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3章 最強主人公
475日目その3~トラブルバスター火火野出動(天岩ver)~
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俺のOSLC1日目は終了している。
2回戦は明後日だ。
その前にどうしてもやっておかなければならない事がある。
場所は病院棟。
俺は病室の前に居る。
名札には、「土田 幹人」と書いてある。
コンコン
土田「はい。居ますよ。」
スゥーっと扉を開ける。
そこには聡明そうな青年がベッドに横になっていた。
電動ベッドの力で上半身を起こす。
火火野「いきなりで、申し訳ない。ひ…」
土田「火火野さんですよね。夢野長官から連絡をいただいています。」
火火野「俺の用件も…理解しているようだな。」
土田「えぇ…。その件ですが。」
表情に影が落ちたように見える。
土田「多分、お力にはなれません。」
火火野「…何故そう思う?」
土田「思っているわけではありません。実際に土筆さんとも話したことがあります。”詠唱”を解禁しようという内容をね。」
火火野「結論は…まぁ今の状態って事だな。」
土田「えぇ…。」
俺は、卑怯者だ。
この青年にすべてを押し付ける。
火火野「じゃ、土筆はずっとあのままだな。お前の着けた鎖に捕らわれて、その才能に蓋をしたままNo1になる事はずっとない。そしてこれから先、”絶対に迎える危機”で終わりを迎えるんだ。」
聡明そうに見えていた青年の顔が一気に赤に染まる。
火火野「お前は土筆にどうあってほしい。”詠唱”の件について?それがお前が言いたいことなのか?」
土田「あんたに何が分かる!!」
火火野「何も。でも、今の状態は、俺達SWEETに携わる全員にとって悪でしかない。天岩の鎖の鍵はお前しか持ってない。お前だけが開けることができるんだ。それを忘れるな。じゃぁな。」
俺は、言いたいことだけ伝えて、足早に部屋を去る。
この後、試合が終わったら天岩が訪ねてくることを、夢野から聞いていたからだ。
ー数十分後ー
天岩「幹人~。いる?」
ガーッっと扉を開ける。
土田「せめて居るって言ってから開けなよ。」
天岩「ごめんごめん~。」
土田の顔は、天岩にはいつもと同じように見えたハズだ。
しかし、その瞳には決意を秘める。
土田「1回戦、勝ったんでしょ?」
天岩「当然よ!私が負けるわけないじゃんよ。」
土田「まぁそうだよね。…でも、新しい人来たんでしょ?この前垂水が来て、キレてたけどwぶっ潰してやるー!!ってね。」
天岩「あー…火火野ね…。まぁ強いよ。垂水が負けたし。」
幹人は、布団の中でギュッと拳を握った。
(俺が土筆さんに本当に伝えたいこと…俺が鍵を開けるんだ!)
土田「土筆さんは勝てるの?」
天岩「うーん…まぁ、私が負けるわけないじゃんよ。」
土田「詠唱を使わないのに?」
天岩の表情が怒りに変わる。
天岩「幹人までそんな事!詠唱のせいでどんな…」
土田「俺のせいにしてんじゃねーよ!!」
天岩「えっ…」
土田「詠唱使えないからNo1になれないって!そう思ってんだろ!!」
天岩「そ…そんなこと…」
土田「じゃ、使えよ!!使ってくれよ!!そんでNo1獲ってくれよ!!」
天岩「幹人…」
土田「もう俺を負けた時のいい訳にしないでくれよ…」
天岩「してない…」
土田「してるようにしか聞こえないんだよ!!!お願いだよ。全力出してくれよ…そして1番になってくれよ。」
天岩「…」
看護師「土田さん~検温のお時間ですが~?」
土田「はい。」
天岩「…帰るね…」
土田「うん。」
天岩は病室を後にする。
コツ、コツ、コツ
と、病院の廊下を歩く独特な音が響いている。
天岩「火火野さん。」
俺は、病室から帰る経路からでは見えない休憩所で一服ふかしていたんだけどな。
火火野「なんでしょうか?」
天岩「しっらじらしぃ。そもそも、土能力者の私がその気になれば、この病院の中くらい誰がどこにいるか分かります。」
火火野「で?」
天岩の表情には、自信しかない。
天岩「あなたが1番になることは無くなりました。1位の座は渡しません。それだけ言いたくて。」
そう言うと、天岩はドーナッツの方に向かっていった。
それを見送った俺は、土田の病室に向かう。
火火野「鍵は開けれたみたいだな。」
土田「…看護師。貴方の差し金ですね。」
火火野「余計だったかな。」
土田「…いえ、助かりました。本当に。土筆さんは?」
火火野「なんだろうな、澄み切った青空みたいな顔してたよ。」
土田「そうですか。この部屋では般若みたいでしたよ…」
火火野&土田「…プッ、ハッハッハ!」
土田「…ハァ。でも、良かったんですか。負けますよ?」
火火野「ん?まぁ、勝ちにくくはなったろうな。でも…」
土田「でも?」
火火野「せっかくめちゃくちゃ強いんだ。本気にしないと面白くないだろう?」
土田は、分かる分かるという感じで、軽く頷いた。
ー俺は、ずっとワクワクしてたんだ。
475日間も練習に練習を重ねて、とんでもなく強くなったハズなんだ。
やっと廻ってきたこのチャンス。
逃してなるものか。
そして、俺もドーナッツに帰る。
そこには、もう一つのトラブルが待っているとも知らずに。
2回戦は明後日だ。
その前にどうしてもやっておかなければならない事がある。
場所は病院棟。
俺は病室の前に居る。
名札には、「土田 幹人」と書いてある。
コンコン
土田「はい。居ますよ。」
スゥーっと扉を開ける。
そこには聡明そうな青年がベッドに横になっていた。
電動ベッドの力で上半身を起こす。
火火野「いきなりで、申し訳ない。ひ…」
土田「火火野さんですよね。夢野長官から連絡をいただいています。」
火火野「俺の用件も…理解しているようだな。」
土田「えぇ…。その件ですが。」
表情に影が落ちたように見える。
土田「多分、お力にはなれません。」
火火野「…何故そう思う?」
土田「思っているわけではありません。実際に土筆さんとも話したことがあります。”詠唱”を解禁しようという内容をね。」
火火野「結論は…まぁ今の状態って事だな。」
土田「えぇ…。」
俺は、卑怯者だ。
この青年にすべてを押し付ける。
火火野「じゃ、土筆はずっとあのままだな。お前の着けた鎖に捕らわれて、その才能に蓋をしたままNo1になる事はずっとない。そしてこれから先、”絶対に迎える危機”で終わりを迎えるんだ。」
聡明そうに見えていた青年の顔が一気に赤に染まる。
火火野「お前は土筆にどうあってほしい。”詠唱”の件について?それがお前が言いたいことなのか?」
土田「あんたに何が分かる!!」
火火野「何も。でも、今の状態は、俺達SWEETに携わる全員にとって悪でしかない。天岩の鎖の鍵はお前しか持ってない。お前だけが開けることができるんだ。それを忘れるな。じゃぁな。」
俺は、言いたいことだけ伝えて、足早に部屋を去る。
この後、試合が終わったら天岩が訪ねてくることを、夢野から聞いていたからだ。
ー数十分後ー
天岩「幹人~。いる?」
ガーッっと扉を開ける。
土田「せめて居るって言ってから開けなよ。」
天岩「ごめんごめん~。」
土田の顔は、天岩にはいつもと同じように見えたハズだ。
しかし、その瞳には決意を秘める。
土田「1回戦、勝ったんでしょ?」
天岩「当然よ!私が負けるわけないじゃんよ。」
土田「まぁそうだよね。…でも、新しい人来たんでしょ?この前垂水が来て、キレてたけどwぶっ潰してやるー!!ってね。」
天岩「あー…火火野ね…。まぁ強いよ。垂水が負けたし。」
幹人は、布団の中でギュッと拳を握った。
(俺が土筆さんに本当に伝えたいこと…俺が鍵を開けるんだ!)
土田「土筆さんは勝てるの?」
天岩「うーん…まぁ、私が負けるわけないじゃんよ。」
土田「詠唱を使わないのに?」
天岩の表情が怒りに変わる。
天岩「幹人までそんな事!詠唱のせいでどんな…」
土田「俺のせいにしてんじゃねーよ!!」
天岩「えっ…」
土田「詠唱使えないからNo1になれないって!そう思ってんだろ!!」
天岩「そ…そんなこと…」
土田「じゃ、使えよ!!使ってくれよ!!そんでNo1獲ってくれよ!!」
天岩「幹人…」
土田「もう俺を負けた時のいい訳にしないでくれよ…」
天岩「してない…」
土田「してるようにしか聞こえないんだよ!!!お願いだよ。全力出してくれよ…そして1番になってくれよ。」
天岩「…」
看護師「土田さん~検温のお時間ですが~?」
土田「はい。」
天岩「…帰るね…」
土田「うん。」
天岩は病室を後にする。
コツ、コツ、コツ
と、病院の廊下を歩く独特な音が響いている。
天岩「火火野さん。」
俺は、病室から帰る経路からでは見えない休憩所で一服ふかしていたんだけどな。
火火野「なんでしょうか?」
天岩「しっらじらしぃ。そもそも、土能力者の私がその気になれば、この病院の中くらい誰がどこにいるか分かります。」
火火野「で?」
天岩の表情には、自信しかない。
天岩「あなたが1番になることは無くなりました。1位の座は渡しません。それだけ言いたくて。」
そう言うと、天岩はドーナッツの方に向かっていった。
それを見送った俺は、土田の病室に向かう。
火火野「鍵は開けれたみたいだな。」
土田「…看護師。貴方の差し金ですね。」
火火野「余計だったかな。」
土田「…いえ、助かりました。本当に。土筆さんは?」
火火野「なんだろうな、澄み切った青空みたいな顔してたよ。」
土田「そうですか。この部屋では般若みたいでしたよ…」
火火野&土田「…プッ、ハッハッハ!」
土田「…ハァ。でも、良かったんですか。負けますよ?」
火火野「ん?まぁ、勝ちにくくはなったろうな。でも…」
土田「でも?」
火火野「せっかくめちゃくちゃ強いんだ。本気にしないと面白くないだろう?」
土田は、分かる分かるという感じで、軽く頷いた。
ー俺は、ずっとワクワクしてたんだ。
475日間も練習に練習を重ねて、とんでもなく強くなったハズなんだ。
やっと廻ってきたこのチャンス。
逃してなるものか。
そして、俺もドーナッツに帰る。
そこには、もう一つのトラブルが待っているとも知らずに。
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