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第1章:異世界転生
異世界転生
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──……ううん、あれ? ここは、どこだ?
「……あぁ、そうか。あの駄女神のせいで、異世界転生したんだったか」
アステアの野郎、マジで今度会った時には一度ぶん殴ってやる!
だけど、まずは今の状況を把握すべきだろう。
「……転生っていうからどこかの誰がになるのかと思ったけど、そうじゃなさそうだな」
今いる場所は背の高い木々が生い茂る森の中。
枝葉の隙間からは陽光が差し込んできており、このまま寝そべってしまったら気持ち良すぎて寝てしまうかもしれない。
さすがに森に一人でいる人間が、どこかの誰かっていうわけもなだろう。
「俺という人間が、新しくこの世界に創られたと考えるべきだろうな」
そして、好都合にも俺がいる場所のすぐ脇には透き通るくらいに清んだ湖がある。
この場所に転生させてくれたことに関してだけは、アステアに感謝するべきかもしれない。
湖の横に移動して確認したかったのは、俺の容姿だ。
「……マジかよ。これ、これが、俺か?」
……めっちゃかわいいんだけど! てか幼くないか? これ、絶対にアステアの性癖が影響してるよな!
「ま、まあ、ブサメンじゃなかっただけでも良しとするべきか」
金髪金眼、大きい瞳に小さな鼻、笑うとえくぼまで出るおまけ付きときたもんだ。
……うん、俺って、かわいいんじゃね?
「……いやいやいやいや! な、何を自分の顔に見惚れてるんだよ、俺は! よ、よし! 次はー、俺の力を確認するべきだなー!」
なんだか湖に写る自分をまじまじと見ていたのか恥ずかしく感じてきたよ。
「とは言ったものの、どうやって確認したらいいんだ? ゲームみたいにステータスが出てきたら話は早いんだけ──どわあっ!」
俺の呟きに反応したのか、目の前に縦長の四角いディスプレイらしきものが突然現れた。
「……あれ? これって、俺のステータスじゃないか?」
うーん……あ、やっぱりそうだ。画面の一番上に名前とレベルが記されてるや。
「天川賢斗、レベルは1かぁ。まあ、そりゃそうだよな」
異世界に来ていきなりレベル最高値とか、どれだけチートなんだって話だよ。そもそも職業が賢者って時点でチートなわけだしな。
「そうだ、職業は……おぉ! 本当に職業が賢者になってるよ!」
うんうん、レベルが1でも賢者なら強力な魔法が使えるだろうし、レベルの概念があるから上げていくことで強くなれるはずだ。
「さーて、そうなると魔法なんてものもあるんじゃないかな~」
なんだか少しだけ楽しくなってきたよ。
アルテアと話をしていた時はどうなることかと思ったけど、ここまで来たら楽しまなきゃ損だよな!
「どれどれ? ……んん? なんだか物々しい名前の魔法が並んでるなぁ。【深淵の黒炎】、【精霊姫の祝福】、【暴風竜の息吹】だって? ……横文字っぽいのもあるけど、【テラ・ゴレイロ・サンダー】に【テラ・ハンニバル・アイス】? 何かのシリーズものか?」
他にもずらーっと魔法が並んでいるのだが、どれも普通とは言えない名前が付いている。
「さすがは賢者と言うべきなのか? ……と、とりあえず、一つくらい試しに使ってみるか。そうじゃないと判断も何もできないからな」
おあつらえ向きに周囲の森には誰もいない……はず。
名前的に比較的弱そうな魔法を選べば、特に問題はないだろう。
「そうだなぁ……よし、これにするか」
俺が選んだのは【精霊姫の祝福】。
精霊姫って、なんだか凄い魔法な気もするんだけど、他のものは周囲を薙ぎ払うんじゃないかと思われる名前のものばかりなんだよな。
これなら祝福って付くくらいだし、回復魔法だったりステータス補正魔法とか、そんな感じのものだと思う。
「……よし、やるか」
魔法の使い方は……おぉ、これもなんか凄いな。頭の中にどうしたらいいのかが流れ込んできたぞ。
……ほおほお……ふむふむ……うん、分かった。
俺は両手を前に出して体の内側から魔力なるものを手のひらから放出するイメージを作り出す。
必要魔力の放出が確認されると、身に付いている魔法が発動するみたいだ。
「……【精霊姫の祝福】!」
……ん?
「あれ、失敗か? もう一回──【精霊姫の祝福】!」
……やっぱり、何も起こらないな。
「どういうことだ? 【暴風竜の息吹】! 【テラ・ゴレイロ・サンダー】!」
…………マ、マジで何なんだよ! 何も起きないじゃないか!
「もう一度魔法欄を……うん、魔法はあるし、名前もあってる。どんな魔法か知らないとダメなのか? いや、流れ込んできた魔法の使い方には何もなか──ん?」
……おいおい、ちょっと待てよ、これってもしかして。
「魔力消費量、250?」
これって多いのか、少ないのか? とりあえず【精霊姫の祝福】でこの数字なんだけど、他の魔法だと300や400、中には1000を超える魔法もあるんだけど!
「……お、俺の魔力はどれくらいなんだ?」
俺は慌てて魔法欄から自分のステータスに目を通したのだが……あぁ、なるほど、そういうことか。
これなら魔法が使えないのも頷けるよ。なんてったって──
「俺の魔力、たったの5じゃねえかよ!」
そして気づいたのだ。今の俺には、何一つとして魔法が使えないことに。
「……あぁ、そうか。あの駄女神のせいで、異世界転生したんだったか」
アステアの野郎、マジで今度会った時には一度ぶん殴ってやる!
だけど、まずは今の状況を把握すべきだろう。
「……転生っていうからどこかの誰がになるのかと思ったけど、そうじゃなさそうだな」
今いる場所は背の高い木々が生い茂る森の中。
枝葉の隙間からは陽光が差し込んできており、このまま寝そべってしまったら気持ち良すぎて寝てしまうかもしれない。
さすがに森に一人でいる人間が、どこかの誰かっていうわけもなだろう。
「俺という人間が、新しくこの世界に創られたと考えるべきだろうな」
そして、好都合にも俺がいる場所のすぐ脇には透き通るくらいに清んだ湖がある。
この場所に転生させてくれたことに関してだけは、アステアに感謝するべきかもしれない。
湖の横に移動して確認したかったのは、俺の容姿だ。
「……マジかよ。これ、これが、俺か?」
……めっちゃかわいいんだけど! てか幼くないか? これ、絶対にアステアの性癖が影響してるよな!
「ま、まあ、ブサメンじゃなかっただけでも良しとするべきか」
金髪金眼、大きい瞳に小さな鼻、笑うとえくぼまで出るおまけ付きときたもんだ。
……うん、俺って、かわいいんじゃね?
「……いやいやいやいや! な、何を自分の顔に見惚れてるんだよ、俺は! よ、よし! 次はー、俺の力を確認するべきだなー!」
なんだか湖に写る自分をまじまじと見ていたのか恥ずかしく感じてきたよ。
「とは言ったものの、どうやって確認したらいいんだ? ゲームみたいにステータスが出てきたら話は早いんだけ──どわあっ!」
俺の呟きに反応したのか、目の前に縦長の四角いディスプレイらしきものが突然現れた。
「……あれ? これって、俺のステータスじゃないか?」
うーん……あ、やっぱりそうだ。画面の一番上に名前とレベルが記されてるや。
「天川賢斗、レベルは1かぁ。まあ、そりゃそうだよな」
異世界に来ていきなりレベル最高値とか、どれだけチートなんだって話だよ。そもそも職業が賢者って時点でチートなわけだしな。
「そうだ、職業は……おぉ! 本当に職業が賢者になってるよ!」
うんうん、レベルが1でも賢者なら強力な魔法が使えるだろうし、レベルの概念があるから上げていくことで強くなれるはずだ。
「さーて、そうなると魔法なんてものもあるんじゃないかな~」
なんだか少しだけ楽しくなってきたよ。
アルテアと話をしていた時はどうなることかと思ったけど、ここまで来たら楽しまなきゃ損だよな!
「どれどれ? ……んん? なんだか物々しい名前の魔法が並んでるなぁ。【深淵の黒炎】、【精霊姫の祝福】、【暴風竜の息吹】だって? ……横文字っぽいのもあるけど、【テラ・ゴレイロ・サンダー】に【テラ・ハンニバル・アイス】? 何かのシリーズものか?」
他にもずらーっと魔法が並んでいるのだが、どれも普通とは言えない名前が付いている。
「さすがは賢者と言うべきなのか? ……と、とりあえず、一つくらい試しに使ってみるか。そうじゃないと判断も何もできないからな」
おあつらえ向きに周囲の森には誰もいない……はず。
名前的に比較的弱そうな魔法を選べば、特に問題はないだろう。
「そうだなぁ……よし、これにするか」
俺が選んだのは【精霊姫の祝福】。
精霊姫って、なんだか凄い魔法な気もするんだけど、他のものは周囲を薙ぎ払うんじゃないかと思われる名前のものばかりなんだよな。
これなら祝福って付くくらいだし、回復魔法だったりステータス補正魔法とか、そんな感じのものだと思う。
「……よし、やるか」
魔法の使い方は……おぉ、これもなんか凄いな。頭の中にどうしたらいいのかが流れ込んできたぞ。
……ほおほお……ふむふむ……うん、分かった。
俺は両手を前に出して体の内側から魔力なるものを手のひらから放出するイメージを作り出す。
必要魔力の放出が確認されると、身に付いている魔法が発動するみたいだ。
「……【精霊姫の祝福】!」
……ん?
「あれ、失敗か? もう一回──【精霊姫の祝福】!」
……やっぱり、何も起こらないな。
「どういうことだ? 【暴風竜の息吹】! 【テラ・ゴレイロ・サンダー】!」
…………マ、マジで何なんだよ! 何も起きないじゃないか!
「もう一度魔法欄を……うん、魔法はあるし、名前もあってる。どんな魔法か知らないとダメなのか? いや、流れ込んできた魔法の使い方には何もなか──ん?」
……おいおい、ちょっと待てよ、これってもしかして。
「魔力消費量、250?」
これって多いのか、少ないのか? とりあえず【精霊姫の祝福】でこの数字なんだけど、他の魔法だと300や400、中には1000を超える魔法もあるんだけど!
「……お、俺の魔力はどれくらいなんだ?」
俺は慌てて魔法欄から自分のステータスに目を通したのだが……あぁ、なるほど、そういうことか。
これなら魔法が使えないのも頷けるよ。なんてったって──
「俺の魔力、たったの5じゃねえかよ!」
そして気づいたのだ。今の俺には、何一つとして魔法が使えないことに。
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