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だんごスター
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西暦二〇一九年、新元号の令和が幕をあげました。そして、西暦二〇二〇年、日本の東京でオリンピックが開かれました。
人々は、活気付き、みんなの胸が、希望に満ちあふれました。世の中には、新しい物が求められていました。新しいスポーツが求められていました。
そんな中で、だんごスターという、新しいスポーツが生まれたのです。
だんごスターは、だんごを串に相手よりもおそくさせば勝ちという、変わったスポーツでした。
だんごスターのルールは、六つしかありません。
一つ、自分の名前が書いてある串にだんごを相手よりも、おそくさした方の勝ち。
一つ、串は、スタート地点から、五十メートル先のテーブルにおいてある。
一つ、串にさすだんごは、串がおいてあるさらに五十メートル先のテーブルにおいてある。
一つ、串にさすだんごの数は、三つ。
一つ、もし眠ったり、気絶したりした場合は、失格とする。
一つ、試合中は、飲食してはならない。
つまりは、スタート地点から、ゆっくり歩いて五十メートル先のテーブルの上にある串を取り、ふたたび、ゆっくり歩いて、五十メートル先のだんごを串にさすということを、よりおそくやった方の勝ちなのでした。
だんごスターの、おそい方の勝ちというルールは、のどかなようでしたが、実際には過酷なスポーツでした。だんごスターの試合をするたびに眠ってしまったり、気絶してしまったりする人が多くでたのです。
おそい方の勝ちというルールは、試合時間を長引かせるものでした。一試合で、三日や、四日かかるのは、当たり前でした。その間、眠ってしまったり、空腹のあまり、気絶してしまう人ばかりだったのです。
だんごスターのチャンピオンは、柏田イチカという、三十代の青年でした。柏田イチカは、日ごろから断食をしていました。断食になれていて、一ヶ月の間、飲まず食わずが平気だったのです。だんごを串にさすのに、一ヶ月かけても平気なのは、柏田イチカぐらいしかいませんでした。
さて、今日は、だんごスターの試合の日でした。だんごスターの試合会場、控え室で、ある二人が話しをしていました。
「やめた方がいいわ、柏田イチカは強すぎるわ」
そう言ったのは、木口アヤでした。
「いや、ぼくなら勝てる。むしろ、ぼくにしか勝てないよ」
そう言ったのは、木口アヤの恋人、瀬名ダイキでした。
木口アヤと瀬名ダイキは、大学生のころから恋人同士でした。現在は、ともに二十五歳でした。そして、瀬名ダイキは、だんごスターの選手でした。だんごスターの選手と言っても、三十戦やって、すべて負けている、弱い選手でした。そう、今日は、チャンピオン柏田イチカと、瀬名ダイキの試合の日でした。
「ねぇ、わたし記者をやってるって、知ってるよね。実は、柏田イチカの取材をしたことがあるのよ。彼は一ヶ月ぐらい断食ができるの。だから、だんごスターで彼に勝てる人は、いないわ」
「いや、ぼくなら勝てる」
「ダイキ、あなた断食は、どのくらいできるの?」
瀬名ダイキは、腕を組み、頭をかたむけると、こう言ったのでした。
「断食は、まったくできない」
「だんごスターは、断食が長くできる人が勝つスポーツよ。断食ができないなら、勝てるわけないじゃん」
「大丈夫さ」
瀬名ダイキは、笑顔で言いました。
「わたし、ダイキは、負けると思う。そもそも、あなたは、勝ったことないし」
「いや、今回だけは、ぼくが勝つよ。試合を見てて」
木口アヤは、悲しい顔をしました。そして、前から不思議に思っていたことを聞いてみました。
「でも、何で、あなたみたいな弱い選手が、チャンピオンと戦うことになったの?」
「なんか、柏田イチカが強すぎるっていうんで、誰も試合をしてくれなくなったらしいよ。でも、お客さんは、柏田イチカが勝つところが見たいから、弱すぎだろうが、誰でもいいから、試合しろって、話しで、ぼくが対戦することになったんだよ。みんなは、ことわるけど、ぼくは、ことわらないからね」
「ダイキも、ことわればいいのに……。ねぇ、今から、ことわっても間に合うんじゃない?」
「もうすぐ試合だし、今さら、ことわれないよ。それに勝つし。負けないし、勝つのに、ことわるって変でしょ」
「……もう、勝てるわけないじゃん」
木口アヤは、ため息をつきました。
瀬名ダイキは、試合前のだからこそ、緊張してきました。緊張をほぐすために、ふと目をつぶりました。そして、日々の練習を思い出しました。
人々は、活気付き、みんなの胸が、希望に満ちあふれました。世の中には、新しい物が求められていました。新しいスポーツが求められていました。
そんな中で、だんごスターという、新しいスポーツが生まれたのです。
だんごスターは、だんごを串に相手よりもおそくさせば勝ちという、変わったスポーツでした。
だんごスターのルールは、六つしかありません。
一つ、自分の名前が書いてある串にだんごを相手よりも、おそくさした方の勝ち。
一つ、串は、スタート地点から、五十メートル先のテーブルにおいてある。
一つ、串にさすだんごは、串がおいてあるさらに五十メートル先のテーブルにおいてある。
一つ、串にさすだんごの数は、三つ。
一つ、もし眠ったり、気絶したりした場合は、失格とする。
一つ、試合中は、飲食してはならない。
つまりは、スタート地点から、ゆっくり歩いて五十メートル先のテーブルの上にある串を取り、ふたたび、ゆっくり歩いて、五十メートル先のだんごを串にさすということを、よりおそくやった方の勝ちなのでした。
だんごスターの、おそい方の勝ちというルールは、のどかなようでしたが、実際には過酷なスポーツでした。だんごスターの試合をするたびに眠ってしまったり、気絶してしまったりする人が多くでたのです。
おそい方の勝ちというルールは、試合時間を長引かせるものでした。一試合で、三日や、四日かかるのは、当たり前でした。その間、眠ってしまったり、空腹のあまり、気絶してしまう人ばかりだったのです。
だんごスターのチャンピオンは、柏田イチカという、三十代の青年でした。柏田イチカは、日ごろから断食をしていました。断食になれていて、一ヶ月の間、飲まず食わずが平気だったのです。だんごを串にさすのに、一ヶ月かけても平気なのは、柏田イチカぐらいしかいませんでした。
さて、今日は、だんごスターの試合の日でした。だんごスターの試合会場、控え室で、ある二人が話しをしていました。
「やめた方がいいわ、柏田イチカは強すぎるわ」
そう言ったのは、木口アヤでした。
「いや、ぼくなら勝てる。むしろ、ぼくにしか勝てないよ」
そう言ったのは、木口アヤの恋人、瀬名ダイキでした。
木口アヤと瀬名ダイキは、大学生のころから恋人同士でした。現在は、ともに二十五歳でした。そして、瀬名ダイキは、だんごスターの選手でした。だんごスターの選手と言っても、三十戦やって、すべて負けている、弱い選手でした。そう、今日は、チャンピオン柏田イチカと、瀬名ダイキの試合の日でした。
「ねぇ、わたし記者をやってるって、知ってるよね。実は、柏田イチカの取材をしたことがあるのよ。彼は一ヶ月ぐらい断食ができるの。だから、だんごスターで彼に勝てる人は、いないわ」
「いや、ぼくなら勝てる」
「ダイキ、あなた断食は、どのくらいできるの?」
瀬名ダイキは、腕を組み、頭をかたむけると、こう言ったのでした。
「断食は、まったくできない」
「だんごスターは、断食が長くできる人が勝つスポーツよ。断食ができないなら、勝てるわけないじゃん」
「大丈夫さ」
瀬名ダイキは、笑顔で言いました。
「わたし、ダイキは、負けると思う。そもそも、あなたは、勝ったことないし」
「いや、今回だけは、ぼくが勝つよ。試合を見てて」
木口アヤは、悲しい顔をしました。そして、前から不思議に思っていたことを聞いてみました。
「でも、何で、あなたみたいな弱い選手が、チャンピオンと戦うことになったの?」
「なんか、柏田イチカが強すぎるっていうんで、誰も試合をしてくれなくなったらしいよ。でも、お客さんは、柏田イチカが勝つところが見たいから、弱すぎだろうが、誰でもいいから、試合しろって、話しで、ぼくが対戦することになったんだよ。みんなは、ことわるけど、ぼくは、ことわらないからね」
「ダイキも、ことわればいいのに……。ねぇ、今から、ことわっても間に合うんじゃない?」
「もうすぐ試合だし、今さら、ことわれないよ。それに勝つし。負けないし、勝つのに、ことわるって変でしょ」
「……もう、勝てるわけないじゃん」
木口アヤは、ため息をつきました。
瀬名ダイキは、試合前のだからこそ、緊張してきました。緊張をほぐすために、ふと目をつぶりました。そして、日々の練習を思い出しました。
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