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二章
episode 15 集合写真
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星野が受付の男性と話し始めたので、新田と日向は先に双山村郷土資料館を見て回ることにした。
中に入った二人は、順路に従ってゆっくりと歩き出す。
最初の展示室には、畳の上に置かれた火鉢があった。中には灰が残り、今にも煙が立ち上りそうな気配を漂わせている。
展示室の奥へ進むと、隣の部屋へとつながる開口部があった。そこには、かつて村で使われていた農具や生活道具が並んでいた。
木製の桶、手回しの脱穀機、煤けたランプなどが置かれ、どれもかつての暮らしを語っているようだった。
壁際には、和紙に墨で描かれた双山村の古地図が掲げられていた。今はもう存在しない小道や、かすれて読めなくなった文字のようなものも記されていた。
ふと、古地図の横の壁に掛けられた一枚の白黒の集合写真が目に入った。
色褪せたその写真の中で、村人たちは誰一人として笑っていなかった。
整列したまま、無表情でこちらをじっと見つめている。
写真の下には、村人たちの名前が記されていた。
新田は、写真と人物たちの名前を一人ひとり見ていた。すると、その中に「久遠小春」という名前を見つけた。
その名前に、聞き覚えがあった。
「久遠小春って、伝説の話に出来てきた、最初に生まれた女の子の名前じゃないか?そうか……久遠家は小春だけが生きていたのか。ん?ってことは、村長の久遠は――久遠小春の子孫ってことになるのか?うーん……それにしても、伝説に出てきた人物の名前が本当に存在していたなんて。成宮君たちは、ミステリーの裏スポットや裏話を探すのが、よっぽど上手なんだな……感心してしまうよ」
すると、横で一緒に写真を見ていた日向が、一人の名前を指して言った。
「先生、この一番最後の方の苗字は、何て読むんですか?」
「その苗字か、確か~……あっ!躑躅森《つつじもり》って読むんだよ」
「へぇ~、珍しい苗字ですね。でも、どこかで聞いたことがあるような……
それに、この“つ、つつじもり?”って方だけ、説明が書かれてます」
「本当だ」
日向は、真剣な表情で説明文を読み始めた。
新田は隣で腕を組み、その横顔をちらりと見て、静かに読み終わるのを待った。
説明を読み終えた日向は、隣に立つ新田の方を向き、ゆっくりと口を開いた。
「双双山にいた人たちを、双山山に拠点を移そうって最初に言い出したのが、躑躅森だったって書かれてますね。しかもそのあとに『躑躅森の力について』って見出しがあって、その下に……なんか、謎めいた言葉が書かれてます。
『天上様、どうかこの大雨を止ませて下さい。』
躑躅森が天に向かって言ったとたん、雨が止んだ――って。
……あっ、思い出しました!彰人から聞いた伝説の話に、躑躅森って名前の人が出てきましたよね!
たしか、大岩の前で“雨を止ませてください”みたいなことを言ったって、彰人が言ってませんでしたっけ?
……やっぱり、伝説って本当だったんですかね?」
新田は首を傾け「……躑躅森、か」とぽつりと言った。
星野が受付の男性と話し始めたので、新田と日向は先に双山村郷土資料館を見て回ることにした。
中に入った二人は、順路に従ってゆっくりと歩き出す。
最初の展示室には、畳の上に置かれた火鉢があった。中には灰が残り、今にも煙が立ち上りそうな気配を漂わせている。
展示室の奥へ進むと、隣の部屋へとつながる開口部があった。そこには、かつて村で使われていた農具や生活道具が並んでいた。
木製の桶、手回しの脱穀機、煤けたランプなどが置かれ、どれもかつての暮らしを語っているようだった。
壁際には、和紙に墨で描かれた双山村の古地図が掲げられていた。今はもう存在しない小道や、かすれて読めなくなった文字のようなものも記されていた。
ふと、古地図の横の壁に掛けられた一枚の白黒の集合写真が目に入った。
色褪せたその写真の中で、村人たちは誰一人として笑っていなかった。
整列したまま、無表情でこちらをじっと見つめている。
写真の下には、村人たちの名前が記されていた。
新田は、写真と人物たちの名前を一人ひとり見ていた。すると、その中に「久遠小春」という名前を見つけた。
その名前に、聞き覚えがあった。
「久遠小春って、伝説の話に出来てきた、最初に生まれた女の子の名前じゃないか?そうか……久遠家は小春だけが生きていたのか。ん?ってことは、村長の久遠は――久遠小春の子孫ってことになるのか?うーん……それにしても、伝説に出てきた人物の名前が本当に存在していたなんて。成宮君たちは、ミステリーの裏スポットや裏話を探すのが、よっぽど上手なんだな……感心してしまうよ」
すると、横で一緒に写真を見ていた日向が、一人の名前を指して言った。
「先生、この一番最後の方の苗字は、何て読むんですか?」
「その苗字か、確か~……あっ!躑躅森《つつじもり》って読むんだよ」
「へぇ~、珍しい苗字ですね。でも、どこかで聞いたことがあるような……
それに、この“つ、つつじもり?”って方だけ、説明が書かれてます」
「本当だ」
日向は、真剣な表情で説明文を読み始めた。
新田は隣で腕を組み、その横顔をちらりと見て、静かに読み終わるのを待った。
説明を読み終えた日向は、隣に立つ新田の方を向き、ゆっくりと口を開いた。
「双双山にいた人たちを、双山山に拠点を移そうって最初に言い出したのが、躑躅森だったって書かれてますね。しかもそのあとに『躑躅森の力について』って見出しがあって、その下に……なんか、謎めいた言葉が書かれてます。
『天上様、どうかこの大雨を止ませて下さい。』
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……あっ、思い出しました!彰人から聞いた伝説の話に、躑躅森って名前の人が出てきましたよね!
たしか、大岩の前で“雨を止ませてください”みたいなことを言ったって、彰人が言ってませんでしたっけ?
……やっぱり、伝説って本当だったんですかね?」
新田は首を傾け「……躑躅森、か」とぽつりと言った。
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