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第1章:異世界転生
オルトロス
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いくら異世界だからって、いきなり炎はダメでしょ!
「どわあっ!」
俺は慌て過ぎて後ろに広がっている湖に足を滑らせて背中から落下してしまった。
だが、そのおかげで水の中から頭上を通り過ぎていく炎を眺めることができた。
……いや、マジで危なかったわ。
このまま顔を出すのも怖いので、俺は潜水しながら少し離れた場所まで泳ぎ、そこで顔を出す。
えっと、女性冒険者は魔獣のことをオルトロスとか言ってたっけ。
「……おぉ、すげえなぁ」
顔を出してみると、女性冒険者がオルトロスを相手に大立ち回りを演じている。
だが回避に専念しているのか、なかなか近づくことができないでいるようだ。
「……快速の時間も残り五分。倒せるか分からんけど、切りつけるくらいはやっとかないとな!」
湖から飛び出すと一気に加速。
俺の存在にいち早く気づいたのはオルトロスだった。
首の一つを俺の方に向けて大きく口を開く。
「気をつけて──そっちは氷よ!」
「氷?」
口から漏れ出ていた白い湯気に見えていたのは、どうやら冷気だったようだ。
しかし口からってことは、さっきの炎もブレスってことの認識でいいんだろうな。
「っと、分析している場合じゃないか!」
このままだと小面から氷のブレスを浴びることになってしまう。
即座に森へと進行方向を変えてそのまま走っていく。
直後には先ほどまで俺がいた場所にブレスが吐き出されて地面が凍ってしまった。
……これ、湖に潜っている状態で凍らされてたら、死んでたなー。
「しっかし、単発じゃないのな!」
ブレスは今なおオルトロスから吐き出されており、そのままの状態で首がこちらを向いた。
自ずとブレスもその向きを変えるので、俺は走り続けなければならない。
地面が、草が、枝葉が、大木が凍りついていく。
一瞬でも足を止めれば、俺も同じ運命を辿ることになるだろう。
「あと、三分!」
このままではジリ貧だ。
だが、何も考えずに森の中に入ったわけじゃないんだよね。
『グルルアアアアッッ!』
「そうだそうだ、どんどん凍らせてくれよー」
森が凍っていくと、徐々にではあるが白い霧が発生してきた。
視界が覆われていき、オルトロスの姿が影になっていく。
こっちから見えづらいということは、あっちからも同じこと。
ならば、このタイミングを狙うしかない!
「──瞬歩!」
瞬歩スキルのおかげで俺は一瞬にしてオルトロスの目の前、それも首と首の間に潜り込んだ。
『──!』
「な、何が!?」
オルトロスが目を見開き、女性冒険者が驚きの声をあげる。
切り札を使った俺は迷うことなくナイフを振り抜き、氷のブレスを吐き出していた首を切りつけた。
──ザンッ!
「……へっ?」
『グ、グルアアアアアアアアァァッ!』
「あ、あんた、何者なのよ!」
お、俺は普通の転生者です!
まさか、一振りで首が一つ両断できるだなんて思ってなかったんですよ!
あ、でもゲビレットの腕も一振りだったし、あり得ないことではないのか。
「しかし、これなら!」
女性冒険者は防戦一方だったようだが、首が一つとなったことで攻勢に出るようだ。
そうと分かれば俺の役目は終わりである。
瞬歩はもう使えないし、快速の制限時間も一分を切っている。
戦闘に巻き込まれないようにとその場からすぐに離れた。
「これで終わりだ──サンライズアース!」
女性冒険者がそう口にすると、オルトロスが立つ地面に何やら円形の光が現れた。
円の内側には何やら模様が描かれているが、あれは魔法陣というやつだろうか。
……ん? 魔法陣?
「あれって、もしかして──魔法か!」
おおおおぉぉっ! 本物の魔法をこの目で見ることができるんだ!
俺の場合は魔力が足りなさ過ぎてどうしようもなかったけど、魔法があってこその異世界だよな!
「爆ぜろ!」
『グルルルルッ! グルアアアア──』
──ドゴオオオオオオンッ!
……わーお。
「地面が、吹き飛んだんだけど」
「……ふぅ、助かったわ、ありがとう」
「……いや、俺がいなくても倒せたんじゃないか?」
「一人で二つの首を相手にするのは一苦労なのよ。……そういえば、名乗っていなかったわね。私の名前はリリアーナ、見ての通りエルフよ」
「そうなんだ。俺は天川賢斗、見ての通り人間……って、エルフ!?」
「そうだよ。えっ、気づいてなかったの?」
…………こ、これぞ、異世界!
さっきは魔法で異世界だって言ったけど、人間じゃない別の種族がいてこそだよなー!
おっ! 天気も俺を祝福するかのように晴れ間が差してきたよ!
「実は、その、この森のこの場所しか知らなくて、知り合いもいないんだよね……」
「この森のこの場所って……いやいや、むしろなんでこの森にいるのかが不思議でならないんだけど」
「そうなの? この森って、何か神聖な場所とか?」
数日暮らしてるけど、特段不思議なものとかなかった気がするんだけどなぁ。
「ここはエルフの森。本来ならエルフか、エルフに認められた一部の人間だけが入ることを許されている森なのよ?」
……おう、あの駄女神、めっちゃ気まずい場所に転生させてやがったのか!
「どわあっ!」
俺は慌て過ぎて後ろに広がっている湖に足を滑らせて背中から落下してしまった。
だが、そのおかげで水の中から頭上を通り過ぎていく炎を眺めることができた。
……いや、マジで危なかったわ。
このまま顔を出すのも怖いので、俺は潜水しながら少し離れた場所まで泳ぎ、そこで顔を出す。
えっと、女性冒険者は魔獣のことをオルトロスとか言ってたっけ。
「……おぉ、すげえなぁ」
顔を出してみると、女性冒険者がオルトロスを相手に大立ち回りを演じている。
だが回避に専念しているのか、なかなか近づくことができないでいるようだ。
「……快速の時間も残り五分。倒せるか分からんけど、切りつけるくらいはやっとかないとな!」
湖から飛び出すと一気に加速。
俺の存在にいち早く気づいたのはオルトロスだった。
首の一つを俺の方に向けて大きく口を開く。
「気をつけて──そっちは氷よ!」
「氷?」
口から漏れ出ていた白い湯気に見えていたのは、どうやら冷気だったようだ。
しかし口からってことは、さっきの炎もブレスってことの認識でいいんだろうな。
「っと、分析している場合じゃないか!」
このままだと小面から氷のブレスを浴びることになってしまう。
即座に森へと進行方向を変えてそのまま走っていく。
直後には先ほどまで俺がいた場所にブレスが吐き出されて地面が凍ってしまった。
……これ、湖に潜っている状態で凍らされてたら、死んでたなー。
「しっかし、単発じゃないのな!」
ブレスは今なおオルトロスから吐き出されており、そのままの状態で首がこちらを向いた。
自ずとブレスもその向きを変えるので、俺は走り続けなければならない。
地面が、草が、枝葉が、大木が凍りついていく。
一瞬でも足を止めれば、俺も同じ運命を辿ることになるだろう。
「あと、三分!」
このままではジリ貧だ。
だが、何も考えずに森の中に入ったわけじゃないんだよね。
『グルルアアアアッッ!』
「そうだそうだ、どんどん凍らせてくれよー」
森が凍っていくと、徐々にではあるが白い霧が発生してきた。
視界が覆われていき、オルトロスの姿が影になっていく。
こっちから見えづらいということは、あっちからも同じこと。
ならば、このタイミングを狙うしかない!
「──瞬歩!」
瞬歩スキルのおかげで俺は一瞬にしてオルトロスの目の前、それも首と首の間に潜り込んだ。
『──!』
「な、何が!?」
オルトロスが目を見開き、女性冒険者が驚きの声をあげる。
切り札を使った俺は迷うことなくナイフを振り抜き、氷のブレスを吐き出していた首を切りつけた。
──ザンッ!
「……へっ?」
『グ、グルアアアアアアアアァァッ!』
「あ、あんた、何者なのよ!」
お、俺は普通の転生者です!
まさか、一振りで首が一つ両断できるだなんて思ってなかったんですよ!
あ、でもゲビレットの腕も一振りだったし、あり得ないことではないのか。
「しかし、これなら!」
女性冒険者は防戦一方だったようだが、首が一つとなったことで攻勢に出るようだ。
そうと分かれば俺の役目は終わりである。
瞬歩はもう使えないし、快速の制限時間も一分を切っている。
戦闘に巻き込まれないようにとその場からすぐに離れた。
「これで終わりだ──サンライズアース!」
女性冒険者がそう口にすると、オルトロスが立つ地面に何やら円形の光が現れた。
円の内側には何やら模様が描かれているが、あれは魔法陣というやつだろうか。
……ん? 魔法陣?
「あれって、もしかして──魔法か!」
おおおおぉぉっ! 本物の魔法をこの目で見ることができるんだ!
俺の場合は魔力が足りなさ過ぎてどうしようもなかったけど、魔法があってこその異世界だよな!
「爆ぜろ!」
『グルルルルッ! グルアアアア──』
──ドゴオオオオオオンッ!
……わーお。
「地面が、吹き飛んだんだけど」
「……ふぅ、助かったわ、ありがとう」
「……いや、俺がいなくても倒せたんじゃないか?」
「一人で二つの首を相手にするのは一苦労なのよ。……そういえば、名乗っていなかったわね。私の名前はリリアーナ、見ての通りエルフよ」
「そうなんだ。俺は天川賢斗、見ての通り人間……って、エルフ!?」
「そうだよ。えっ、気づいてなかったの?」
…………こ、これぞ、異世界!
さっきは魔法で異世界だって言ったけど、人間じゃない別の種族がいてこそだよなー!
おっ! 天気も俺を祝福するかのように晴れ間が差してきたよ!
「実は、その、この森のこの場所しか知らなくて、知り合いもいないんだよね……」
「この森のこの場所って……いやいや、むしろなんでこの森にいるのかが不思議でならないんだけど」
「そうなの? この森って、何か神聖な場所とか?」
数日暮らしてるけど、特段不思議なものとかなかった気がするんだけどなぁ。
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