突然能力に目覚めた男の730日

こうめい

文字の大きさ
18 / 43
3章 最強主人公

477日目その2~序列1位へ各々の戦い(不知火vs火狩戦)~

しおりを挟む
OSLCは順調に2回戦を消化していき、1回戦と同様に大きな波乱がないまま、序列高位の能力者が勝ち残る。

今残っているのは以下のメンバーだ。☆同志が次戦うことになる。

・グループ1
 不知火 豪(火1位)
 ☆火狩 慎(カガリ シン)(火2位)
 ☆火火野 晃太(火9位)

・グループ2
 里水 冷(水1位)
 ☆水崎 七海(ミズサキ ナナミ)(水2位)
 ☆志風 迅(シカゼ ジン)(風3位)

・グループ3
 天岩 土筆(土1位) 
 ☆土橋 大地(土2位)
 ☆火森 楓(ヒモリ フウ)(火3位)

・グループ4
 ☆風嵐 雷華(風1位)
 ☆風嵐 駆(風2位)

人数も3分の1になり、全員が詠唱を使うハイレベルな戦いが予想される。

まずは、グループ1の不知火vs火狩の試合だ。

いつもはグループの決勝で顔合わせしていたようだが、今回は違う。
この二人はずっとライバル関係で、差はそこまで無い。

火は能力序列最下位ながら、メンバーのモチベーションが保たれているのは、火狩の参謀としての立ち回りのおかげという声もあり、ずっと不知火を支えてきた縁の下の力持ちだ。

俺と同じ伊達メガネだが、完全に普段からシックに決めた服装も相まってインテリメガネという雰囲気だ。

夢野「さーて、OSLCも佳境よ。詠唱も解禁!序列に大きな変化があるかもね!!不知火君、火狩君がんばってー♪」

入場口が開き、両者が入場してくる。

不知火にいつもの笑顔はない。火狩も真剣な表情だ。
普段の二人からは考えられないほど、バチバチしたモノを感じる。


火狩「…アイツに1位を譲るのか?」
不知火「…」
火狩「俺は、お前が1位だから甘んじて2位に居るんだ。強力な火の能力者が現れたから安心したのか?」
不知火「お前が言いたいことは分かる。言わんでもな。」
火狩「ならば、俺を止めてみろ!俺の想い…全てをぶつけよう!!」
不知火「あぁ。俺は全てを吹っ飛ばす…それしかできんからな!!」

お遊びも様子見もないな。
二人の周りに同時に色が視え始める。

火狩~延々燃える我が炎 渦を巻き巻き敵燃やせ~
不知火~内に秘めたる沸き立つ炎 躰より噴出し鎧と化せ~

火狩「行くぞ!!」
不知火「こぉおおい!!」

火狩~火炎旋風(ファイヤートルネード)~
不知火~創出 鎧炎(ガイエン)~

火狩の放つ、火の竜巻が不知火に襲い掛かる。
対する不知火の体には火が纏わりついているような状態だ。

不知火「すぅうぅう…」

不知火は大きく息を吸い込んだ?

不知火「おぉおおぉおおぉ!!!!!」

おいおい、ガラスが震えてる。どんだけの声量だよ。
吠えながら火の竜巻に突進する。

おいおい、その程度の火で突っ込むのか。
周りにはそう見えているだろうが、俺の視えている風景は違った。

不知火の肩辺りからデカい色が出ている。

不知火~鎧炎 猪肩猛進(チョルダータックル)!!~

不知火に纏わりついていた火が肩に集まっていった、その瞬間。

ドォオン!!

爆音とともに巨大な火が肩から噴出。
火狩を吹っ飛ばした。

火狩「ぐわっ!!」

その勢い凄まじく、20mほど飛ばされ壁に叩きつけられる。

火狩「がッ!!」
不知火「慎!!」

不知火が駆け寄る。

火狩「…イッテぇ。相変わらずクソみたいな瞬間火力だな。」
不知火「お前が言ったんだ。無理に短所を鍛えるより、そのスゲェ長所を伸ばせってな。それが俺の支えになってる。」

火狩は、不知火の胸をトンっと拳で叩く。

火狩「火火野、あいつはお前より強いだろう。俺は、全て託した。今は、お前が1位なんだ。その誇りを…今までの俺達の全てを、全てぶつけてくれ。」
不知火「…もちろんだ。」

勝負は火狩が場外に出たため不知火の勝利となる。

不知火がこちらを見据える。
その眼には、力が漲り火が灯っているように見える。


最初に合った時から俺は不知火に尊敬の念を抱いていた。
明らかに他の1位3人は、突出した天才だろう。傑物だろう。怪物だろう。

その中で同じ1位として戦わなくてはならない、火を背負って戦わなくてはならないその気概。

心折れそうな時もあったはずだ。

血と汗と涙と出し尽くすほど練習しても、まったく届かない力の差に悩んだはずだ。

追いつけない。その事実を理解していたはずだ。

でも抗って、抗い続けて。
俺を見てホッと安堵したハズなのに、それでも1位という誇りを滾らせている。

不知火 豪。
アンタは凄い男だ。でも、その全てを吹き飛ばすよ。

俺達の力はそうすることでしか、自分を表現できない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

処理中です...