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第一章:天上のラストルーム
第53話:ミニマムキャット討伐④
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アルストが再びログインした時には二一時を回っていた。
本当なら休もうかと思っていたアルストだが、二人に何も言わず休むのもどうかと考えてのログインだ。
予想していた通り二人はログイン状態だったので、今となっては苦笑を浮かべるばかりである。
メールでログインしたことを送信し、その足でアリーナの武具店へと向かう。
アリーナもログインしており、今回は装備のことと【ねこじゃらし】のお礼を伝えるために向かった。
武具店の扉を開けると、そこには見たことのない男性プレイヤーと親しげに会話をするアリーナがいた。
「あら、アルスト君。いらっしゃい」
「すいません、お客さんがいたんですね。また後で――」
「あぁ、構わないでくれ。僕の用事は済んだからね。それじゃあアリーナ、今度こそ頼むよ」
「気が向いたらねー」
「……全く。それじゃあ失礼するよ」
男性プレイヤーはアルストにも会釈をして店を出ていった。
「……あの、本当に大丈夫だったんですか?」
「大丈夫大丈夫。あの人は攻略組のリーダーをしている人なんだけど、私に早く復帰しろってうるさいのよー」
「……それって全然大丈夫じゃないですよね! ってか攻略組のリーダーに復帰を望まれるって、アリーナさんどれだけ強いんですか!」
「私みたいな奴は攻略組にゴロゴロいるから強くないわよ。それに私の固有能力は鍛冶師よ? 強いわけないじゃない」
笑顔のまま手を振るアリーナだが、アルストは信じていなかった。
そもそも攻略組にいた時点で実力は推して知るべし、そして攻略組のリーダーが復帰を望むとなれば、想像を遥かに超える実力を持っていることは明白だ。
「……アリーナさんの職業って、何なんですか?」
「あら、女性にそんなこと聞くの? 恥ずかしいわー」
「ただ職業を聞いただけですよね!」
「あははー。まあ、そのうち教えてあげるわよ。そうねぇ、パーティを組む時にでも」
そんな日がくるのだろうかと思いながら、話したくないことを無理やり聞こうとも思わないのでこの話は終わることにした。
アルストは訪れた理由を口にして、改めてお礼を言った。
「装備と【ねこじゃらし】、本当にありがとうございました。おかげで初日は相当な数を討伐できましたよ」
「それなら良かったわ。エレナちゃんも【紫煙の光玉】を手に入れられたんじゃないの?」
「そうですね。これならイベントが終わった時にフレイム・ドン・スピアを買いに来るんじゃないでしょうか」
「それは嬉しいわ。私の懐も潤うことだし」
懐を潤したいならイベントに参加したらよかったのにとアルストは思っていたが、顏に出ていたのかアリーナは苦笑を浮かべている。
「楽して稼ぎたいじゃない? フレイム・ドン・スピアもアルスト君の持ち込みだし」
「……えぇー」
楽して稼ぎたいと言われるとアルストも同じ部類の考え方をする人間なので言い返せなかった。
お礼も伝えて時間も遅いこともありアルストも店を出ようとしたのだが、一つ気になったことがあったので質問することにした。
「そういえば、【ねこじゃらし】が使えなくなった後にもミニマムキャットが沢山出てきたんですが、【ねこじゃらし】の効果って長い時間持続するものなんですか?」
「持続? しないしない。茎だけになったらそれまでよ。……えっ、その後も出てきたってこと?」
「そうなんです」
「……これもアルスト君の固有能力ってことかしら。ってことは、私の気遣いは無駄だったのかしら?」
【ねこじゃらし】をあげたこと自体意味がなかったかもしれないとアリーナは考えていた。
「いやいや、【ねこじゃらし】が呼び水になったのは間違いないので、あれは必要でしたよ。本当にありがとうございます」
「……まあ、そういうことにしておきましょうか。それで、アルスト君はこれからまたイベントに参加するの?」
苦笑を浮かべながらそう口にしたアリーナに、アルストも苦笑を浮かべる。
「アレッサさんとエレナさんがやる気満々なんです。今もログインしてアーカイブをうろうろしているみたいなんで、もう少し付き合おうかと思ってます」
「そうなんだ……あの二人、ずっとログインしてるから心配なのよね」
「俺もそう思います。ログインする度に二人もログインしてるから、ご飯食べてるのかなって思うんですよ」
アリーナも同じ心配をしていたようで、パーティを組んでいるアルストに声を掛けたかったようだ。
「アルスト君からもちゃんと言ってあげてね。ログアウトしたくないって言ってもずっとってわけじゃないだろうし、体を壊す原因にもなっちゃうからね」
「発売当初はニュースにもなりましたからね、分かってますよ」
長時間ログインし続けた結果、意識を失い強制ログアウトが多発し病院送りになったというニュースは記憶に新しい。
そうならないようにアルストも気を付けているのだが、今でも長時間ログインし続けるプレイヤーはいるようで、強制ログアウトするプレイヤーもまだいるようだ。
ただ、そういったプレイヤーはソロプレイヤーが多くパーティを組んでいるプレイヤーはお互いで注意喚起できるようなので少ないのだとか。
「アルスト君がソロに戻った時が心配ね」
「ちゃんと気を付けますよ。それじゃあ行きますね」
「私はログアウトして寝るわ。お休みー」
「お休みなさい」
苦笑を浮かべながら、今度こそアルストは武具店を後にした。
本当なら休もうかと思っていたアルストだが、二人に何も言わず休むのもどうかと考えてのログインだ。
予想していた通り二人はログイン状態だったので、今となっては苦笑を浮かべるばかりである。
メールでログインしたことを送信し、その足でアリーナの武具店へと向かう。
アリーナもログインしており、今回は装備のことと【ねこじゃらし】のお礼を伝えるために向かった。
武具店の扉を開けると、そこには見たことのない男性プレイヤーと親しげに会話をするアリーナがいた。
「あら、アルスト君。いらっしゃい」
「すいません、お客さんがいたんですね。また後で――」
「あぁ、構わないでくれ。僕の用事は済んだからね。それじゃあアリーナ、今度こそ頼むよ」
「気が向いたらねー」
「……全く。それじゃあ失礼するよ」
男性プレイヤーはアルストにも会釈をして店を出ていった。
「……あの、本当に大丈夫だったんですか?」
「大丈夫大丈夫。あの人は攻略組のリーダーをしている人なんだけど、私に早く復帰しろってうるさいのよー」
「……それって全然大丈夫じゃないですよね! ってか攻略組のリーダーに復帰を望まれるって、アリーナさんどれだけ強いんですか!」
「私みたいな奴は攻略組にゴロゴロいるから強くないわよ。それに私の固有能力は鍛冶師よ? 強いわけないじゃない」
笑顔のまま手を振るアリーナだが、アルストは信じていなかった。
そもそも攻略組にいた時点で実力は推して知るべし、そして攻略組のリーダーが復帰を望むとなれば、想像を遥かに超える実力を持っていることは明白だ。
「……アリーナさんの職業って、何なんですか?」
「あら、女性にそんなこと聞くの? 恥ずかしいわー」
「ただ職業を聞いただけですよね!」
「あははー。まあ、そのうち教えてあげるわよ。そうねぇ、パーティを組む時にでも」
そんな日がくるのだろうかと思いながら、話したくないことを無理やり聞こうとも思わないのでこの話は終わることにした。
アルストは訪れた理由を口にして、改めてお礼を言った。
「装備と【ねこじゃらし】、本当にありがとうございました。おかげで初日は相当な数を討伐できましたよ」
「それなら良かったわ。エレナちゃんも【紫煙の光玉】を手に入れられたんじゃないの?」
「そうですね。これならイベントが終わった時にフレイム・ドン・スピアを買いに来るんじゃないでしょうか」
「それは嬉しいわ。私の懐も潤うことだし」
懐を潤したいならイベントに参加したらよかったのにとアルストは思っていたが、顏に出ていたのかアリーナは苦笑を浮かべている。
「楽して稼ぎたいじゃない? フレイム・ドン・スピアもアルスト君の持ち込みだし」
「……えぇー」
楽して稼ぎたいと言われるとアルストも同じ部類の考え方をする人間なので言い返せなかった。
お礼も伝えて時間も遅いこともありアルストも店を出ようとしたのだが、一つ気になったことがあったので質問することにした。
「そういえば、【ねこじゃらし】が使えなくなった後にもミニマムキャットが沢山出てきたんですが、【ねこじゃらし】の効果って長い時間持続するものなんですか?」
「持続? しないしない。茎だけになったらそれまでよ。……えっ、その後も出てきたってこと?」
「そうなんです」
「……これもアルスト君の固有能力ってことかしら。ってことは、私の気遣いは無駄だったのかしら?」
【ねこじゃらし】をあげたこと自体意味がなかったかもしれないとアリーナは考えていた。
「いやいや、【ねこじゃらし】が呼び水になったのは間違いないので、あれは必要でしたよ。本当にありがとうございます」
「……まあ、そういうことにしておきましょうか。それで、アルスト君はこれからまたイベントに参加するの?」
苦笑を浮かべながらそう口にしたアリーナに、アルストも苦笑を浮かべる。
「アレッサさんとエレナさんがやる気満々なんです。今もログインしてアーカイブをうろうろしているみたいなんで、もう少し付き合おうかと思ってます」
「そうなんだ……あの二人、ずっとログインしてるから心配なのよね」
「俺もそう思います。ログインする度に二人もログインしてるから、ご飯食べてるのかなって思うんですよ」
アリーナも同じ心配をしていたようで、パーティを組んでいるアルストに声を掛けたかったようだ。
「アルスト君からもちゃんと言ってあげてね。ログアウトしたくないって言ってもずっとってわけじゃないだろうし、体を壊す原因にもなっちゃうからね」
「発売当初はニュースにもなりましたからね、分かってますよ」
長時間ログインし続けた結果、意識を失い強制ログアウトが多発し病院送りになったというニュースは記憶に新しい。
そうならないようにアルストも気を付けているのだが、今でも長時間ログインし続けるプレイヤーはいるようで、強制ログアウトするプレイヤーもまだいるようだ。
ただ、そういったプレイヤーはソロプレイヤーが多くパーティを組んでいるプレイヤーはお互いで注意喚起できるようなので少ないのだとか。
「アルスト君がソロに戻った時が心配ね」
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苦笑を浮かべながら、今度こそアルストは武具店を後にした。
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