと新田に顎で合図をした。
二人をチラッと横目で見た星野は日向の小声が聞こえた。そして自分が何をしに双山村に来たのかを思い出す。
あぐらから正座に座り直した星野は久遠の顔を見つめて言った。
「あの実は本当の事を言うと捜してる人がいるんです、その人が双山村出身だと知りこの村に来ました」
「ほぉ~で、その捜してる人とは誰だ?名前を言ってみなさい」
「片桐風子です」
「知らんな」と、考える事もなく久遠は即答だった 。すると日向が久遠に訊いた。
「簡単に知らないと言ってますけど、村長だからって村の人全員の名前を覚えているんですか?」
「ああ、覚えているとも」
久遠は笑顔で言ったが目が笑っていなかった。
その目が笑っていないことに恐怖を感じ、日向は思わず目を逸らした。
玄関で靴を脱いで廊下を歩き畳の大広間に三人は通された。
そして女が座布団を三枚横一列に敷いてくれたので、星野、新田、日向の順に座った。
女は星野の向かい側に座布団を敷くと座った。
星野は緊張した様子でちらちらと女の方を見ると目が合う。そのたび星野はビクッとして赤くなった顔を下に向けた。
大広間の横の襖がスーッと開く。すると髪を綺麗に後ろの高めの位置にお団子ヘアに結んだ、紫色の着物を着た六十代くらいの女性が入って来た。
その女性は冷たい視線で星野達を案内してきた女を見るなり言った。
「琴子さん!まだ帰っていなかったの!?」
琴子と呼ばれた女は、ニコッと微笑むと言った。
「外に出たらお客様がいらしたのが見えたので大広間にお通しいたしました」
「もういい!私が来たから琴子さんは帰りなさい!」
「はい」
琴子が立ち上がろうとした時だった。大広間の襖から今度は六十代くらいの男性が入って来た。その男性は渋い茶色の着物を着て、白髪で横分けにしたお洒落な髪型は色気を漂わせているように見える。
星野達から離れた位置に向かい合わせで敷いてあった座布団の上に男性はゆっくり腰をおろす。
「俺が帰る琴子に客人を大広間に通せと頼んだのだ!琴子帰らないでいい」
琴子と呼ばれた女は再び座布団に座り直す。
六十代くらいの女性は、男性が琴子をかばって嘘を言っているのがすぐにわかる。それが面白くないのか女性は琴子を睨みながら琴子の横に座った。
そして星野達を見るなり急に男性は笑顔に変わり話しだした。
「遠くからようこそ双山村へ!双山村の村長の久遠宗一郎と言います、そして皆さんの向かい側に座っているのが妻の千代と千代の横に座るのは琴子です」
星野、新田、日向はよろしくお願いしますと言いながら頭を下げる。
「それじゃ本題に入ろうか!皆さんは双山村祭りのために双山村へ来たわけじゃなさそうだ・・・本当は何しに双山村へ来た?」
星野は少し考えてから口を開いた。
「いやいや、双山村祭りをたまたま知り、楽しそうだなって思い知人たちと来ただけですよ」
「ほぉ~‥しかし、たかが祭りを楽しみに来た客人がなぜ私の家に?」
「双山村にせっかく来たので、村長に一度お目にかかりたいと思い、挨拶をしに来たんです」
すると久遠は突然笑い出した。
「がっはっはっは!お前達もよくわからん都市伝説のような話に振り回されるタイプだな!双山村についたら最初に村長の家に行って許可を得ないと、この村で自由にできないと聞かされてきたんだろう?もう何人もそういう都市伝説を信じ取材だの動画だのって来た事か。そんなもんあるわきゃねーだろう」
探偵をやっているのに、双山村のことがかいてあった情報雑誌に騙された事に気づき、星野は悔しい気持ちになる。
「すみません・・情報雑誌に踊らされて、村長の久遠さんの家に来てしまいました」
「いいよいいよ、せっかく遠くから双山村祭りをみに来たのは確かなのだからな」
すると日向がコホン!と咳払いをして新田の腕を突っついた。
新田は日向の方に顔を向けると、小声で((片桐風子のことは?))と星野に伝えてと新田に顎で合図をした。
二人をチラッと横目で見た星野は日向の小声が聞こえた。そして自分が何をしに双山村に来たのかを思い出す。
あぐらから正座に座り直した星野は久遠の顔を見つめて言った。
「あの実は本当の事を言うと捜してる人がいるんです、その人が双山村出身だと知りこの村に来ました」
「ほぉ~で、その捜してる人とは誰だ?名前を言ってみなさい」
「片桐風子です」
「知らんな」と、考える事もなく久遠は即答だった 。すると日向が久遠に訊いた。
「簡単に知らないと言ってますけど、村長だからって村の人全員の名前を覚えているんですか?」
「ああ、覚えているとも」
久遠は笑顔で言ったが目が笑っていなかった。
その目が笑っていないことに恐怖を感じ、日向は思わず目を逸らした。
2
あなたにおすすめの小説
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
嘘コクのゆくえ
キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。
生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。
そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。
アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで……
次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは……
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。
作者は元サヤハピエン主義を掲げております。
アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
(完結)姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……
泉花ゆき
恋愛
蘭珠(ランジュ)が名門である凌家の嫡男、涼珩(リャンハン)に嫁いで一年ほど経ったころ。
一向に後継ぎが出来ないことに業を煮やした夫の母親は、どこからか第二夫人として一人の女性を屋敷へ連れてくる。
やがてその女が「子が出来た」と告げると、姑も夫も大喜び。
蘭珠の実家が商いで傾いたことを口実に、彼女には離縁が言い渡される。
……けれど、蘭珠は知っていた。
夫の涼珩が、「男女が同じ寝台で眠るだけで子ができる」と本気で信じているほど無知だということを。
どんなトラブルが待っているか分からないし、離縁は望むところ。
嫁ぐ時に用意した大量の持参金は、もちろん引き上げさせていただきます。
※ゆるゆる設定です
※以前上げていた作の設定、展開を改稿しています
あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜
南 鈴紀
キャラ文芸
妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。
しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。
掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。
五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。
妖×家族の心温まる和風ファンタジー。
幼馴染か私か ~あなたが復縁をお望みなんて驚きですわ~
希猫 ゆうみ
恋愛
ダウエル伯爵家の令嬢レイチェルはコルボーン伯爵家の令息マシューに婚約の延期を言い渡される。
離婚した幼馴染、ブロードベント伯爵家の出戻り令嬢ハリエットの傍に居てあげたいらしい。
反発したレイチェルはその場で婚約を破棄された。
しかも「解放してあげるよ」と何故か上から目線で……
傷付き怒り狂ったレイチェルだったが、評判を聞きつけたメラン伯爵夫人グレース妃から侍女としてのスカウトが舞い込んだ。
メラン伯爵、それは王弟クリストファー殿下である。
伯爵家と言えど王族、格が違う。つまりは王弟妃の侍女だ。
新しい求婚を待つより名誉ある職を選んだレイチェル。
しかし順風満帆な人生を歩み出したレイチェルのもとに『幼馴染思いの優しい(笑止)』マシューが復縁を希望してきて……
【誤字修正のお知らせ】
変換ミスにより重大な誤字がありましたので以下の通り修正いたしました。
ご報告いただきました読者様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
「(誤)主席」→「(正)首席」
婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ
青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。
今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。
婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。
その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。
実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる