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第一章:天上のラストルーム
第31話:クエスト①
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アーカイブに戻った時にはすでに八時を回っていた。
二階層のボスフロアまでの移動時間もあるものの、ダーランダーを倒すまでに約一時間もかかっていたのかと考えるとレアボスモンスターはやはり強敵だと再認識させられる。
アルストのHPもアーカイブに戻ることで全快しているのでもう一度バベルに向かうのもありなのだが、そこはアレッサから待ったがかかった。
「お金を稼ぐだけなら、クエストをこなす方が効率がいいんですよ」
「そうなんですか? それは知らなかったです」
クエストはDPになった時だけ受けるものと認識していたアルストは純粋に驚いていた。
「アルストでも知らないことがあるのだな」
「いや、俺も昨日始めたばかりの初心者ですからね?」
「そう見えないのが不思議ですね」
「……そうでしょうか」
アレッサのことをゲーム初心者とは見ていないアルストは、今の発言に違和感を覚えながらも言及することはなかった。
何か面倒くさいことに巻き込まれるのが嫌なだけなのだが。
「とにかく、そういうことなのでクエスト屋に行ってみましょう」
「そうですね。ちなみに、エレナさんのGは今どれくらい貯まっているんですか?」
「……840G」
「な、なるべくGを稼げるクエストを受けましょう」
「……すまん」
いつも強気なエレナが謝る姿に苦笑しながら、三人はクエスト屋へと向かった。
※※※※
お金が稼げると聞いたアルストは賑わっていると思い込んでいたのだが、クエスト屋はがらんとした状態だった。
「クエストを受けるのはDPを受けた人がほとんどですからね。私達初心者には狙い目なんです」
「そういえば攻略サイトにも書かれてましたね。それにしても、アレッサさんは詳しいんですね」
「えっと、私も攻略サイトは多少見てログインしてますから」
「アルスト! そんなことよりも稼げるクエストを探すぞ!」
言葉に詰まったアレッサに疑問を覚えたアルストだったが、エレナの必死の声に意識を持っていかれてしまいそちらに向かう。
クエストはクエストボードに貼られている依頼書を手にして受付に提示すると受けることができる。
依頼書には依頼内容はもちろん、五段階の難易度や条件が記載されている。条件の中にはソロ限定やパーティ限定といった内容を満たさなければ受けられないクエストもあるので気をつけなければならない。
三人が選んだクエストは条件もなく、難易度1の簡単なものだった。
「Gは……さ、300Gかぁ」
「初めてですから、いきなり高難易度のクエストは受けられないわよ」
アレッサが言うとおり、クエストを受けるためにはもう一つ必要なものがあった。
それが、貢献度である。
クエストをどれだけクリアしているかで受けられるクエストが変わってくるのだが、初めてクエストを受ける三人の場合は難易度の低いクエストしか受けられないのだ。
「これだったら、バベルでモンスターを倒した方が貯まる気がするんだが……」
「安心してエレナちゃん。この依頼はバベルのモンスター討伐クエストだから」
「……そ、そうなのか?」
「内容を見てなかったんですか?」
「うぐっ! ……Gしか、見てなかった」
ここまで来るとエレナの目の前でフレイム・ドン・スピアを出したのは間違いだったかと思い始めてしまう。
もちろんあげるつもりもないのだが、せめてエレナがいないところでアリーナに見せるべきだったと。
そんな考えを見抜かれたのか、声をかけてきたのはアレッサだった。
「アルストさんがお気になさらないでください」
「……アレッサさん」
「エレナちゃんが欲しいと思ったから彼女も口にしたのです。欲しいと思ったものが見つかったのだから、それは良いことだと思いますよ」
「そう、ですね」
二人で会話をしている間、エレナは依頼書を受付に持っていっている。
誰もいないので順番待ちなどもないのだが、何故だか時間がかかっているようだ。
「……もしかして、NPCとのやり取りが分からないなんてこと、ないですよね?」
「それはない……と思いますが」
受付の前で両手を頭に置いてしまってるエレナに顔をひきつらせながら、アルストは手助けするために受付に行こうとしたのだが――
「あれも勉強のうちですから」
そう言ってアレッサに止められてしまった。
アルストはここがアレッサにゲーム初心者ではないと聞くチャンスだと思ったのだが、そのことを口にすることはなかった。
面倒ごとに巻き込まれたくないという気持ちもあったが、一番は高レアリティアイテムに関して黙ってくれたことだ。
ここでアルストが余計なことを聞いてしまえば、アレッサがアイテムのことを誰かに告げてしまう可能性を考えてしまった。
「……そうですか。なら、見守っておきましょう」
エレナからは明らかに助けて欲しいという視線が突き刺さっているのだが、アレッサからの言葉なので知らぬ不利を突き通すアルストだった。
二階層のボスフロアまでの移動時間もあるものの、ダーランダーを倒すまでに約一時間もかかっていたのかと考えるとレアボスモンスターはやはり強敵だと再認識させられる。
アルストのHPもアーカイブに戻ることで全快しているのでもう一度バベルに向かうのもありなのだが、そこはアレッサから待ったがかかった。
「お金を稼ぐだけなら、クエストをこなす方が効率がいいんですよ」
「そうなんですか? それは知らなかったです」
クエストはDPになった時だけ受けるものと認識していたアルストは純粋に驚いていた。
「アルストでも知らないことがあるのだな」
「いや、俺も昨日始めたばかりの初心者ですからね?」
「そう見えないのが不思議ですね」
「……そうでしょうか」
アレッサのことをゲーム初心者とは見ていないアルストは、今の発言に違和感を覚えながらも言及することはなかった。
何か面倒くさいことに巻き込まれるのが嫌なだけなのだが。
「とにかく、そういうことなのでクエスト屋に行ってみましょう」
「そうですね。ちなみに、エレナさんのGは今どれくらい貯まっているんですか?」
「……840G」
「な、なるべくGを稼げるクエストを受けましょう」
「……すまん」
いつも強気なエレナが謝る姿に苦笑しながら、三人はクエスト屋へと向かった。
※※※※
お金が稼げると聞いたアルストは賑わっていると思い込んでいたのだが、クエスト屋はがらんとした状態だった。
「クエストを受けるのはDPを受けた人がほとんどですからね。私達初心者には狙い目なんです」
「そういえば攻略サイトにも書かれてましたね。それにしても、アレッサさんは詳しいんですね」
「えっと、私も攻略サイトは多少見てログインしてますから」
「アルスト! そんなことよりも稼げるクエストを探すぞ!」
言葉に詰まったアレッサに疑問を覚えたアルストだったが、エレナの必死の声に意識を持っていかれてしまいそちらに向かう。
クエストはクエストボードに貼られている依頼書を手にして受付に提示すると受けることができる。
依頼書には依頼内容はもちろん、五段階の難易度や条件が記載されている。条件の中にはソロ限定やパーティ限定といった内容を満たさなければ受けられないクエストもあるので気をつけなければならない。
三人が選んだクエストは条件もなく、難易度1の簡単なものだった。
「Gは……さ、300Gかぁ」
「初めてですから、いきなり高難易度のクエストは受けられないわよ」
アレッサが言うとおり、クエストを受けるためにはもう一つ必要なものがあった。
それが、貢献度である。
クエストをどれだけクリアしているかで受けられるクエストが変わってくるのだが、初めてクエストを受ける三人の場合は難易度の低いクエストしか受けられないのだ。
「これだったら、バベルでモンスターを倒した方が貯まる気がするんだが……」
「安心してエレナちゃん。この依頼はバベルのモンスター討伐クエストだから」
「……そ、そうなのか?」
「内容を見てなかったんですか?」
「うぐっ! ……Gしか、見てなかった」
ここまで来るとエレナの目の前でフレイム・ドン・スピアを出したのは間違いだったかと思い始めてしまう。
もちろんあげるつもりもないのだが、せめてエレナがいないところでアリーナに見せるべきだったと。
そんな考えを見抜かれたのか、声をかけてきたのはアレッサだった。
「アルストさんがお気になさらないでください」
「……アレッサさん」
「エレナちゃんが欲しいと思ったから彼女も口にしたのです。欲しいと思ったものが見つかったのだから、それは良いことだと思いますよ」
「そう、ですね」
二人で会話をしている間、エレナは依頼書を受付に持っていっている。
誰もいないので順番待ちなどもないのだが、何故だか時間がかかっているようだ。
「……もしかして、NPCとのやり取りが分からないなんてこと、ないですよね?」
「それはない……と思いますが」
受付の前で両手を頭に置いてしまってるエレナに顔をひきつらせながら、アルストは手助けするために受付に行こうとしたのだが――
「あれも勉強のうちですから」
そう言ってアレッサに止められてしまった。
アルストはここがアレッサにゲーム初心者ではないと聞くチャンスだと思ったのだが、そのことを口にすることはなかった。
面倒ごとに巻き込まれたくないという気持ちもあったが、一番は高レアリティアイテムに関して黙ってくれたことだ。
ここでアルストが余計なことを聞いてしまえば、アレッサがアイテムのことを誰かに告げてしまう可能性を考えてしまった。
「……そうですか。なら、見守っておきましょう」
エレナからは明らかに助けて欲しいという視線が突き刺さっているのだが、アレッサからの言葉なので知らぬ不利を突き通すアルストだった。
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