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プロローグ
天川賢斗
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今日は朝から快晴だった。
天気予報も一日中晴れマークで、学校に向かう誰も傘なんて持っていなかったし、せわしなく動いている社会人の方々も誰一人として持っていない。
だが、本当にすぐドバッて降るもんなんだなぁ……ゲリラ豪雨って。
「……これ、もう雨宿りする意味なくねえか?」
周囲には雨宿りできるところがなく、仕方ないからと豪雨の中を歩いていたのだが、一分も経たないうちに全身びしょ濡れ。今さらコンビニやスーパーに入ったところで迷惑がられるだけだろう。
「……このまま帰るか」
その方が誰の迷惑にもならないし、体調を崩したとしても俺の自業自得だ。
最初の頃はそれくらいにしか考えてなかったんだが、まさかあんなことになるなんてなぁ。
──ドゴオオオオオオオオン!
人間、予想外のことが突然起こると何が起きたのかさっぱり分からないものだ。
そして、何も考えられない。いや、その例えは間違っているか。
だって──俺は落雷を浴びて即死だったんだから考えられるはずもないんだから。
だったら今の俺は何なのだろうか。
正直なところ、俺にもさっぱり分からない。
意識だけの存在、とでも言えばいいのだろうか。
俺の意識は死んでしまった俺の肉体を俯瞰で見つめている。
全身黒焦げで正直目を背けたいのだが、なぜだかそれはできないらしい。
まあ、嗅覚がないだけマシだと思っておこう。もし嗅覚が残っていたら……うん、考えないでおこう。
とまあ、そんな感じでこれからどうなるんだろうなと思っていたんだけど……まさかこんなことが本当に起こるだなんて、まるで夢でも見ているような気分だ。
「──私は女神アステア。天川賢斗、あなたに私の世界を救ってほしいのです」
意識だけの俺に話しかけてきた存在がいた。それもそいつは女神だと名乗ったんだ。
「えっと、いきなり過ぎてよく分からないんですが、それはいわゆる異世界転生みたいなアレですか?」
「その通り、異世界転生みたいなアレです」
……ん? なんだか今、女神様の話し方が嫌にバカっぽい感じがしたんだが、気のせいだろうか。
「天川賢斗には、私が見守っている世界、グランザリウスを魔族の脅威から救ってほしいのです」
「……もし、その異世界転生を断ったらどうなるんですか?」
「そうなれば、輪廻転生の枠組みに乗って同じ世界、地球にて生まれ変わることになるでしょう」
そっか、断ってもまた地球で生活はできるの──
「ただし、それが人であるのか、動物であるのか、虫であるのかは分かりませんが」
「えっ、何それ! 転生したら人なんだよな!」
「もちろん、異世界転生を選んでいただければもれなく人への転生は約束されます! なんだったら、序盤では便利な職業もサービスしちゃいますよ!」
「……い、いきなり馴れ馴れしくなったのはどういうことだ?」
「へっ? ……ゴ、ゴホン! 何を言っているのかしら、天川賢斗よ」
い、いやいやいやいや、今明らかにおかしかったよね! ゴホンの言い方も下手だったし!
「とにかく、異世界転生を了承してくれるのか否か、どっちなのだ?」
なんだかもの凄く不安しかない女神様なんだが、正直なところ俺の心はすでに決まっていると言っていい。
地球で……いや、日本で普通に何不自由なく生活してきた16年間だったけど、特別楽しいって思えることもなかったし、夢中になれることもなかった。
友達も広く浅くの八方美人で付き合ってたし、恋人なんて生まれてから今日までいたためしもない。
家族は……親孝行くらいはしたかったけど、死んでしまっているのだから元も子もないか。
地球で生まれ変わっても、似たような生活の繰り返し……もしくは人ですらないかもしれないなら、異世界に転生して第二の人生を楽しんでみてもいいじゃないか!
「……分かった。異世界転生、望むところだよ!」
「よっしゃー!」
「ん?」
「……ゴホン! では、天川賢斗よ、あなたをグランザリウスに転生させましょう」
あー、うん。やっぱり不安だー。この女神、もしかして駄女神なんじゃないだろうかー。
「あ、あの、アステア様? 本当に大丈夫なんですよね?」
「もちろんですよ。今回は特別に容姿も選択させてあげましょう」
容姿もって、まるでゲームのキャラメイクじゃねえかよ。
だけど、選択させてもらえるのなら好都合だ。
今の俺みたいに何の特徴もない非モテフェイスだと転生しても面白くもなんともないからな。
「選択肢は三つ。かわいい男の子と、プリティな男の子と、とってもかわいくてプリティな男の子です」
「かわいいのとプリティのしかいないのかよ! イケメンな高身長とかないのかよ!」
「そんなものはございません。私はかわいいのとプリティなのが大好きなのですから!」
「てめえの性癖なんて聞いてないんですけど!」
やっぱり異世界転生、止めた方がいいかなー。うん、止めよう。
「なあ、やっぱり俺は──」
「では、私の独断と偏見でとってもかわいくてプリティな男の子に決定します!」
「ちょっと待て! 俺は異世界転生を──」
「ちなみにー、あなたの職業には【賢者】を授けるのでー、そのつもりで頑張ってねー!」
「てめえ! 俺の話を聞け! 俺は輪廻転生で地球に──」
「いってらっしゃーい!」
「覚えてろよー! 駄女神がー!」
こうして、非常に不愉快なんだが、俺の異世界転生が行われた。
天気予報も一日中晴れマークで、学校に向かう誰も傘なんて持っていなかったし、せわしなく動いている社会人の方々も誰一人として持っていない。
だが、本当にすぐドバッて降るもんなんだなぁ……ゲリラ豪雨って。
「……これ、もう雨宿りする意味なくねえか?」
周囲には雨宿りできるところがなく、仕方ないからと豪雨の中を歩いていたのだが、一分も経たないうちに全身びしょ濡れ。今さらコンビニやスーパーに入ったところで迷惑がられるだけだろう。
「……このまま帰るか」
その方が誰の迷惑にもならないし、体調を崩したとしても俺の自業自得だ。
最初の頃はそれくらいにしか考えてなかったんだが、まさかあんなことになるなんてなぁ。
──ドゴオオオオオオオオン!
人間、予想外のことが突然起こると何が起きたのかさっぱり分からないものだ。
そして、何も考えられない。いや、その例えは間違っているか。
だって──俺は落雷を浴びて即死だったんだから考えられるはずもないんだから。
だったら今の俺は何なのだろうか。
正直なところ、俺にもさっぱり分からない。
意識だけの存在、とでも言えばいいのだろうか。
俺の意識は死んでしまった俺の肉体を俯瞰で見つめている。
全身黒焦げで正直目を背けたいのだが、なぜだかそれはできないらしい。
まあ、嗅覚がないだけマシだと思っておこう。もし嗅覚が残っていたら……うん、考えないでおこう。
とまあ、そんな感じでこれからどうなるんだろうなと思っていたんだけど……まさかこんなことが本当に起こるだなんて、まるで夢でも見ているような気分だ。
「──私は女神アステア。天川賢斗、あなたに私の世界を救ってほしいのです」
意識だけの俺に話しかけてきた存在がいた。それもそいつは女神だと名乗ったんだ。
「えっと、いきなり過ぎてよく分からないんですが、それはいわゆる異世界転生みたいなアレですか?」
「その通り、異世界転生みたいなアレです」
……ん? なんだか今、女神様の話し方が嫌にバカっぽい感じがしたんだが、気のせいだろうか。
「天川賢斗には、私が見守っている世界、グランザリウスを魔族の脅威から救ってほしいのです」
「……もし、その異世界転生を断ったらどうなるんですか?」
「そうなれば、輪廻転生の枠組みに乗って同じ世界、地球にて生まれ変わることになるでしょう」
そっか、断ってもまた地球で生活はできるの──
「ただし、それが人であるのか、動物であるのか、虫であるのかは分かりませんが」
「えっ、何それ! 転生したら人なんだよな!」
「もちろん、異世界転生を選んでいただければもれなく人への転生は約束されます! なんだったら、序盤では便利な職業もサービスしちゃいますよ!」
「……い、いきなり馴れ馴れしくなったのはどういうことだ?」
「へっ? ……ゴ、ゴホン! 何を言っているのかしら、天川賢斗よ」
い、いやいやいやいや、今明らかにおかしかったよね! ゴホンの言い方も下手だったし!
「とにかく、異世界転生を了承してくれるのか否か、どっちなのだ?」
なんだかもの凄く不安しかない女神様なんだが、正直なところ俺の心はすでに決まっていると言っていい。
地球で……いや、日本で普通に何不自由なく生活してきた16年間だったけど、特別楽しいって思えることもなかったし、夢中になれることもなかった。
友達も広く浅くの八方美人で付き合ってたし、恋人なんて生まれてから今日までいたためしもない。
家族は……親孝行くらいはしたかったけど、死んでしまっているのだから元も子もないか。
地球で生まれ変わっても、似たような生活の繰り返し……もしくは人ですらないかもしれないなら、異世界に転生して第二の人生を楽しんでみてもいいじゃないか!
「……分かった。異世界転生、望むところだよ!」
「よっしゃー!」
「ん?」
「……ゴホン! では、天川賢斗よ、あなたをグランザリウスに転生させましょう」
あー、うん。やっぱり不安だー。この女神、もしかして駄女神なんじゃないだろうかー。
「あ、あの、アステア様? 本当に大丈夫なんですよね?」
「もちろんですよ。今回は特別に容姿も選択させてあげましょう」
容姿もって、まるでゲームのキャラメイクじゃねえかよ。
だけど、選択させてもらえるのなら好都合だ。
今の俺みたいに何の特徴もない非モテフェイスだと転生しても面白くもなんともないからな。
「選択肢は三つ。かわいい男の子と、プリティな男の子と、とってもかわいくてプリティな男の子です」
「かわいいのとプリティのしかいないのかよ! イケメンな高身長とかないのかよ!」
「そんなものはございません。私はかわいいのとプリティなのが大好きなのですから!」
「てめえの性癖なんて聞いてないんですけど!」
やっぱり異世界転生、止めた方がいいかなー。うん、止めよう。
「なあ、やっぱり俺は──」
「では、私の独断と偏見でとってもかわいくてプリティな男の子に決定します!」
「ちょっと待て! 俺は異世界転生を──」
「ちなみにー、あなたの職業には【賢者】を授けるのでー、そのつもりで頑張ってねー!」
「てめえ! 俺の話を聞け! 俺は輪廻転生で地球に──」
「いってらっしゃーい!」
「覚えてろよー! 駄女神がー!」
こうして、非常に不愉快なんだが、俺の異世界転生が行われた。
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