25 / 45
二章
episode 13 まるで別人
しおりを挟む
*
翌日、十時頃に旅館を出た三人は双山村の事を調べるため双山村郷土資料館に向っていた。
星野は車を走らせていると、双山村祭りのポスターが至る所に貼られている。
「昨日こんなに双山村祭りのポスター貼ってたか?気づかなかったな」
「この村の人達が祭りをやろうがどうしようが、双山村名物が水だと知った僕にはもう関係ない」
「まだ水のこと言ってるのかよ、根に持つ男だな!そう思わない?日向ちゃん!」
後部座席に座る日向は上の空で、新田と星野の話など聞いていなかった。
「お~い日向ちゃん大丈夫かい?どっか具合でも悪いなら遠慮しないで言ってくれ」
「・・・・・」
やはり日向はボーッとしていて、返事をしない。
助手席に座る新田に、星野は小声で話しかけた。
「おい新田!日向ちゃんどうしたんだ?様子が変だぞ」
いつも日向を近くで見ている新田は、様子が変だと、旅館を出るときから気づいていた。
「石川さん、なにかあったの?」
「・・・・・・」
「石川さん!!」
日向はビクッと驚く。
「え!?あっ、すいません聞いてませんでした、なんですか?」
「いや、石川さん朝からボーッとしてるけどなにかあった?」
日向は夜中の出来事を、一人で考えるより二人に話した方がいいと思い、口を開こうとした。その時星野が急に嬉しげな声で言った。
「あそこ歩いてるの琴子さんじゃねーか!?」
向かい側の歩道を琴子と一緒に男性が歩いている。車を停車してハザードランプを点灯させた。運転席の窓をあけると星野は琴子に向って話しかけた。
「琴子さん!昨日はどうも!」
琴子は星野の顔を見るなり顔を背ける。
「あれ?…あの~昨日村長の家の中に案内してもらった星野です!」
星野の言葉を無視し、琴子はスタスタと歩いて行く。昨日見たあの美しい琴子とはまるで別人のようだ。
琴子と歩く男性は星野達の車の方を見ると会釈をした。
その男性の顔を見た星野は驚いて言った。
「あの男って昨日、俺達の部屋に来た宇佐美とかっていうスタッフじゃねーか!?」
日向も琴子と一緒にいる男性を見て「あっ!動画の人」と言った。
「動画の人?」と、新田と星野は、後部座席に座っている日向に向かって言った。
すると日向は頷いた。
**
双山村郷土資料館はこの先一キロメートルと書いてある看板に従って、星野は車を走らせた。すると、軽量鉄骨造で平屋建ての二十坪程度の双山村郷土資料館が見えて来た。
星野はそのまま双山村郷土資料館専用駐車場に車をとめた。三人は車から降りると双山村郷土資料館の中に入る。すると、受付の男性が箒で床を掃除しながら、こちらに気づいた。
「おはようございます、ごゆっくりご覧下さい」
三人は軽く頭を下げる。
星野は観光客が一人も郷土資料館にいなかった事を不思議に思い、掃除をしている受付の男性に訊いた。
「あの~この村って観光客が来ているわりに、双山村郷土資料館にあまり立ち寄ったりはしないんですか?」
「観光客?この村に観光客なんてめったに来ないですよ」
「いやでも、この村は輝水という水が有名で、観光客が訪れると聞きましたけど」
すると受付の男性は外をキョロキョロ見まわし、誰もいない事を確認すると手招きをしてきたので、星野は男性に近づいた。
「実は俺、地方の役場からこの村の役場に一年前に異動してきて、双山村郷土資料館の受付をしているんだけど、ほとんどこの資料館に来る観光客なんて見たことがない。あなたが言う観光客っていうのは、それは観光客ではなくあのお方と呼ばれる不思議な力をもった者が、悩みや辛さがなくなり、魂、心、精神が幸福に満たされる力を与えた【輝水の水】を買い求めに来ている人達のことだよ…でもそのことを知っていて、あなた達もこの村に来たんだろう?」
星野は受付の役場の男性の話を聞いて、思い出した事があった。昨日、村長の久遠もあのお方のおかげと言っていた。
「あの、一つ訊いてもいいですか?あのお方って誰なんです?」
すると役場の受付の男性は驚いた表情に変わった。
翌日、十時頃に旅館を出た三人は双山村の事を調べるため双山村郷土資料館に向っていた。
星野は車を走らせていると、双山村祭りのポスターが至る所に貼られている。
「昨日こんなに双山村祭りのポスター貼ってたか?気づかなかったな」
「この村の人達が祭りをやろうがどうしようが、双山村名物が水だと知った僕にはもう関係ない」
「まだ水のこと言ってるのかよ、根に持つ男だな!そう思わない?日向ちゃん!」
後部座席に座る日向は上の空で、新田と星野の話など聞いていなかった。
「お~い日向ちゃん大丈夫かい?どっか具合でも悪いなら遠慮しないで言ってくれ」
「・・・・・」
やはり日向はボーッとしていて、返事をしない。
助手席に座る新田に、星野は小声で話しかけた。
「おい新田!日向ちゃんどうしたんだ?様子が変だぞ」
いつも日向を近くで見ている新田は、様子が変だと、旅館を出るときから気づいていた。
「石川さん、なにかあったの?」
「・・・・・・」
「石川さん!!」
日向はビクッと驚く。
「え!?あっ、すいません聞いてませんでした、なんですか?」
「いや、石川さん朝からボーッとしてるけどなにかあった?」
日向は夜中の出来事を、一人で考えるより二人に話した方がいいと思い、口を開こうとした。その時星野が急に嬉しげな声で言った。
「あそこ歩いてるの琴子さんじゃねーか!?」
向かい側の歩道を琴子と一緒に男性が歩いている。車を停車してハザードランプを点灯させた。運転席の窓をあけると星野は琴子に向って話しかけた。
「琴子さん!昨日はどうも!」
琴子は星野の顔を見るなり顔を背ける。
「あれ?…あの~昨日村長の家の中に案内してもらった星野です!」
星野の言葉を無視し、琴子はスタスタと歩いて行く。昨日見たあの美しい琴子とはまるで別人のようだ。
琴子と歩く男性は星野達の車の方を見ると会釈をした。
その男性の顔を見た星野は驚いて言った。
「あの男って昨日、俺達の部屋に来た宇佐美とかっていうスタッフじゃねーか!?」
日向も琴子と一緒にいる男性を見て「あっ!動画の人」と言った。
「動画の人?」と、新田と星野は、後部座席に座っている日向に向かって言った。
すると日向は頷いた。
**
双山村郷土資料館はこの先一キロメートルと書いてある看板に従って、星野は車を走らせた。すると、軽量鉄骨造で平屋建ての二十坪程度の双山村郷土資料館が見えて来た。
星野はそのまま双山村郷土資料館専用駐車場に車をとめた。三人は車から降りると双山村郷土資料館の中に入る。すると、受付の男性が箒で床を掃除しながら、こちらに気づいた。
「おはようございます、ごゆっくりご覧下さい」
三人は軽く頭を下げる。
星野は観光客が一人も郷土資料館にいなかった事を不思議に思い、掃除をしている受付の男性に訊いた。
「あの~この村って観光客が来ているわりに、双山村郷土資料館にあまり立ち寄ったりはしないんですか?」
「観光客?この村に観光客なんてめったに来ないですよ」
「いやでも、この村は輝水という水が有名で、観光客が訪れると聞きましたけど」
すると受付の男性は外をキョロキョロ見まわし、誰もいない事を確認すると手招きをしてきたので、星野は男性に近づいた。
「実は俺、地方の役場からこの村の役場に一年前に異動してきて、双山村郷土資料館の受付をしているんだけど、ほとんどこの資料館に来る観光客なんて見たことがない。あなたが言う観光客っていうのは、それは観光客ではなくあのお方と呼ばれる不思議な力をもった者が、悩みや辛さがなくなり、魂、心、精神が幸福に満たされる力を与えた【輝水の水】を買い求めに来ている人達のことだよ…でもそのことを知っていて、あなた達もこの村に来たんだろう?」
星野は受付の役場の男性の話を聞いて、思い出した事があった。昨日、村長の久遠もあのお方のおかげと言っていた。
「あの、一つ訊いてもいいですか?あのお方って誰なんです?」
すると役場の受付の男性は驚いた表情に変わった。
2
あなたにおすすめの小説
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
嘘コクのゆくえ
キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。
生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。
そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。
アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで……
次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは……
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。
作者は元サヤハピエン主義を掲げております。
アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
(完結)姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……
泉花ゆき
恋愛
蘭珠(ランジュ)が名門である凌家の嫡男、涼珩(リャンハン)に嫁いで一年ほど経ったころ。
一向に後継ぎが出来ないことに業を煮やした夫の母親は、どこからか第二夫人として一人の女性を屋敷へ連れてくる。
やがてその女が「子が出来た」と告げると、姑も夫も大喜び。
蘭珠の実家が商いで傾いたことを口実に、彼女には離縁が言い渡される。
……けれど、蘭珠は知っていた。
夫の涼珩が、「男女が同じ寝台で眠るだけで子ができる」と本気で信じているほど無知だということを。
どんなトラブルが待っているか分からないし、離縁は望むところ。
嫁ぐ時に用意した大量の持参金は、もちろん引き上げさせていただきます。
※ゆるゆる設定です
※以前上げていた作の設定、展開を改稿しています
あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜
南 鈴紀
キャラ文芸
妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。
しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。
掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。
五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。
妖×家族の心温まる和風ファンタジー。
幼馴染か私か ~あなたが復縁をお望みなんて驚きですわ~
希猫 ゆうみ
恋愛
ダウエル伯爵家の令嬢レイチェルはコルボーン伯爵家の令息マシューに婚約の延期を言い渡される。
離婚した幼馴染、ブロードベント伯爵家の出戻り令嬢ハリエットの傍に居てあげたいらしい。
反発したレイチェルはその場で婚約を破棄された。
しかも「解放してあげるよ」と何故か上から目線で……
傷付き怒り狂ったレイチェルだったが、評判を聞きつけたメラン伯爵夫人グレース妃から侍女としてのスカウトが舞い込んだ。
メラン伯爵、それは王弟クリストファー殿下である。
伯爵家と言えど王族、格が違う。つまりは王弟妃の侍女だ。
新しい求婚を待つより名誉ある職を選んだレイチェル。
しかし順風満帆な人生を歩み出したレイチェルのもとに『幼馴染思いの優しい(笑止)』マシューが復縁を希望してきて……
【誤字修正のお知らせ】
変換ミスにより重大な誤字がありましたので以下の通り修正いたしました。
ご報告いただきました読者様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
「(誤)主席」→「(正)首席」
婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ
青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。
今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。
婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。
その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。
実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる