突然能力に目覚めた男の730日

こうめい

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3章 最強主人公

475日目その4~トラブルバスター火火野再登場~

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ドーナッツに戻ってきた時、駆が試合をやっていた。

入場口には、雷華が居て、心配?そうな表情で祈っている。

火火野「試合してるの駆でしょ。観客席からみればいいのに。」

俺がいきなり声をかけたせいか、雷華が少しビクッとした。

雷華「あ、大丈夫です。いつもここで兄さんを待っているので。」
火火野「…そうなのか。じゃぁな。」
雷華「えぇ。」

俺は、のど元に何か引っかかるような感覚を抱きながら、その場所を後にする。
夢野長官の元へ行くためだ。

長官専用の特等席に着いた。

夢野「ミッションコンプリート。かな。」
火火野「えぇ。何とかなりましたよ。冷や冷やでしたけどね。」
夢野「さすが、年長者。」
火火野「茶化さないでください。では、水元を励まさないといけないので、失礼しますよ。」
夢野「ストーップ。長官のお願い。もう一つ聴いてくれないかな?」

おいおい、俺は新参者だぞ。
ただ、ニッコニコしている長官。断れる雰囲気ではない。

火火野「聴くだけなら。」

夢野は物凄い”悪い顔”をしている。

夢野「風嵐兄妹。どう見える?」

俺は、さっきの違和感を言葉にする。

火火野「うーん、変ですね。具体的に表現すると、気を使っている。お互いに。」
夢野「うーん、良い観察眼ねぇ。説明がし易いわぁ。」
火火野「何かあるんですね。面倒くさい何かが。」
夢野「ご明察。私は一人っ子だから気持ちが分からないのよね。火火野君は?」

俺は、どうせ知ってるんだろうと思いながら。

火火野「妹が居ますね。本件の流れからすると、きっと”残念な”ことに。」

夢野はニッコリ。

夢野「じゃ、本題よ。あの二人の関係を何とかして。」
火火野「直球過ぎてイミフです。」
夢野「でしょうね。風の序列、最初は駆君が1位だったのは知ってるわね。」
火火野「えぇ。聞いています。」

もう、何となく見えてきた。

火火野「妹の方にとんでもない才能があったんですね。」
夢野「その通り。ちなみに、知ってると思うけど、雷華さんは全体の3位よ。土筆さんは2位。まぁあとは分かるわね。」
火火野「あぁ、それでですか。」
夢野「?」

最初に垂水が言ってた言葉、”水の”の部分が理解できていなかったが、全体順位=この組織のカーストになっているんだ。
…それも、解決しないといけないのでは…

火火野「いえ、こっちの話です。で、雷華にどんな弊害が?」
夢野「あの娘、お兄さん想いなのよね。お兄さんの力量を推し量って、自分の強さを抑えちゃってるの。」
火火野「あーーー、そういう事ですか…まぁ、話してみましょう。」
夢野「ホント、助かるわぁ。駆君の試合も終わったみたいね。じゃ、ヨ・ロ・シ・ク!」

ホント、悪い顔するわ。
でも、天岩の時より解決への糸口は明確だ。
持つべきは、”出来る妹が居る”という経験だな。
今まで非常に面倒だったその状況に初めて感謝する。

俺は、試合が終わった後の駆の元に向かう。

雷華「兄さん。また腕を上げてたね。風の動きで分かるわ。」
駆「あぁ。今度こそお前を超えて見せるから、途中でコケんなよ。」

…端から見たら、普通の兄妹の会話だろう。

火火野「駆。ちょっといいか?」

駆が振り向く。
少し不思議そうにしているが。

駆「あぁ。雷華、次はお前の番だろ。頑張れよ。」
雷華「えぇ。」

雷華はニコッとして、入場口から会場へ消えていく。

俺から見たら、どこか無理して良い関係演じているように見える。
いやそうにしか見えない。

トラブルバスター火火野出動だ。
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