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第一章:天上のラストルーム
第50話:ミニマムキャット討伐①
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イベント専用マップは多くのプレイヤーが混雑しないよう複数のサーバーが用意されている。その数はなんと1000サーバー。
これでも少ないと言うプレイヤーはいるのだが、それはなかなか上位に食い込めない中間層の意見であり、上位陣や下位に沈んでいるプレイヤーからは特に聞こえてこない。
上位陣は言うまでもなく現状で上位に位置できているから。
下位に沈んているプレイヤーはゲーム自体を楽しんでいる層なので、下位でも構わないと思っているプレイヤーが大半を占めている。
その中においてPKもできないのだから、中間層からするとイライラが募るばかりなのだろう。
ならばイベントに参加しなければいいのだが、そこは報酬がいいので狙ってしまうのが心情だ。
特に今回のイベントには多くのプレイヤーが参加すると見られている。
その理由は討伐対象のミニマムキャットにあった。
ミニマムキャットは遭遇率の低いモンスターであり、ドロップするアイテムが高値で売却できることで知られている。
もちろんレアアイテムなのでなかなかドロップしないアイテムなのだが、数多く討伐できればドロップする確率も上がるということで、レアドロップアイテム【紫煙の光玉】を狙って参加者が急増するだろうというのが大方の予想だった。
アルスト達はイベント開始と同時にイベント専用マップに移動した。
移動した先のマップは見渡す限りの大草原。ポツポツと背の高い木が生えているのだが、その高さがまた桁違い。頂点が見えないくらいに高い木しか生えていない。
一定の距離を置いて他のプレイヤーも移動してきているので、アルストは一つの提案を口にする。
「とりあえず、他のプレイヤーとは離れて行動しましょう」
「それはどうしてだ?」
「俺達だとミニマムキャットを発見しても、他のプレイヤーに横取りされてしまう可能性が高いですからね」
「そうですね。実力的にはやはり一番下でしょうから」
上位陣はもちろんだが、中間層や下位に沈んでいるプレイヤーと比べてもアルスト達は最弱の部類に入る。
ミニマムキャットを発見して争うとなれば、どうしても競り負けてしまうのは明白。ならば最初から離れて行動したらいいとアルストは考えていた。
二人もその方が良いと頷いてくれたこともあり、他のプレイヤーの動きを見ながら、比較的誰も向かっていない場所へ移動する。
それでも次々とプレイヤーがイベント専用マップに移動してくるのでどうしても被ることはある。そこは仕方がないと割り切るしかないだろう。
そんなことを考えていると、プレイヤーが多く移動していった先で声が上がった。
「――よっしゃー! 討伐したぞ!」
いきなりの討伐に三人は顔を見合わせた。
イベント専用マップとはいえ他のモンスターも闊歩している。そしてミニマムキャットは出現率が極めて低いモンスターで知られていた。
イベントの為に出現率が7%に補正されるとは書かれていたものの、これほど早くエンカウントするとは思ってもいなかったのだ。
最初の声を皮切りに、いたるところから次々と討伐報告の声が上がる。
多くのプレイヤーがミニマムキャットにだけ集中しており、他のモンスターを片手間に片付けている。
だがアルスト達にそれができるかと言われると、答えはできないだった。
「何なんだ、こいつらは!」
「モンスターですよ!」
「分かってますけど、どうして私達ばかり狙ってくるんでしょう!」
アルスト達が狙われているわけではない。
他のプレイヤーが片手間に倒しているモンスターにただ苦戦を強いられているだけだった。
その様子を見た他のプレイヤーはアルスト達をミニマムキャットを争うライバルから外し、どんどん離れていってしまう。
幸か不幸か、モンスターに苦戦している姿がアルストの思惑を手助けする結果になっていた。
しかし、このままではミニマムキャットが現れたとしても倒しようがない。
「手に馴染むからとか、言ってられないな!」
アルストはアルスター3からスレイフニルに装備を変更することにした。
一瞬の煌めきを利用して一度大きく後退したアルストはすぐに装備を変更、手元のアルスター3が消えてすぐにスレイフニルが現れる。
キングベアー戦を経て、装備変更も様になってきた。
レア度3のミスリルを使った武器の斬れ味を楽しみにしながら駆け出して目の前にいる初見のモンスター、ブルバットめがけてスレイフニルを振り下ろした。
マッスルベアーに翼が生えたような見た目のブルバットは、強靭な筋肉を盛り上がらせて弾き返そうと試みる。
――ザンッ!
僅かな抵抗の後に両断されたブルバットの右腕。
驚愕に目を見開いた直後に絶叫。
返す刃で胴体を斬り裂くと、ブルバットは光の粒子になってしまった。
近場のモンスターを次から次へと斬り捨てていくアルストを見て、エレナも奮起しスピルニアを躍動させる。
一撃とはいかないものの連撃からこちらも初見のモンスター、上半身が人形で下半身が蛇の体を持つミーディアを貫いた。
アレッサは後衛の位置からフレイムを放ちつつ、隙を見せたモンスターにはサンダーボルトと落として麻痺にしていく。
周囲に他のプレイヤーの影はなく、近くのモンスターは三人に引き寄せられるように集まってくるのだが、それでも少しずつ確実に粒子へ変化させていく。
そして数分後、三人は二〇匹近い数のモンスターを討伐したのだった。
これでも少ないと言うプレイヤーはいるのだが、それはなかなか上位に食い込めない中間層の意見であり、上位陣や下位に沈んでいるプレイヤーからは特に聞こえてこない。
上位陣は言うまでもなく現状で上位に位置できているから。
下位に沈んているプレイヤーはゲーム自体を楽しんでいる層なので、下位でも構わないと思っているプレイヤーが大半を占めている。
その中においてPKもできないのだから、中間層からするとイライラが募るばかりなのだろう。
ならばイベントに参加しなければいいのだが、そこは報酬がいいので狙ってしまうのが心情だ。
特に今回のイベントには多くのプレイヤーが参加すると見られている。
その理由は討伐対象のミニマムキャットにあった。
ミニマムキャットは遭遇率の低いモンスターであり、ドロップするアイテムが高値で売却できることで知られている。
もちろんレアアイテムなのでなかなかドロップしないアイテムなのだが、数多く討伐できればドロップする確率も上がるということで、レアドロップアイテム【紫煙の光玉】を狙って参加者が急増するだろうというのが大方の予想だった。
アルスト達はイベント開始と同時にイベント専用マップに移動した。
移動した先のマップは見渡す限りの大草原。ポツポツと背の高い木が生えているのだが、その高さがまた桁違い。頂点が見えないくらいに高い木しか生えていない。
一定の距離を置いて他のプレイヤーも移動してきているので、アルストは一つの提案を口にする。
「とりあえず、他のプレイヤーとは離れて行動しましょう」
「それはどうしてだ?」
「俺達だとミニマムキャットを発見しても、他のプレイヤーに横取りされてしまう可能性が高いですからね」
「そうですね。実力的にはやはり一番下でしょうから」
上位陣はもちろんだが、中間層や下位に沈んでいるプレイヤーと比べてもアルスト達は最弱の部類に入る。
ミニマムキャットを発見して争うとなれば、どうしても競り負けてしまうのは明白。ならば最初から離れて行動したらいいとアルストは考えていた。
二人もその方が良いと頷いてくれたこともあり、他のプレイヤーの動きを見ながら、比較的誰も向かっていない場所へ移動する。
それでも次々とプレイヤーがイベント専用マップに移動してくるのでどうしても被ることはある。そこは仕方がないと割り切るしかないだろう。
そんなことを考えていると、プレイヤーが多く移動していった先で声が上がった。
「――よっしゃー! 討伐したぞ!」
いきなりの討伐に三人は顔を見合わせた。
イベント専用マップとはいえ他のモンスターも闊歩している。そしてミニマムキャットは出現率が極めて低いモンスターで知られていた。
イベントの為に出現率が7%に補正されるとは書かれていたものの、これほど早くエンカウントするとは思ってもいなかったのだ。
最初の声を皮切りに、いたるところから次々と討伐報告の声が上がる。
多くのプレイヤーがミニマムキャットにだけ集中しており、他のモンスターを片手間に片付けている。
だがアルスト達にそれができるかと言われると、答えはできないだった。
「何なんだ、こいつらは!」
「モンスターですよ!」
「分かってますけど、どうして私達ばかり狙ってくるんでしょう!」
アルスト達が狙われているわけではない。
他のプレイヤーが片手間に倒しているモンスターにただ苦戦を強いられているだけだった。
その様子を見た他のプレイヤーはアルスト達をミニマムキャットを争うライバルから外し、どんどん離れていってしまう。
幸か不幸か、モンスターに苦戦している姿がアルストの思惑を手助けする結果になっていた。
しかし、このままではミニマムキャットが現れたとしても倒しようがない。
「手に馴染むからとか、言ってられないな!」
アルストはアルスター3からスレイフニルに装備を変更することにした。
一瞬の煌めきを利用して一度大きく後退したアルストはすぐに装備を変更、手元のアルスター3が消えてすぐにスレイフニルが現れる。
キングベアー戦を経て、装備変更も様になってきた。
レア度3のミスリルを使った武器の斬れ味を楽しみにしながら駆け出して目の前にいる初見のモンスター、ブルバットめがけてスレイフニルを振り下ろした。
マッスルベアーに翼が生えたような見た目のブルバットは、強靭な筋肉を盛り上がらせて弾き返そうと試みる。
――ザンッ!
僅かな抵抗の後に両断されたブルバットの右腕。
驚愕に目を見開いた直後に絶叫。
返す刃で胴体を斬り裂くと、ブルバットは光の粒子になってしまった。
近場のモンスターを次から次へと斬り捨てていくアルストを見て、エレナも奮起しスピルニアを躍動させる。
一撃とはいかないものの連撃からこちらも初見のモンスター、上半身が人形で下半身が蛇の体を持つミーディアを貫いた。
アレッサは後衛の位置からフレイムを放ちつつ、隙を見せたモンスターにはサンダーボルトと落として麻痺にしていく。
周囲に他のプレイヤーの影はなく、近くのモンスターは三人に引き寄せられるように集まってくるのだが、それでも少しずつ確実に粒子へ変化させていく。
そして数分後、三人は二〇匹近い数のモンスターを討伐したのだった。
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