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第一章:天上のラストルーム
第33話:クエスト③
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ボスフロアには入っていない。だからこそ仮説として口にはしなかった。
だが、周囲の風景が変わったことを受けてアルストは確信した。
「こいつ、レアボスモンスターだ!」
「レアボスモンスター? そんなの聞いたことがないぞ?」
「私も初耳です」
ここでどのように誤魔化すかを考えたいアルストだったが、目の前の巨大モスキートーンがそれを許しはしなかった。
戦闘態勢に入ったのだろう、ついに名前とHPが表示された。
「血虫《けっちゅう》ベルズ」
「本当に、レアボスモンスターというものが存在するの?」
「分からないが、本当なら大量のGが手に入るかもしれない!」
レアなアイテムも手に入ります、と言いたいアルストだったがここでは黙っておくことにした。
隠していることでもあるが、レアボスモンスターならば難易度は武器商アスラの比ではない。
二人がDPにならないよう注意しなければならないのだ。
「耐久力上昇!」
即座にスキルを発動して攻撃に備える。
あえて突出して自分を狙うように仕向けたアルストは、ベルズの複眼と目があったのを感じ取った。
「俺が相手だ!」
そう叫んだ直後、ベルズの翅が怪音波を放った。
「がああああああっ!」
「ぐううっ!」
「これは、いったい!」
怪音波はすぐに止んだのだが、三人のHP横には盾のマークが現れており、重なるようにして下を向いた矢印が見えた。
「これは、状態低下! 耐久力が減少しています!」
「まさか! ここは一階層だぞ!」
アルストの指摘に叫び返すエレナの表情は困惑している。
だが、今は言い合っている時間はない。
「アレッサさん、援護をお願いします!」
指示を飛ばしながら駆け出したアルストはアルスター3をベルズに叩き込む。
レベル15の腕力を駆使した攻撃は、ベルズのHPを一割削り取る。
直後に放たれたフレイムが着弾。ベルズの弱点なのだろうか、レベル7のアレッサによる攻撃でさらに一割を削ることができた。
「……レアボスモンスターじゃ、ない?」
そこでアルストは気づいた。
仮にベルズがレアボスモンスターだったならば、通常攻撃で一割近くもHPを削れるはずがないと。
仮にアルストのレベルで削れたとしても、アレッサのレベルで一割近くも削れるはずがないと。
「こいつは、何なんだ?」
今度は別の疑問が頭をよぎった。
風景が変わることがレアボスモンスターの条件ではないことをダーランダーとの一戦で知っているが、それでも確率は高いと思っている。
それが違うとなれば、また別の見たことも聞いたこともない何かなのか。
「今度は私だ! ブレイクスピア!」
麻痺効果を持ったブレイクスピアが直撃したベルズは、効果通りに麻痺にかかった。
そこからは早かった。特にアルストがパワーボムを当てた時には一気に四割ものHPを削り取る。
麻痺が解けた時には半分を切っていたこともあり攻撃パターンが変わるはずなのだが、そもそも最初の怪音波しか放たれていなかったので何が変わったのかも分からない。
『ブギュララララッ!』
口の中から吐き出されたのは緑色の液体。
後方に飛び退き回避したアルストとエレナだったが、液体が地面に落ちるとそこから白い煙が立ち上った。
「この液体、強酸か!」
「触れるだけでダメージがありそうだな」
「お二人とも、気をつけてください!」
後方から魔法を放つアレッサの言葉を受けて、二人も遠距離攻撃でHPを削る方向にシフトチェンジする。
だが直後には倒したはずの金の翅を持つモスキートーンが大量に現れたのは。
「このモスキートーン、ベルズが呼んでいるのか!」
「くっ、邪魔だな!」
前衛の二人がモスキートーンの相手をしていると――
「きゃあっ!」
「ア、アレッサ!」
後方からアレッサの悲鳴が聞こえてエレナが振り替える。
すると後方にもモスキートーンが現れておりアレッサに襲い掛かっていた。
「エレナさんはアレッサさんを!」
「当然だ! 前は任せたぞ!」
踵を返してアレッサに群がるモスキートーンを斬り捨て始めたエレナを見て、アルストは目の前のモスキートーンとベルズを視界に納める。
まずはモスキートーンを一撃で仕留めながらベルズに届く一撃を考え始めた。
(スマッシュバードなら届くが、溜めの間にモスキートーンに攻撃される。全てを倒したとしても、ベルズから攻撃を受ける可能性も捨てきれない)
単なる一撃なら耐えられるかもしれないが、強酸による攻撃だとどれだけHPを削られるのか想像がつかない。
ならば、溜めのない通常攻撃による連撃が必要不可欠。
頭の中でベルズを倒す算段を付けたアルストはモスキートーンを倒しきるとすぐにステイタスから装備を変更する。
「アスリーライド、行くぞ!」
特殊効果であるアスリートはストックが二つまで回復している。
そのうちの一つを使用するとたったの一歩でベルズの懐に潜り込んだアルストはこれでもかというくらいに連撃を叩き込んでいく。
すでに二割を切っていたベルズのHPは一気に減少すると、反撃の隙を与えることなく全損させることに成功した。
森の中に広がる光の粒子。
振り替えればベルズが倒されたからか、アレッサとエレナの近くにいたモスキートーンも同時に光の粒子へと変わっていた。
「……こいつは、何だったんだ?」
アルストの疑問は溶けていなったが、その答えは電子音が教えてくれた。
『おめでとうございます。アルスト様のレベルが16に上がりました』
『おめでとうございます。剣術士のレベルが16に上がりました』
『クエストボスモンスター:血虫ベルズ討伐により、ドロップアイテムを獲得しました。MVP賞を獲得しました。ラストアタック賞を獲得しました。アイテムボックスをご確認下さい』
イベントボスモンスターと聞いたアルストは肩透かしを食らった気分になった。
だが、周囲の風景が変わったことを受けてアルストは確信した。
「こいつ、レアボスモンスターだ!」
「レアボスモンスター? そんなの聞いたことがないぞ?」
「私も初耳です」
ここでどのように誤魔化すかを考えたいアルストだったが、目の前の巨大モスキートーンがそれを許しはしなかった。
戦闘態勢に入ったのだろう、ついに名前とHPが表示された。
「血虫《けっちゅう》ベルズ」
「本当に、レアボスモンスターというものが存在するの?」
「分からないが、本当なら大量のGが手に入るかもしれない!」
レアなアイテムも手に入ります、と言いたいアルストだったがここでは黙っておくことにした。
隠していることでもあるが、レアボスモンスターならば難易度は武器商アスラの比ではない。
二人がDPにならないよう注意しなければならないのだ。
「耐久力上昇!」
即座にスキルを発動して攻撃に備える。
あえて突出して自分を狙うように仕向けたアルストは、ベルズの複眼と目があったのを感じ取った。
「俺が相手だ!」
そう叫んだ直後、ベルズの翅が怪音波を放った。
「がああああああっ!」
「ぐううっ!」
「これは、いったい!」
怪音波はすぐに止んだのだが、三人のHP横には盾のマークが現れており、重なるようにして下を向いた矢印が見えた。
「これは、状態低下! 耐久力が減少しています!」
「まさか! ここは一階層だぞ!」
アルストの指摘に叫び返すエレナの表情は困惑している。
だが、今は言い合っている時間はない。
「アレッサさん、援護をお願いします!」
指示を飛ばしながら駆け出したアルストはアルスター3をベルズに叩き込む。
レベル15の腕力を駆使した攻撃は、ベルズのHPを一割削り取る。
直後に放たれたフレイムが着弾。ベルズの弱点なのだろうか、レベル7のアレッサによる攻撃でさらに一割を削ることができた。
「……レアボスモンスターじゃ、ない?」
そこでアルストは気づいた。
仮にベルズがレアボスモンスターだったならば、通常攻撃で一割近くもHPを削れるはずがないと。
仮にアルストのレベルで削れたとしても、アレッサのレベルで一割近くも削れるはずがないと。
「こいつは、何なんだ?」
今度は別の疑問が頭をよぎった。
風景が変わることがレアボスモンスターの条件ではないことをダーランダーとの一戦で知っているが、それでも確率は高いと思っている。
それが違うとなれば、また別の見たことも聞いたこともない何かなのか。
「今度は私だ! ブレイクスピア!」
麻痺効果を持ったブレイクスピアが直撃したベルズは、効果通りに麻痺にかかった。
そこからは早かった。特にアルストがパワーボムを当てた時には一気に四割ものHPを削り取る。
麻痺が解けた時には半分を切っていたこともあり攻撃パターンが変わるはずなのだが、そもそも最初の怪音波しか放たれていなかったので何が変わったのかも分からない。
『ブギュララララッ!』
口の中から吐き出されたのは緑色の液体。
後方に飛び退き回避したアルストとエレナだったが、液体が地面に落ちるとそこから白い煙が立ち上った。
「この液体、強酸か!」
「触れるだけでダメージがありそうだな」
「お二人とも、気をつけてください!」
後方から魔法を放つアレッサの言葉を受けて、二人も遠距離攻撃でHPを削る方向にシフトチェンジする。
だが直後には倒したはずの金の翅を持つモスキートーンが大量に現れたのは。
「このモスキートーン、ベルズが呼んでいるのか!」
「くっ、邪魔だな!」
前衛の二人がモスキートーンの相手をしていると――
「きゃあっ!」
「ア、アレッサ!」
後方からアレッサの悲鳴が聞こえてエレナが振り替える。
すると後方にもモスキートーンが現れておりアレッサに襲い掛かっていた。
「エレナさんはアレッサさんを!」
「当然だ! 前は任せたぞ!」
踵を返してアレッサに群がるモスキートーンを斬り捨て始めたエレナを見て、アルストは目の前のモスキートーンとベルズを視界に納める。
まずはモスキートーンを一撃で仕留めながらベルズに届く一撃を考え始めた。
(スマッシュバードなら届くが、溜めの間にモスキートーンに攻撃される。全てを倒したとしても、ベルズから攻撃を受ける可能性も捨てきれない)
単なる一撃なら耐えられるかもしれないが、強酸による攻撃だとどれだけHPを削られるのか想像がつかない。
ならば、溜めのない通常攻撃による連撃が必要不可欠。
頭の中でベルズを倒す算段を付けたアルストはモスキートーンを倒しきるとすぐにステイタスから装備を変更する。
「アスリーライド、行くぞ!」
特殊効果であるアスリートはストックが二つまで回復している。
そのうちの一つを使用するとたったの一歩でベルズの懐に潜り込んだアルストはこれでもかというくらいに連撃を叩き込んでいく。
すでに二割を切っていたベルズのHPは一気に減少すると、反撃の隙を与えることなく全損させることに成功した。
森の中に広がる光の粒子。
振り替えればベルズが倒されたからか、アレッサとエレナの近くにいたモスキートーンも同時に光の粒子へと変わっていた。
「……こいつは、何だったんだ?」
アルストの疑問は溶けていなったが、その答えは電子音が教えてくれた。
『おめでとうございます。アルスト様のレベルが16に上がりました』
『おめでとうございます。剣術士のレベルが16に上がりました』
『クエストボスモンスター:血虫ベルズ討伐により、ドロップアイテムを獲得しました。MVP賞を獲得しました。ラストアタック賞を獲得しました。アイテムボックスをご確認下さい』
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