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この探偵は犯人を言いあてることができない
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登場人物
御手洗三立子 みたらいみたこ(32歳、ミタライ探偵事務所の女探偵。身内の前では子供っぽいが、外ではクールな性格。
一度や二度の失敗も、あきらめずに三度目に立ち向かっていくように三立子と名付けられるが、実際はトイレで泣く子に育ってしまった。)
月美優也 つきみゆうや (眼鏡をかけた男子高校生。無類のゲーム好き。ミタライ探偵事務所で助手のバイト中。月のように美しく優しいが、毒々しい面もある。あだ名は、月見だんご)
山形一徹 やまがたいってつ (54歳、頑固なベテラン刑事。元は本庁勤務で「鬼の一徹」 と恐れられ優秀だったが、行き過ぎた捜査をした上に冤罪を だしてしまい、所轄に回された。現在は冤罪をだしたトラウマで推理ができない)
新井進一 あらいしんいち (一徹の相棒で新人刑事26歳。相手を尊敬しない限り敬語は使わない。月美と同じくゲーマー)
佐藤良子 (被害者。21歳。大学生で矢作健司と付き合っていた)
矢作健司 (大学生。22歳。被害者の恋人。容疑者の一人。右手を怪我している)
加藤広男 (22歳。佐藤良子、矢作健司と同じ大学の同級生。容疑者の一人。矢作健司とは親友)
久我太一 (佐藤良子の住むアパートの大家。65歳。容疑者の一人。左手を怪我している)
四離鳥の永眠マクラ (御手洗が欲しがっている安眠枕。〈しりちょうと読ませます、しりとり とも読めて、その辺はギャグです。まぁ、寒いですが、スルーしてほしいです。〉)
ニンテンゴー3DS 携帯ゲーム機。ニンテンゴーのゴーはgo。すれ違い通信でデータ交換ができる。月美が常に持ち歩いている。現在プレイ中のゲームは基本無料のボケモンパズル。
この探偵は犯人を言い当てることができない
○佐藤良子のアパートの部屋の前
加藤「良子ちゃん、どうしたんだろうな?お前、何か聞いてないの?」
矢作「いや、何も?」
呼び鈴を鳴らす。しばらくしても、出てこない。
加藤「カギは?入っちゃっても、いいんじゃない?」
矢作「ああ、」
矢作がカギをドアに入れるが、カギがかかってないことに気付く。
矢作「あれ?カギがかかってない」
加藤「何かあったのかな?入ってみる?」
二人がドアをあけて中に入る。玄関から部屋に矢作が先に入る。
矢作「うわぁぁぁぁぁ」
加藤「どうした?うわぁぁぁぁぁ」
ベッドの上に顔を刺されている佐藤良子の死体を発見する。
○ミタライ探偵事務所
事務所の中には御手洗と月美の二人だけがいる。御手洗が事務所の来客用ソファに座ってテレビを見ている。月美は事務所内を掃除している。
テレビショッピングの音声「冬に四国を離れる鳥、四離鳥(しりちょう)の羽毛を使った安眠
枕。通称、永眠マクラ。今なら、たったの29800円」
御手洗「あれ欲しいー。買って、買ってー」
月美「子供か!」(と思った)
月美「嫌ですよ、自分で買ってください」
御手洗「だんごちゃんの、いじわるー」
月美「だんごちゃんって変な、あだ名やめてくださいよ」
御手洗「やだ、やだ、やだ、やだ」
月美「面倒ください」(と思った)
電話の音「りりりりりりり」
月美が電話にでる。
月美「もしもし、こちらミタライ探偵・・・あ、一徹さん。・・・はい。・・・はい」
ガチャっと電話をおく
月美「先生、事件です」
○殺人事件現場のアパートの佐藤良子の部屋の前
御手洗「やだ、やだー。おうちに帰るー」
月美「この期に及んで、駄々こねるのを止めてください」
御手洗「四離鳥の永眠マクラ買ってくれたら、駄々こねないよー」
月美「コノヤロー!」(と思った)
月美「チャイム鳴らしますよ」
月美がチャイムを鳴らすと御手洗の顔はクールに変わる。
月美「いつも思うけど、変わりすぎだろ!」(と思った)
ドアが開く。すると山形一徹と新井進一が二人を迎え入れた。
一徹「嬢ちゃん、月美、待っていたぜ」
御手洗が月美の前にでる。
御手洗「お前は、事件をいつも解決できない。どれだけ無能なんだ?」
進一「なんだと!」
進一は御手洗を睨みつける。
一徹「やめろ、進一」
御手洗「この若いの誰?」
一徹「進一ってんだ。うちの新人だ」
御手洗「使えなそうな顔だな」
進一「ふざけるな!」
一徹「進一、おさえろ」
進一「なぜ、止めるんです。そもそも、こいつは何者なんですか?」
一徹「御手洗三立子。日本一の探偵だ。実際に、嬢ちゃんの犯行の推理は、おおむね正しい」
月美「それは、違います。先生の犯行の推理は、常に正しいです」
月美「犯行の推理だけは・・・」(と思った)
月美「・・・なんか、うちの先生がすみません」
進一「君は?」
月美「先生の助手をしています。月美優也って言います」
三人がしゃべっている間に、いつの間にか御手洗は玄関から、犯行が起きた部屋に入っている。三人も御手洗につづき部屋に入る。
部屋の中には矢作健司、加藤広男、久我太一が立っている。矢作健司は右手を怪我しているようで包帯をまいている。また、久我太一は左手を怪我して包帯をまいている。さらに部屋の奥のベッドの上には、顔を刺された被害者の佐藤良子の死体がある。それらを御手洗は見渡している。
一徹「事件概要は、こうだ」
一徹に皆が注目する。
一徹「午前10時ごろ、この部屋で遺体が発見された。被害者は住人で、大学生の佐藤良子。ベッドで横になって、頭から血を流して死んでいた。死因は顔を何度も刺されたことによる失血死とされる。凶器は傷あとから考えて、包丁のようなものであると推測されるが、発見にはいたっていない。死亡推定時刻は夕方の16時ごろ。第一発見者は、矢作健司と加藤広男。二人は被害者の佐藤良子と同じ大学に通う大学生だ。今日、三人で遊ぶ予定であったが、待ち合わせ場所に来ず、電話をかけても、でなかったために直接、自宅に呼びに来たところ死んでいるのを発見したそうだ。ちなみに隣の部屋の住人に聞き込みをした結果、ちょうど殺害時間あたりに、男の人と言い争いをするような声や、女の悲鳴が聞こえたらしい」
御手洗「死体発見時、アパートのカギは?」
加藤「カギは開いてました。呼び鈴を鳴らしても、出てこないんで矢作に開けてもらおうとしたんですが、すでに開いてたんです。」
御手洗「開けてもらおうとは?」
矢作「俺と良子は付き合っていたんです。だから、合鍵を持っていたので」
御手洗「へぇー・・・で、こっちは誰?」
一徹の方を向いて久我太一を指さす。
久我「私はこのアパートの大家です。警察の方に呼ばれて来たのですが、まさか、こんなことになっているとは・・・」
御手洗「ほう」
被害者に近づき調べはじめる。被害者の顔が刺されているのを注意深く観察する。さらにベッドの下に羽毛が一つ落ちているのを発見する。枕の素材などを調べる。それから台所に向かい包丁がないことを確認する。
矢作の携帯電話の音「メールが届きました」
携帯を取ると奥の方でメールを打ち出す。左利き用の携帯電話に御手洗が気づく。
月美「やった!」
服のポケットから、いつの間にか、ニンテンゴー3DSを出して見ている。すれ違い通信でレアモンスターをデットしている。
御手洗「どうした月美?」
月美「すれ違い通信でレアモンスターをゲットしたんですよ」
御手洗「はぁ?」
怪訝な顔をする。
月美「すれ違い通信と言って、データ交換を勝手にするんですよ。多分、誰かしら同じゲーム機を持ってるはずです」
御手洗「仕事中だぞ!」
御手洗が月美の頭を軽く叩く。進一が同じゲーム機を、スーツの下に持っているため、そわそわする。
一徹「どうかしたか進一?」
進一「いえ、何も」
苦笑いを浮かべる。
御手洗「まてよ、交換?」
再び被害者に近づき枕を調べる。
御手洗「ふむ」
腕を組んでしばらく考え込む。
御手洗「犯人が、わかった」
御手洗「この謎は、あまりに簡単すぎる!」(キメゼリフ)
進一「そんな馬鹿な!もう全部わかったって言うのかよ!早すぎる、嘘だ!」
御手洗の襟をつかみかかる。
一徹「よせ、進一」
進一を御手洗から遠ざけ、進一に説教をはじめる。
月美「先生、犯人は誰ですか?」(ヒソヒソと誰にも聞かれないような声で)
御手洗「犯人は大家の、久我太一だ」(同じくヒソヒソ声で)
月美「・・・と言うことは」
月美は色々と考えを巡らす。
御手洗「犯行の経緯は、こうだ!」
皆の前に立ち説明しだす。
御手洗「昨夜、被害者の佐藤良子と、この部屋で会っていた犯人は、何かしらで揉めて言い争いになった。やがて佐藤良子は逆上し台所から包丁を取り出し振り回した。もみ合いになり犯人は佐藤良子に多少、手を切られながらも包丁を奪いベッドに押し倒し、そのまま顔を何度も突き刺し殺害した」
進一「ちょっと待てよ、なぜ、被害者が先に包丁を振り回したと、わかるんだ?」
御手洗「そう考えるとつじつまが合うんだ。犯人は手を怪我したのだが、男と女が争った時、もともと男が包丁を持っていた場合、楽に殺せるはずで怪我をすることはないはずだ。怪我をしてしまったのは、女が先に包丁を振り回し、それを奪ったからなんだ」
一徹「いやいや、なぜ犯人が手を怪我していると?」
御手洗「佐藤良子の枕が交換されているからだ」
進一「?」
御手洗「ベッドの下に羽毛が落ちていたんだ。」
進一がベッドの下にいき確認する。
進一「一徹さん、確かにあります」
御手洗「その羽毛は、今、話題の四離鳥の羽毛だ。おそらく、佐藤良子は四離鳥の永眠マクラを愛用していたのだろう。だがここの枕は四離鳥の永眠マクラではなく、店で買った普通の枕なんだ。つまり犯人は理由があって枕を交換したんだ」
進一「それと犯人が怪我をしたのと、どうつながるんだ?」
御手洗「犯行現場から離れ、店で枕を買い、再び戻ってくるのはリスクが大きすぎる。だが、そのリスクを犯さざろうえなかったんだ。なぜなら四離鳥の永眠マクラに、自分の血がついてしまったからな」
進一「!」
御手洗「枕を処分しただけで終わっては、枕に重要な証拠があることに気づかれてしまう。交換すれば、ばれないと思ったのだろう。だが、犯人は重大なミスを犯した。犯行時に永眠マクラが少し破れてしまい、中の四離鳥の羽毛がベッドの下に落ちたことに気づかなかったんだ」
一徹「ってことは嬢ちゃん、犯人は?」
御手洗「犯人は手を怪我している人物、さらには佐藤良子の顔の傷口から利き腕を推理すると・・・」
矢作「そうだよ、俺が殺したんだ!」
御手洗「ひぇっ!」
月美「やっぱり間違ってた」(と思った)
一徹「嬢ちゃん、今、ひぇって言わなかったか?」
御手洗「気のせいだ、何も言ってない」
矢作「新しい恋人ができたんだ。だから良子に別れを切り出したのに、別れてくれなかったんだ」
加藤「お前、あんなに仲が良かったのに・・・」
矢作「でも、殺す気はなかったんだ。別れを切り出したら良子が包丁を出してきてもみ合った末に・・・」
御手洗「突発的な犯行だったことは、認めよう。だが、そのあとの何度も突き刺す行為と隠蔽行為は、まずかったな!」
一徹「フン、どんな状況であれ、殺人は殺人だ」
進一「矢作健司、佐藤良子殺害の容疑で逮捕する」
手錠をかける
御手洗「さっき、こいつはメールを打っていた。凶器や枕を、新しい恋人に処分するように指示した可能性もある。携帯も調べた方がいいぞ」
矢作「それも、気づいていたのか!ちくしょー!」
進一「先生、ありがとうございました」
御手洗に一礼する。
○ミタライ探偵事務所
御手洗はトイレの中に、月美はトイレのドアの前に立っている。
御手洗「うわぁぁぁぁぁん、犯人を、また間違えたー」
トイレの中で泣いている。
月美「真犯人は逮捕されたから、いいじゃないですか」
御手洗「だって、だってホームズだって、コロンボだって犯人をあててるもん」
月美「まぁ、先生はそのレベルよりは、劣りますよね」
御手洗「だんごちゃんヒドイー。うわぁぁぁぁぁん」
月美「面倒くさいな」(と思った)
御手洗「犯人を間違えて、お嫁にいけない。うわぁぁぁぁぁん」
月美「そこは年齢的にだろ」(と思った)
月美「でも、なんで久我太一だと思ったんです?」
御手洗「だって、良子ちゃんの傷あとは、右側から左側に刺されているようだったから、右利きの犯行だと思ったんだもん。矢作ちゃんは左利き用の携帯を持っていたから、左利きで残りは久我ちゃんしかいないから・・・」
月美「あぁ、あとから、傷あとは右利きのものか、左利きのものか聞いてましたね。それでたしか、左利きって・・・専門家が見ないと、わからないものですよね」
御手洗「うわぁぁぁぁぁん」
月美「でも良かったじゃないですか。犯人を言う前に自白してくれて」
御手洗「全然よくないよ。うわぁぁぁぁぁん」
月美「先生のお父さんは、一度や二度、失敗しても三度目に立ち向かっていけるように三立子って名付けたんじゃないですか。一度や二度の失敗ぐらい何でもないですよ」
御手洗「一度や二度どこらか、いつもだよ。うわぁぁぁぁぁん」
月美「これじゃ、御手洗(おてあらい)で泣く子じゃないですか」
御手洗「ヒドイー。うわぁぁぁぁぁん」
月美「この探偵は犯人を言い当てることができない」(と思った)
御手洗「うわぁぁぁぁぁん」
月美「先生、いい加減に泣き止んでくださいよ」
御手洗「四離鳥の永眠マクラを買ってくれたら、泣き止むかもしれない。うわぁぁぁぁぁん」
月美「この探偵は、かなり面倒くさい」(と思った)
御手洗三立子 みたらいみたこ(32歳、ミタライ探偵事務所の女探偵。身内の前では子供っぽいが、外ではクールな性格。
一度や二度の失敗も、あきらめずに三度目に立ち向かっていくように三立子と名付けられるが、実際はトイレで泣く子に育ってしまった。)
月美優也 つきみゆうや (眼鏡をかけた男子高校生。無類のゲーム好き。ミタライ探偵事務所で助手のバイト中。月のように美しく優しいが、毒々しい面もある。あだ名は、月見だんご)
山形一徹 やまがたいってつ (54歳、頑固なベテラン刑事。元は本庁勤務で「鬼の一徹」 と恐れられ優秀だったが、行き過ぎた捜査をした上に冤罪を だしてしまい、所轄に回された。現在は冤罪をだしたトラウマで推理ができない)
新井進一 あらいしんいち (一徹の相棒で新人刑事26歳。相手を尊敬しない限り敬語は使わない。月美と同じくゲーマー)
佐藤良子 (被害者。21歳。大学生で矢作健司と付き合っていた)
矢作健司 (大学生。22歳。被害者の恋人。容疑者の一人。右手を怪我している)
加藤広男 (22歳。佐藤良子、矢作健司と同じ大学の同級生。容疑者の一人。矢作健司とは親友)
久我太一 (佐藤良子の住むアパートの大家。65歳。容疑者の一人。左手を怪我している)
四離鳥の永眠マクラ (御手洗が欲しがっている安眠枕。〈しりちょうと読ませます、しりとり とも読めて、その辺はギャグです。まぁ、寒いですが、スルーしてほしいです。〉)
ニンテンゴー3DS 携帯ゲーム機。ニンテンゴーのゴーはgo。すれ違い通信でデータ交換ができる。月美が常に持ち歩いている。現在プレイ中のゲームは基本無料のボケモンパズル。
この探偵は犯人を言い当てることができない
○佐藤良子のアパートの部屋の前
加藤「良子ちゃん、どうしたんだろうな?お前、何か聞いてないの?」
矢作「いや、何も?」
呼び鈴を鳴らす。しばらくしても、出てこない。
加藤「カギは?入っちゃっても、いいんじゃない?」
矢作「ああ、」
矢作がカギをドアに入れるが、カギがかかってないことに気付く。
矢作「あれ?カギがかかってない」
加藤「何かあったのかな?入ってみる?」
二人がドアをあけて中に入る。玄関から部屋に矢作が先に入る。
矢作「うわぁぁぁぁぁ」
加藤「どうした?うわぁぁぁぁぁ」
ベッドの上に顔を刺されている佐藤良子の死体を発見する。
○ミタライ探偵事務所
事務所の中には御手洗と月美の二人だけがいる。御手洗が事務所の来客用ソファに座ってテレビを見ている。月美は事務所内を掃除している。
テレビショッピングの音声「冬に四国を離れる鳥、四離鳥(しりちょう)の羽毛を使った安眠
枕。通称、永眠マクラ。今なら、たったの29800円」
御手洗「あれ欲しいー。買って、買ってー」
月美「子供か!」(と思った)
月美「嫌ですよ、自分で買ってください」
御手洗「だんごちゃんの、いじわるー」
月美「だんごちゃんって変な、あだ名やめてくださいよ」
御手洗「やだ、やだ、やだ、やだ」
月美「面倒ください」(と思った)
電話の音「りりりりりりり」
月美が電話にでる。
月美「もしもし、こちらミタライ探偵・・・あ、一徹さん。・・・はい。・・・はい」
ガチャっと電話をおく
月美「先生、事件です」
○殺人事件現場のアパートの佐藤良子の部屋の前
御手洗「やだ、やだー。おうちに帰るー」
月美「この期に及んで、駄々こねるのを止めてください」
御手洗「四離鳥の永眠マクラ買ってくれたら、駄々こねないよー」
月美「コノヤロー!」(と思った)
月美「チャイム鳴らしますよ」
月美がチャイムを鳴らすと御手洗の顔はクールに変わる。
月美「いつも思うけど、変わりすぎだろ!」(と思った)
ドアが開く。すると山形一徹と新井進一が二人を迎え入れた。
一徹「嬢ちゃん、月美、待っていたぜ」
御手洗が月美の前にでる。
御手洗「お前は、事件をいつも解決できない。どれだけ無能なんだ?」
進一「なんだと!」
進一は御手洗を睨みつける。
一徹「やめろ、進一」
御手洗「この若いの誰?」
一徹「進一ってんだ。うちの新人だ」
御手洗「使えなそうな顔だな」
進一「ふざけるな!」
一徹「進一、おさえろ」
進一「なぜ、止めるんです。そもそも、こいつは何者なんですか?」
一徹「御手洗三立子。日本一の探偵だ。実際に、嬢ちゃんの犯行の推理は、おおむね正しい」
月美「それは、違います。先生の犯行の推理は、常に正しいです」
月美「犯行の推理だけは・・・」(と思った)
月美「・・・なんか、うちの先生がすみません」
進一「君は?」
月美「先生の助手をしています。月美優也って言います」
三人がしゃべっている間に、いつの間にか御手洗は玄関から、犯行が起きた部屋に入っている。三人も御手洗につづき部屋に入る。
部屋の中には矢作健司、加藤広男、久我太一が立っている。矢作健司は右手を怪我しているようで包帯をまいている。また、久我太一は左手を怪我して包帯をまいている。さらに部屋の奥のベッドの上には、顔を刺された被害者の佐藤良子の死体がある。それらを御手洗は見渡している。
一徹「事件概要は、こうだ」
一徹に皆が注目する。
一徹「午前10時ごろ、この部屋で遺体が発見された。被害者は住人で、大学生の佐藤良子。ベッドで横になって、頭から血を流して死んでいた。死因は顔を何度も刺されたことによる失血死とされる。凶器は傷あとから考えて、包丁のようなものであると推測されるが、発見にはいたっていない。死亡推定時刻は夕方の16時ごろ。第一発見者は、矢作健司と加藤広男。二人は被害者の佐藤良子と同じ大学に通う大学生だ。今日、三人で遊ぶ予定であったが、待ち合わせ場所に来ず、電話をかけても、でなかったために直接、自宅に呼びに来たところ死んでいるのを発見したそうだ。ちなみに隣の部屋の住人に聞き込みをした結果、ちょうど殺害時間あたりに、男の人と言い争いをするような声や、女の悲鳴が聞こえたらしい」
御手洗「死体発見時、アパートのカギは?」
加藤「カギは開いてました。呼び鈴を鳴らしても、出てこないんで矢作に開けてもらおうとしたんですが、すでに開いてたんです。」
御手洗「開けてもらおうとは?」
矢作「俺と良子は付き合っていたんです。だから、合鍵を持っていたので」
御手洗「へぇー・・・で、こっちは誰?」
一徹の方を向いて久我太一を指さす。
久我「私はこのアパートの大家です。警察の方に呼ばれて来たのですが、まさか、こんなことになっているとは・・・」
御手洗「ほう」
被害者に近づき調べはじめる。被害者の顔が刺されているのを注意深く観察する。さらにベッドの下に羽毛が一つ落ちているのを発見する。枕の素材などを調べる。それから台所に向かい包丁がないことを確認する。
矢作の携帯電話の音「メールが届きました」
携帯を取ると奥の方でメールを打ち出す。左利き用の携帯電話に御手洗が気づく。
月美「やった!」
服のポケットから、いつの間にか、ニンテンゴー3DSを出して見ている。すれ違い通信でレアモンスターをデットしている。
御手洗「どうした月美?」
月美「すれ違い通信でレアモンスターをゲットしたんですよ」
御手洗「はぁ?」
怪訝な顔をする。
月美「すれ違い通信と言って、データ交換を勝手にするんですよ。多分、誰かしら同じゲーム機を持ってるはずです」
御手洗「仕事中だぞ!」
御手洗が月美の頭を軽く叩く。進一が同じゲーム機を、スーツの下に持っているため、そわそわする。
一徹「どうかしたか進一?」
進一「いえ、何も」
苦笑いを浮かべる。
御手洗「まてよ、交換?」
再び被害者に近づき枕を調べる。
御手洗「ふむ」
腕を組んでしばらく考え込む。
御手洗「犯人が、わかった」
御手洗「この謎は、あまりに簡単すぎる!」(キメゼリフ)
進一「そんな馬鹿な!もう全部わかったって言うのかよ!早すぎる、嘘だ!」
御手洗の襟をつかみかかる。
一徹「よせ、進一」
進一を御手洗から遠ざけ、進一に説教をはじめる。
月美「先生、犯人は誰ですか?」(ヒソヒソと誰にも聞かれないような声で)
御手洗「犯人は大家の、久我太一だ」(同じくヒソヒソ声で)
月美「・・・と言うことは」
月美は色々と考えを巡らす。
御手洗「犯行の経緯は、こうだ!」
皆の前に立ち説明しだす。
御手洗「昨夜、被害者の佐藤良子と、この部屋で会っていた犯人は、何かしらで揉めて言い争いになった。やがて佐藤良子は逆上し台所から包丁を取り出し振り回した。もみ合いになり犯人は佐藤良子に多少、手を切られながらも包丁を奪いベッドに押し倒し、そのまま顔を何度も突き刺し殺害した」
進一「ちょっと待てよ、なぜ、被害者が先に包丁を振り回したと、わかるんだ?」
御手洗「そう考えるとつじつまが合うんだ。犯人は手を怪我したのだが、男と女が争った時、もともと男が包丁を持っていた場合、楽に殺せるはずで怪我をすることはないはずだ。怪我をしてしまったのは、女が先に包丁を振り回し、それを奪ったからなんだ」
一徹「いやいや、なぜ犯人が手を怪我していると?」
御手洗「佐藤良子の枕が交換されているからだ」
進一「?」
御手洗「ベッドの下に羽毛が落ちていたんだ。」
進一がベッドの下にいき確認する。
進一「一徹さん、確かにあります」
御手洗「その羽毛は、今、話題の四離鳥の羽毛だ。おそらく、佐藤良子は四離鳥の永眠マクラを愛用していたのだろう。だがここの枕は四離鳥の永眠マクラではなく、店で買った普通の枕なんだ。つまり犯人は理由があって枕を交換したんだ」
進一「それと犯人が怪我をしたのと、どうつながるんだ?」
御手洗「犯行現場から離れ、店で枕を買い、再び戻ってくるのはリスクが大きすぎる。だが、そのリスクを犯さざろうえなかったんだ。なぜなら四離鳥の永眠マクラに、自分の血がついてしまったからな」
進一「!」
御手洗「枕を処分しただけで終わっては、枕に重要な証拠があることに気づかれてしまう。交換すれば、ばれないと思ったのだろう。だが、犯人は重大なミスを犯した。犯行時に永眠マクラが少し破れてしまい、中の四離鳥の羽毛がベッドの下に落ちたことに気づかなかったんだ」
一徹「ってことは嬢ちゃん、犯人は?」
御手洗「犯人は手を怪我している人物、さらには佐藤良子の顔の傷口から利き腕を推理すると・・・」
矢作「そうだよ、俺が殺したんだ!」
御手洗「ひぇっ!」
月美「やっぱり間違ってた」(と思った)
一徹「嬢ちゃん、今、ひぇって言わなかったか?」
御手洗「気のせいだ、何も言ってない」
矢作「新しい恋人ができたんだ。だから良子に別れを切り出したのに、別れてくれなかったんだ」
加藤「お前、あんなに仲が良かったのに・・・」
矢作「でも、殺す気はなかったんだ。別れを切り出したら良子が包丁を出してきてもみ合った末に・・・」
御手洗「突発的な犯行だったことは、認めよう。だが、そのあとの何度も突き刺す行為と隠蔽行為は、まずかったな!」
一徹「フン、どんな状況であれ、殺人は殺人だ」
進一「矢作健司、佐藤良子殺害の容疑で逮捕する」
手錠をかける
御手洗「さっき、こいつはメールを打っていた。凶器や枕を、新しい恋人に処分するように指示した可能性もある。携帯も調べた方がいいぞ」
矢作「それも、気づいていたのか!ちくしょー!」
進一「先生、ありがとうございました」
御手洗に一礼する。
○ミタライ探偵事務所
御手洗はトイレの中に、月美はトイレのドアの前に立っている。
御手洗「うわぁぁぁぁぁん、犯人を、また間違えたー」
トイレの中で泣いている。
月美「真犯人は逮捕されたから、いいじゃないですか」
御手洗「だって、だってホームズだって、コロンボだって犯人をあててるもん」
月美「まぁ、先生はそのレベルよりは、劣りますよね」
御手洗「だんごちゃんヒドイー。うわぁぁぁぁぁん」
月美「面倒くさいな」(と思った)
御手洗「犯人を間違えて、お嫁にいけない。うわぁぁぁぁぁん」
月美「そこは年齢的にだろ」(と思った)
月美「でも、なんで久我太一だと思ったんです?」
御手洗「だって、良子ちゃんの傷あとは、右側から左側に刺されているようだったから、右利きの犯行だと思ったんだもん。矢作ちゃんは左利き用の携帯を持っていたから、左利きで残りは久我ちゃんしかいないから・・・」
月美「あぁ、あとから、傷あとは右利きのものか、左利きのものか聞いてましたね。それでたしか、左利きって・・・専門家が見ないと、わからないものですよね」
御手洗「うわぁぁぁぁぁん」
月美「でも良かったじゃないですか。犯人を言う前に自白してくれて」
御手洗「全然よくないよ。うわぁぁぁぁぁん」
月美「先生のお父さんは、一度や二度、失敗しても三度目に立ち向かっていけるように三立子って名付けたんじゃないですか。一度や二度の失敗ぐらい何でもないですよ」
御手洗「一度や二度どこらか、いつもだよ。うわぁぁぁぁぁん」
月美「これじゃ、御手洗(おてあらい)で泣く子じゃないですか」
御手洗「ヒドイー。うわぁぁぁぁぁん」
月美「この探偵は犯人を言い当てることができない」(と思った)
御手洗「うわぁぁぁぁぁん」
月美「先生、いい加減に泣き止んでくださいよ」
御手洗「四離鳥の永眠マクラを買ってくれたら、泣き止むかもしれない。うわぁぁぁぁぁん」
月美「この探偵は、かなり面倒くさい」(と思った)
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蔵屋
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