傷物英雄、義手義足となり真の勇者を目指す

渡琉兎

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第23話:ヴァルヴォーグ辺境伯との再会

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 ハヴィの案内で辿り着いた小屋では、ヴァルヴォーグ辺境伯の護衛が迎えてくれた。
 しかし、辺境伯の護衛にしては数が少なく、パッと見では五名程度しか姿が見えない。

「他にも護衛はいるのか?」
「いいえ、これだけです。残りはアルヴァにつきました」

 権力を持っている辺境伯にではなく、次期辺境伯でしかないアルヴァについたというのも、不思議な話だとバジリオは思う。

(……今回の謀反、本当にアルヴァだけで行われていることなのか?)

 そんなことを考えながら、ハヴィが促してくれたので小屋の中に入る。
 中にはベッドが一台だけ置かれており、そこに寝かされている人物を見て、バジリオの心は締め付けられる。

「……本当に、毒を盛られてしまったんだな。ヴァルヴォーグ辺境伯」

 バジリオがそう口にすると、声が聞こえたのか辺境伯がゆっくりと目を開いた。

「……あぁ。バジリオか。久しいな」
「なんて体たらくだよ」
「はは。手厳しいな」

 ヴァルヴォーグ辺境伯へバジリオが気安く話し掛けたことに、キリカとハヅキは驚きを隠せない。
 すると小声でハヴィが教えてくれる。

「父上は武勇で辺境伯の地位を得たお方です。バジリオ様と親交を深めた戦争では、彼と共に並び立ち、最前線で魔族と戦ったと伺っています」

 バジリオとヴァルヴォーグ辺境伯の間では、お互いの関係性を戦友だと考えている。
 だからこそ、変に気を遣うことはなく、気安く声を掛け合っていた。

「ハヴィ。手を貸してくれるか?」
「はい、父上」

 ヴァルヴォーグ辺境伯がそう声を掛けると、ハヴィの助けを借りて上半身を起こす。

「無理はするなよ?」
「せっかく戦友が顔を見せに来てくれたんだ。寝たきりでは申し訳が立たんよ」

 そう答えたヴァルヴォーグ辺境伯は、その視線を後ろに控えていたキリカとハヅキに向ける。

「初めまして。私は辺境伯領の領主、レディオ・ヴァルヴォーグだ」
「はっ! し、失礼いたしました! 私は――」
「あぁ。堅苦しいのはなしだ。頭も下げる必要はないよ」

 相手が貴族であるのだと思い出したキリカが頭を下げて名乗ろうとしたところを、レディオが柔和な声で制した。

「で、ですが……」
「本当に構いませんよ、キリカ様。父上はそういうお方ですから」
「……か、かしこまりました。私はラビクの里の出身、キリカと申します」
「私はハヅキです」

 最後にハヴィが後押しすると、キリカは顔を上げて、ハヅキと共に自己紹介を行う。

「それにしても、いったい何があったんだ? アルヴァが謀反だと? それは本当なのか? 手を貸すから、教えてくれないか?」
「バジリオ様、いきなり過ぎませんか?」

 単刀直入に問い質したバジリオに、キリカが口を挟んだ。
 しかしレディオは首を横に振り、キリカを制して答えていく。

「構わないさ、キリカ君。むしろ、バジリオには説明すべきだろう。私の屋敷にいた頃は、子供たちを可愛がってくれていたのだからね」

 そう答えたレディオだったが、語られた内容はハヴィから聞いたものと変わりなかった。
 半月ほど前、人が変わったように突然乱暴となり、ヴァルジーナの酒場で酒を飲み、金は払わないと言い始めた。
 レディオも叱責したが態度が変わることはなく、その翌日の食事に毒を盛られてしまった。

「全く、不甲斐ないよな。魔族を相手にすれば鬼気として剣を振るえた俺が、息子を相手には罰を下すのを躊躇い、毒を盛られてしまったのだから」

 自虐気味に笑うレディオだったが、バジリオはそんな風に考えてはいなかった。

「お前、何を言っているんだ? 自分の子供だろう。大切に思うのは当然じゃないか」

 当たり前のように発せられたバジリオの言葉に、レディオはハッとさせられた。

「……だが、私は貴族だ。領民のことを考えるのが、領主の役目――」
「領主だったら子供を蔑ろにしてもいいのか? そんなわけないだろう。それに、罰せられなかったってことは、レディオもアルヴァのことを信じているってことだろ、違うか?」
「それは、そうだが……」
「二人からの証言しか聞いていないが、アルヴァの変化は明らかにおかしい。なんらかの外的要因があると考えてもいいんじゃないか?」

 バジリオの最後の発言に、レディオとハヴィが目を見開いた。
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