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第26話:ハヅキの戦い
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「こいつ! ぶっ殺してやる!」
腕を斬られた魔族が憤怒の表情で叫ぶと、ハヅキへ襲い掛かる。
「なんの工夫もない――!?」
迎え撃とうとしたハヅキだったが、襲い掛かりながら魔族の斬り落とした腕が突如再生し、予想外の方向から攻撃が飛んでくる。
驚異的な反応速度で受け止めると、素早く飛び退いて距離を取る。
しかし、そこには残る二人の魔族が迫っていた。
「双葉斬り!」
ハヅキは着地と同時に刀を振り抜き、拘束の二連斬りを放つ。
一人の両腕を斬り飛ばすことには成功したものの、もう一人は素早く体を仰け反らせて回避した。
「ぐがああああっ!? 腕がぁ……俺の、腕がああああっ!?」
「こいつ、強いぞ!」
痛みに声を上げる魔族を見ながら、ハヅキは冷静に状況分析を始める。
(最初に腕を落とした魔族は、その腕を再生させた。だが、目の前の魔族は痛がるだけだ。……まさか、魔族全員が再生できるわけではないということか?)
全員が再生できるのであれば、痛がっている魔族だけではなく、避けた魔族も回避する理由がない。
もちろん、際限なく再生できるわけではないだろうが、だとしても初見の相手の虚をつくことはできたはずだ。
それをしないということは、間違いなく再生できる魔族が限られているだろうと、ハヅキは結論付けた。
「ならば先に片付けるのは――お前だ!」
一瞬の判断で、ハヅキは前に出る。狙いは両腕を斬り飛ばした魔族だ。
ハヅキの考え方は正しかった。
だが、それはおのずと、再生を持たない魔族は別の能力を持っている、ということにも繋がってくる。
「ぐぬぬ……燃えろおおおおっ!!」
両腕のない魔族がそう叫ぶと同時に、魔族の目の前に青炎が顕現した。
そこへ街路樹から落ち葉が近づいていくと――
――ボッ!
青炎に触れる前に落ち葉は燃え上がり、一気に灰へと変わってしまう。
それだけで青炎が相当な火力を秘めていることが容易に想像できた。
「ふっ!」
それでもハヅキは勢いを落とすことなく、むしろさらに加速して前へ出て行く。
「バカめ! そのまま灰にしてやるぜっ!」
青炎は触れたものを、灰になるまで消えることのない炎を灯す、という効果を持っている。
故に、青炎を見ても前に出てきたハヅキを見て、両腕のない魔族は勝利を確信して笑みを刻んだ。
「バカ野郎! 下だ!」
「下?」
最初の魔族が声を上げた。
両腕のない魔族は困惑顔で視線を下に向けたのだが、その時には既にハヅキの刀が横薙がれた後だった。
膝より下から両脚とも両断された、両腕のない魔族。
四肢を失ったことでそのまま倒れていき、そのまま自らが顕現させた青炎に触れてしまう。
「ぎゃああああぁぁああぁぁっ!? あづい、あづいいいいああああぁぁああぁぁっ!?」
青炎は顔から首、そして胴体へと燃え広がっていく。
喉まで焼けたからか、最後の方は声すらも発することなく、四肢を失った魔族はそのまま灰に変わってしまった。
「貴様ああああっ!!」
「はぁ、はぁ……ぶっ殺して――えひゃ?」
怒声を響かせた最初の魔族とは違い、再生能力持ちの魔族の言葉は最後の方で裏声に変わる。
それは何故か――その首が胴体から切り離されたからだ。
「はあっ!」
気合いのこもった声と共に、ハヅキが何度も刀を振るう。
すると、宙を舞う首に幾筋もの切れ込みが入り、直後にはバラバラに切り刻まれていた。
「再生能力を持っていたとしても、首がなくなれば終わりでしょう」
首を斬り飛ばし、バラバラに切り刻むまで、一秒と掛かっていない。
「……嘘、だろ?」
その事実が受け入れられず、最初の魔族は唖然としたままそう呟くことしかできない。
「さあ。あなたは私に、何を見せてくれるのですか?」
最初の魔族へ切っ先を向けながら、ハヅキが力強い言葉でそう口にする。
「……クソがぁ……クソが、クソが、クソがああああっ! 簡単な仕事だと言われたからついてきたのに、クソったれがああああああああっ!!」
雄叫びを上げた最初の魔族は、その肉体を硬化させていく。
「俺様の肉体は、高硬度を誇るアダマンタイトよりも硬いと言われている! 他の奴らと同じだと思うな――ぼ?」
一振りだった。
ハヅキが刀を上段に構え、一切の迷いなく振り下ろした。
高硬度のアダマンタイトよりも硬いと語っていた魔族だったが、ハヅキの一振りは脳天から股へかけて、一直線に両断されていた。
「……ミツルギ流剣術、斬鉄」
こうしてハヅキと三人の魔族の戦いは、ハヅキの圧勝に終わった。
――この時、ハヅキは気づいていなかった。
彼女の実力は英雄と呼ばれる者たちと肩を並べるほどになっていたことに。
腕を斬られた魔族が憤怒の表情で叫ぶと、ハヅキへ襲い掛かる。
「なんの工夫もない――!?」
迎え撃とうとしたハヅキだったが、襲い掛かりながら魔族の斬り落とした腕が突如再生し、予想外の方向から攻撃が飛んでくる。
驚異的な反応速度で受け止めると、素早く飛び退いて距離を取る。
しかし、そこには残る二人の魔族が迫っていた。
「双葉斬り!」
ハヅキは着地と同時に刀を振り抜き、拘束の二連斬りを放つ。
一人の両腕を斬り飛ばすことには成功したものの、もう一人は素早く体を仰け反らせて回避した。
「ぐがああああっ!? 腕がぁ……俺の、腕がああああっ!?」
「こいつ、強いぞ!」
痛みに声を上げる魔族を見ながら、ハヅキは冷静に状況分析を始める。
(最初に腕を落とした魔族は、その腕を再生させた。だが、目の前の魔族は痛がるだけだ。……まさか、魔族全員が再生できるわけではないということか?)
全員が再生できるのであれば、痛がっている魔族だけではなく、避けた魔族も回避する理由がない。
もちろん、際限なく再生できるわけではないだろうが、だとしても初見の相手の虚をつくことはできたはずだ。
それをしないということは、間違いなく再生できる魔族が限られているだろうと、ハヅキは結論付けた。
「ならば先に片付けるのは――お前だ!」
一瞬の判断で、ハヅキは前に出る。狙いは両腕を斬り飛ばした魔族だ。
ハヅキの考え方は正しかった。
だが、それはおのずと、再生を持たない魔族は別の能力を持っている、ということにも繋がってくる。
「ぐぬぬ……燃えろおおおおっ!!」
両腕のない魔族がそう叫ぶと同時に、魔族の目の前に青炎が顕現した。
そこへ街路樹から落ち葉が近づいていくと――
――ボッ!
青炎に触れる前に落ち葉は燃え上がり、一気に灰へと変わってしまう。
それだけで青炎が相当な火力を秘めていることが容易に想像できた。
「ふっ!」
それでもハヅキは勢いを落とすことなく、むしろさらに加速して前へ出て行く。
「バカめ! そのまま灰にしてやるぜっ!」
青炎は触れたものを、灰になるまで消えることのない炎を灯す、という効果を持っている。
故に、青炎を見ても前に出てきたハヅキを見て、両腕のない魔族は勝利を確信して笑みを刻んだ。
「バカ野郎! 下だ!」
「下?」
最初の魔族が声を上げた。
両腕のない魔族は困惑顔で視線を下に向けたのだが、その時には既にハヅキの刀が横薙がれた後だった。
膝より下から両脚とも両断された、両腕のない魔族。
四肢を失ったことでそのまま倒れていき、そのまま自らが顕現させた青炎に触れてしまう。
「ぎゃああああぁぁああぁぁっ!? あづい、あづいいいいああああぁぁああぁぁっ!?」
青炎は顔から首、そして胴体へと燃え広がっていく。
喉まで焼けたからか、最後の方は声すらも発することなく、四肢を失った魔族はそのまま灰に変わってしまった。
「貴様ああああっ!!」
「はぁ、はぁ……ぶっ殺して――えひゃ?」
怒声を響かせた最初の魔族とは違い、再生能力持ちの魔族の言葉は最後の方で裏声に変わる。
それは何故か――その首が胴体から切り離されたからだ。
「はあっ!」
気合いのこもった声と共に、ハヅキが何度も刀を振るう。
すると、宙を舞う首に幾筋もの切れ込みが入り、直後にはバラバラに切り刻まれていた。
「再生能力を持っていたとしても、首がなくなれば終わりでしょう」
首を斬り飛ばし、バラバラに切り刻むまで、一秒と掛かっていない。
「……嘘、だろ?」
その事実が受け入れられず、最初の魔族は唖然としたままそう呟くことしかできない。
「さあ。あなたは私に、何を見せてくれるのですか?」
最初の魔族へ切っ先を向けながら、ハヅキが力強い言葉でそう口にする。
「……クソがぁ……クソが、クソが、クソがああああっ! 簡単な仕事だと言われたからついてきたのに、クソったれがああああああああっ!!」
雄叫びを上げた最初の魔族は、その肉体を硬化させていく。
「俺様の肉体は、高硬度を誇るアダマンタイトよりも硬いと言われている! 他の奴らと同じだと思うな――ぼ?」
一振りだった。
ハヅキが刀を上段に構え、一切の迷いなく振り下ろした。
高硬度のアダマンタイトよりも硬いと語っていた魔族だったが、ハヅキの一振りは脳天から股へかけて、一直線に両断されていた。
「……ミツルギ流剣術、斬鉄」
こうしてハヅキと三人の魔族の戦いは、ハヅキの圧勝に終わった。
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