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二章
episode 16 んなわけあるかよ!
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*
双山村郷土資料館を出た三人は、車で双山村の端にある橋へ向っていた。
運転席の星野は、助手席の新田と後部座席の日向に、郷土資料館の受付にいた役場の男から聞いた話をした。
「じゃあ、役場の男性の奥さんは、その“輝水天上天下“”っていう宗教施設にいるってことなんだね?」
星野は煙草を取り出しかけたが、後部座席の日向の顔をちらりと見て、やめた。
「役場の男が言うには、そういうことだな。奥さんは帰りたくても帰ってこれないのか、それとも自分の意思で帰ってこないのか……それは分からんが」
日向は少し怯えた声で「なんだか、こわい」とつぶやいた。
新田は、日向と郷土資料館で見た集合写真に写っていた久遠小春のことや、“躑躅森”という不思議な力を持つ者がいたことを星野に話した。
それを聞いた星野はハンドルを強く握りしめて言った。
「その集合写真と、躑躅森の力――『天上様、どうかこの大雨を止ませてください』って、躑躅森が天に向かって言ったとたん、雨が止んだって書いてあったんだろう?
その言葉、役場の男が話してた“輝水天上天下”って宗教団体の教祖が、何でもない水を“輝水の水”に変える霊能力と、なんとなくそっくりじゃねーか?」
新田と日向は、星野の言葉に大きく頷いた。そして新田は一呼吸おいて、口を開いた。
「……でも、最初は双山村の人たちも霊能力なんて信じてなかったんだよね?それが、ある出来事があって信じるようになったんだろう?」
星野はチラリと新田の顔を見て「ああ」と短く返事をし、再び前を向いて運転を続けた。
「その“ある出来事”って……本当に霊能力を見せたとか……なのかな?」
星野は大笑いしながら「んなわけあるかよ!」と言った。
すると後部座席に座る日向が二人に言った。
「でも、本当に霊能力があるから双山村の人たちを信じさせて、輝水天上天下とかいう宗教施設を作れたんじゃないんですか?……もしそれが本当なら、これから私たちが向かう先って、双双山のその輝水天上天下なんですよね?さすがに、怖くないですか?」
星野は日向に「取って食われるわけじゃないし、消されたりするわけじゃないんだから」と冗談交じりに言った。
すると、青白い顔の新田が、星野に向って言った。
「冗談じゃないよ!やっぱりおかしいって!露天風呂で星野が会った男性の大事な人も、星野が探してる片桐風子だって、もう消されているかも……うわ、帰りたい……」
「消されたんじゃなくて、自分から行ったのかもしれないだろ!?役場の男の奥さんは輝水天上天下に行ったきり戻ってこないって言ってたんだから。いいか?第一、人間を本当に“消せる”力があるなら、わざわざこんな村に引きこもってるか?俺なら、もっと他に金儲けの方法なんていくらでもあるって思うね!」
日向はあっさりと「確かに!」と頷いた。
だが、新田は心の中で思っていた。――本当に、そんな単純な話なのか?
双山村郷土資料館を出た三人は、車で双山村の端にある橋へ向っていた。
運転席の星野は、助手席の新田と後部座席の日向に、郷土資料館の受付にいた役場の男から聞いた話をした。
「じゃあ、役場の男性の奥さんは、その“輝水天上天下“”っていう宗教施設にいるってことなんだね?」
星野は煙草を取り出しかけたが、後部座席の日向の顔をちらりと見て、やめた。
「役場の男が言うには、そういうことだな。奥さんは帰りたくても帰ってこれないのか、それとも自分の意思で帰ってこないのか……それは分からんが」
日向は少し怯えた声で「なんだか、こわい」とつぶやいた。
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それを聞いた星野はハンドルを強く握りしめて言った。
「その集合写真と、躑躅森の力――『天上様、どうかこの大雨を止ませてください』って、躑躅森が天に向かって言ったとたん、雨が止んだって書いてあったんだろう?
その言葉、役場の男が話してた“輝水天上天下”って宗教団体の教祖が、何でもない水を“輝水の水”に変える霊能力と、なんとなくそっくりじゃねーか?」
新田と日向は、星野の言葉に大きく頷いた。そして新田は一呼吸おいて、口を開いた。
「……でも、最初は双山村の人たちも霊能力なんて信じてなかったんだよね?それが、ある出来事があって信じるようになったんだろう?」
星野はチラリと新田の顔を見て「ああ」と短く返事をし、再び前を向いて運転を続けた。
「その“ある出来事”って……本当に霊能力を見せたとか……なのかな?」
星野は大笑いしながら「んなわけあるかよ!」と言った。
すると後部座席に座る日向が二人に言った。
「でも、本当に霊能力があるから双山村の人たちを信じさせて、輝水天上天下とかいう宗教施設を作れたんじゃないんですか?……もしそれが本当なら、これから私たちが向かう先って、双双山のその輝水天上天下なんですよね?さすがに、怖くないですか?」
星野は日向に「取って食われるわけじゃないし、消されたりするわけじゃないんだから」と冗談交じりに言った。
すると、青白い顔の新田が、星野に向って言った。
「冗談じゃないよ!やっぱりおかしいって!露天風呂で星野が会った男性の大事な人も、星野が探してる片桐風子だって、もう消されているかも……うわ、帰りたい……」
「消されたんじゃなくて、自分から行ったのかもしれないだろ!?役場の男の奥さんは輝水天上天下に行ったきり戻ってこないって言ってたんだから。いいか?第一、人間を本当に“消せる”力があるなら、わざわざこんな村に引きこもってるか?俺なら、もっと他に金儲けの方法なんていくらでもあるって思うね!」
日向はあっさりと「確かに!」と頷いた。
だが、新田は心の中で思っていた。――本当に、そんな単純な話なのか?
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