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三章
episode 13 計画の始まり
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懐中電灯の光が揺れ、祥太郎は足元を照らしながら風子の手を握っていた。風子はその後ろを歩き、静かな夜の中、二人は双双山へ続く橋を渡っていく。
ふと祥太郎が振り返ると、風子は顔を真っ赤にして、嬉しそうに、でもどこか恥ずかしげに微笑んでいる。
その笑顔を見た瞬間、琴子の面影が重なり、祥太郎の胸にあの日の記憶がよみがえる。
――本当は、琴子に肝試しのことなんて一言も言っていない。旅館の手伝いで琴子が女将に連れていかれた、なんて話も祥太郎が作った嘘だ。
あの日、琴子は夏祭りには行かず、久遠家から飛び出していった。祥太郎は帰り際、風子に「琴子が急に具合が悪くなったからごめん!帰る」とだけ伝え、琴子の後を追って家に戻った。
その夜、琴子は一度も部屋から出てこなかった。祥太郎の部屋には、琴子の小さなすすり泣く声だけが聞こえていた。
けれど翌朝、琴子は何事もなかったかのように部屋を出て、風邪をひいてる女将に「おはよう、体調は大丈夫?」と声をかけていた。
でも祥太郎にはわかっていた。小さい頃から見てきた琴子だからこそ、女将に心配をかけたくない一心で、平気なふりをしているのだと。
だから祥太郎も、何も言わず、いつも通りの日常を演じた。
数日後。
祥太郎は自転車で、輝水天上天下宗教団体の施設近くにある、いつもの洞窟へ向かった。そこには、いつものように風真が立っていた。凛子と祥太郎を待っていたのだ。
祥太郎は、風真の祖父が琴子にしたことを許せなかった。
自転車を降りると、風真に駆け寄り胸ぐらを掴んだ。
「お前の爺さんが俺の妹に何したと思う!?」
「ちょっと待て!祥太郎に話があるんだ!」
「はぁ!?なんの話がお前にあんだよ!爺さん呼んで琴子に何をしたか自分の口で言わせて、村人の前で頭でも下げさせてくれるのか!?それでも琴子の心の傷は癒えねーけどな!!」
「……ごめん」
その時、洞窟の奥から隠れて凛子がやって来ると、二人の間に割って入った。
「待って祥太郎!風真くんから琴子が久遠宗一郎に何をされたのか聞いたわ!祥太郎の怒る気持ちはわかる!でも聞いてほしい話があるの!」
祥太郎は胸ぐらを掴んでいた手を離し、驚いたように風真を見つめた。
「……お前の爺さんが琴子に何をしたのか、爺さんが風真に言ったのか!?」
風真は首を横に振った。
「違う……あの夏祭りの日、二階から降りてきたとき、部屋から祖父が出ていくのを見たんだ。そのあと祥太郎が祖父の部屋に入っていって……開いたままの襖の向こうから、僕も部屋の中を見てしまった。琴子ちゃんの姿を見て、祖父が何をしたのか分かった。いてもたってもいられなくて、家を飛び出したら……いつの間にかこの洞窟に来ていた」
風真は言葉を詰まらせ、顔を伏せた。すると凛子が話を続ける。
「その時ちょうど私も、夏祭りに行けないけど、この洞窟に来たら二人と一緒に行った気がするかなって思って来たの。そしたら風真くんがいて、全部話をきいたの」
祥太郎は悲しそうな目で凛子を見た。
「それでね、私に計画があるの」
「……計画?」
凛子は真剣な表情で頷いた。
「その計画を実行するには、祥太郎と風真くん、二人の力が必要なの。だから……力を貸して」
その計画の本当の目的はただ一つ。
肝試しという名目の裏で、風子を双山村から自らの意思で出て行かせるための計画だった。
懐中電灯の光が揺れ、祥太郎は足元を照らしながら風子の手を握っていた。風子はその後ろを歩き、静かな夜の中、二人は双双山へ続く橋を渡っていく。
ふと祥太郎が振り返ると、風子は顔を真っ赤にして、嬉しそうに、でもどこか恥ずかしげに微笑んでいる。
その笑顔を見た瞬間、琴子の面影が重なり、祥太郎の胸にあの日の記憶がよみがえる。
――本当は、琴子に肝試しのことなんて一言も言っていない。旅館の手伝いで琴子が女将に連れていかれた、なんて話も祥太郎が作った嘘だ。
あの日、琴子は夏祭りには行かず、久遠家から飛び出していった。祥太郎は帰り際、風子に「琴子が急に具合が悪くなったからごめん!帰る」とだけ伝え、琴子の後を追って家に戻った。
その夜、琴子は一度も部屋から出てこなかった。祥太郎の部屋には、琴子の小さなすすり泣く声だけが聞こえていた。
けれど翌朝、琴子は何事もなかったかのように部屋を出て、風邪をひいてる女将に「おはよう、体調は大丈夫?」と声をかけていた。
でも祥太郎にはわかっていた。小さい頃から見てきた琴子だからこそ、女将に心配をかけたくない一心で、平気なふりをしているのだと。
だから祥太郎も、何も言わず、いつも通りの日常を演じた。
数日後。
祥太郎は自転車で、輝水天上天下宗教団体の施設近くにある、いつもの洞窟へ向かった。そこには、いつものように風真が立っていた。凛子と祥太郎を待っていたのだ。
祥太郎は、風真の祖父が琴子にしたことを許せなかった。
自転車を降りると、風真に駆け寄り胸ぐらを掴んだ。
「お前の爺さんが俺の妹に何したと思う!?」
「ちょっと待て!祥太郎に話があるんだ!」
「はぁ!?なんの話がお前にあんだよ!爺さん呼んで琴子に何をしたか自分の口で言わせて、村人の前で頭でも下げさせてくれるのか!?それでも琴子の心の傷は癒えねーけどな!!」
「……ごめん」
その時、洞窟の奥から隠れて凛子がやって来ると、二人の間に割って入った。
「待って祥太郎!風真くんから琴子が久遠宗一郎に何をされたのか聞いたわ!祥太郎の怒る気持ちはわかる!でも聞いてほしい話があるの!」
祥太郎は胸ぐらを掴んでいた手を離し、驚いたように風真を見つめた。
「……お前の爺さんが琴子に何をしたのか、爺さんが風真に言ったのか!?」
風真は首を横に振った。
「違う……あの夏祭りの日、二階から降りてきたとき、部屋から祖父が出ていくのを見たんだ。そのあと祥太郎が祖父の部屋に入っていって……開いたままの襖の向こうから、僕も部屋の中を見てしまった。琴子ちゃんの姿を見て、祖父が何をしたのか分かった。いてもたってもいられなくて、家を飛び出したら……いつの間にかこの洞窟に来ていた」
風真は言葉を詰まらせ、顔を伏せた。すると凛子が話を続ける。
「その時ちょうど私も、夏祭りに行けないけど、この洞窟に来たら二人と一緒に行った気がするかなって思って来たの。そしたら風真くんがいて、全部話をきいたの」
祥太郎は悲しそうな目で凛子を見た。
「それでね、私に計画があるの」
「……計画?」
凛子は真剣な表情で頷いた。
「その計画を実行するには、祥太郎と風真くん、二人の力が必要なの。だから……力を貸して」
その計画の本当の目的はただ一つ。
肝試しという名目の裏で、風子を双山村から自らの意思で出て行かせるための計画だった。
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