職業賢者、魔法はまだない ~サバイバルから始まる異世界生活~

渡琉兎

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第1章:異世界転生

リリアーナ

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 エルフの森って、絶対に普通に人間が入ったらダメな場所だよね! 森に住んでいるっぽいし、なんか隠れて住んでいるっぽい種族なのか?

「……アマカワだっけ? 怪しいわねぇ」
「えっと、怪しいとか言われても、本当のことなんだよね。目を覚ましたらここにいて、それで仕方なく生活をしていたんだ」
「生活って……ここ、普通の動物がいなかったんじゃない?」
「……普通の動物? でか兎やでか豚とかってこと?」

 普通に狩って、普通に食べてたけど……も、もしかして、そっちも神聖な動物か何かだったのか!?

「ご、ごめんなさい! めっちゃ殺して、めっちゃ食べてました!」
「へっ? か、狩ってたの? あのでかくなった動物を?」
「……あの、よかった感じですか? っていうかでかくなったって、普通はでかくないの?」
「そりゃそうよ! あんなでかい動物ばっかりだったら、普通の人は怪我だけじゃすまないんだからね!」

 ……まあ、そりゃそうだ。
 っていうか、めっちゃ特殊な森に転生させてやがったのか、マジで駄女神じゃねえかよ!

「嘘をついているようにも見えないし、それに……」
「……あ、あのー?」

 いきなりじーっと見つめられると恥ずかしいですけど。
 その、なんていうか、めっちゃかわいい女の子だし。

「あっ! ……ご、ごめん。えっと、人間にしては珍しくかわいい子だなーって、思っちゃって」

 ……こ、ここでまさかの魅力が火を吹いちゃったのね!?

「そ、そうなのか? 他の人を見たことがないから分からないんだよね。そういうリリアーナだって、えっと……かわいい、じゃないか」
「ふえっ! ……ま、まあ、エルフだからね! 私たち種族は見目麗しいって有名なんだから!」

 えぇ、そうでしょうとも、エルフが美しいというのはどこの世界でも同じのようだ。
 実際にリリアーナはとてもかわいいし美しい。
 そんなリリアーナにかわいいって言ってもらえるんだから、俺の見た目はそうとうかわいくてプリティなんだろうな。

「それにしても、そんな神聖な森だってことは、俺は出て行った方が良さそうだな」
「そんなことは! ……ある、かも」

 まあ、普通はそうだよな。というか、よく四日間も見つかることなく過ごせたと思うよ。
 だが、そうなると問題が山積みだ。

「その、教えてくれたらありがたいんだが、ここから一番近い都市ってあるかな?」
「一番近いところだと、ゼルジュラーダって都市かな。私もそこを拠点にして冒険者をやっているからね」
「ゼルジュラーダ……それと、冒険者ってのには誰でもなれるのか?」

 森で生活する分には自給自足ができたからなんとかなったが、都市で暮らすのなら稼げる仕事が必要になる。
 せっかく異世界に来たのに元の世界でもありそうな職業に就くのはもったいないだろう。

「一応、試験はあるけど……アマカワなら問題ないと思うわね」
「そうなのか?」
「そりゃあ、オルトロスの首を一撃で切っちゃったんだからね」
「あれは俺の力というより、このナイフが凄いんだと思うんだよな」
「これって……ねえ、アマカワ。このナイフ、どこで見つけたの?」

 な、なんだかいきなりリリアーナの表情がシリアスモードに。
 このナイフ、まさかエルフの神聖な何かなのか?

「あ、あっち側の森の中に落ちてたんだ。ものすごく錆びてたんだけど、研いだら使えるようになったんで使ってたんだけど……もしかして、エルフに伝わる大事なナイフだったりするのか?」
「これ? ……あー、ごめん、そんなんじゃないのよ。ただ、私の鑑定スキルで鑑定できなかったから、いったい何だろうって思っただけなの」
「そうなのか?」
「えぇ、驚かせてしまってごめんね」

 よ、よかったああああぁぁ! 初めての人間、それもエルフといきなり敵対関係になるとか、マジで嫌だからな!

「それにしても……アマカワ、ものすごく自由に生活してたのね」

 リリアーナの視線を追うと、俺が作ったテーブルやイス、パラソルなどが設置されていた。

「……えっと、本当に、ここしか居場所がなかったもので」
「……まあ、いいわよ。それと、せっかくだしゼルジュラーダまでは私が案内してあげるわ」
「えっ! ほ、本当にいいのか!」
「ここで出会ったのも何かの縁だものね」

 助かる~! マジで助かったよ!

「ついでに色々と教えてほしいことがあるんだけど、いいかな?」
「教えられることだったら構わないけど、ちなみにどう言ったことかしら?」
「えっと……基本的な常識について」
「……ごめん、何を言っているのかわけが分からないんだけど?」

 そりゃそうだ。
 基本的な常識って、この年齢で常識を知らないとか、マジでヤバい奴じゃないかよ。
 これは、正直に説明した方がいいのか? だが、信じてくれるだろうか。ここでリリアーナが離れてしまうのはマジで勘弁なんだが……。

「……その、正直に言うと、俺は、別の世界からこっちの世界、グランザリウスにやって来た転生者なんだ」

 さて、リリアーナの反応は、どうだろうか?

「……やっぱり、そうじゃないかと思ったわよ」

 い、意外とすんなり信じてくれたよ!
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