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第1章:異世界転生
宿屋
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さて、ここで一つ問題が起きてしまった。
俺は何も考えずにリリアーナと行動を共にしており、リリアーナからも特に指摘を受けていなかった。
だからというのは言い訳になってしまうのだが――宿を取っていないのだ。
リリアーナは元々ゼルジュラーダを拠点にしており、贔屓にしている宿屋に連泊するための金額を支払っていたので問題はない。
話を聞くと、空いている部屋に泊まればいいと思っていたようだが――
「ごめんね、リリちゃん。今日は明後日に行われる祭りのせいで満室なのよ」
「あっ! ……そういえば、そんなのがあったわね」
「たぶん、どこの宿屋も似たようなものだと思うわよ?」
「……どうしよう、アマカワ?」
どうしようも何も、できることはただ一つである。
「あー、それじゃあ俺は外で野宿でもするよ」
「ダ、ダメよ! それはダメ! パーティなんだから、アマカワが野宿をするなら私も付き合うわよ!」
「いや、さすがに女の子に野宿はダメだろ」
「……お、女の子……!」
「それに、俺なら野宿にも慣れてるしな。森での様子も見ただろ? ……って、あれ、リリアーナ?」
あー、またこの状態になってしまった。
いったい何が契機になってリリアーナの思考は停止してしまうのだろうか。
「おやおや、まあまあ……」
その様子を見た宿屋のおばちゃんは口に手を当ててニヤニヤしている。
……何を考えているのかさっぱりだよ。
「一応、手がないわけじゃないわよ?」
「ほ、本当、アガサさん!」
おばちゃん、アガサさんって言うのか。
「それはね――リリちゃんの部屋に二人で寝泊まりしたらいいのよー!」
「「……は、はああああああぁぁっ!?」」
いや、いやいや、いやいやいやいや、それは色々な意味でマズいだろう!
「ちょっと、アガサさん! それはさすがに! 男と女が一つの部屋で寝泊まりは外聞が悪過ぎますって!」
「そうかしら? 坊やはそう言っているけど、リリちゃんが問題なければいいんじゃないかしら?」
「ダメに決まってるじゃないですか! そうだよな、リリアーナ!」
「……ア……アマ、アマカワと……同じ部屋で……ね、寝泊まり!」
「……あのー、リリアーナさーん?」
「はっ! ……ま、まあ、アガサさんがその方法しかないって言うなら、仕方ないんじゃないかしら?」
「いや、ダメだろ! 俺が野宿をしたら万事解決なんだから、それで終わり!」
「でも、そうしたらリリちゃんも野宿になっちゃうのよね?」
「ついていくわよ!」
「なんでだよ!」
ぐぬぬっ! いや、俺としても柔らかいベッドの上で眠りたいよ、絶対に熟睡できるし!
でも、だからといってリリアーナと同じ部屋でなんて……理性を保てるかどうかが心配なのだ!
「……べ、別に、森からこっちまでも、一緒に野宿で寝てたじゃないのよ」
「いや、あれは外だし。一つの小さな空間に二人だけというのが問題なんだよ」
「……私と一緒は、嫌なの?」
「ぐぬっ!」
いやいやいやいや、ちょっと待て!
そんな上目遣いで言われたら、言われたらああああああぁぁっ!
「…………嫌では、ない」
「だったら決まりだね! それじゃあちょいと準備をしてくるから、そっちのイスで待っていてちょうだいね!」
「あっ! ちょっと、アガサさん! ……って、行っちゃったよ」
そして残された俺とリリアーナ。……ものすごく、気まずい。
「……な、なあ、リリアーナ」
「……何よ」
「本当によかったのか? その、俺なんかと同じ部屋なんて」
「ま、まあ、パーティだしね」
「パーティだからって、男女が同じ部屋っていうのはなぁ」
俺はアガサさんが歩いていった先の廊下を見つめながらそう呟く。
「……アマカワなら、構わない」
「ん? 何か言ったか?」
「な、なんでもないわ! そう、なんでもないのよ!」
「……?」
「と、とりあえず、決まったことは変えられないわよ! 今からまた野宿とか言い出したら、準備をしているアガサさんに迷惑が掛かっちゃうからね!」
「そうだな。……リリアーナ?」
「こ、今度は何よ」
「……ありがとな」
「――! ……ひ、卑怯ね!」
「な、何がだよ!」
「なんでもよ!」
い、いったい何だって言うんだよ。
でも、怒っているとかではなさそうだし、これ以上は何も言うまい。
俺のやるべきこととしては理性を保ち、リリアーナとの関係を壊さないことだ。
まだまだグランザリウスのことでは知らないことが多過ぎるのだから、ここでリリアーナに嫌われてしまったら頼れる人がいなくなってしまうからな。
「リリちゃん! 坊や! 準備できたよ!」
「あ、ありがとう、アガサさん」
「良いってことよ! ……しっかりやんなよ!」
「――! ち、違うからね!」
何やらぼそぼそと話をしているが、なんのことだろうか。
しかも、リリアーナの奴さっさと行っちゃったよ
「そうそう、アガサさん。俺の名前はアマカワだからね」
「アマカワ君かい? ……坊やでいいわね!」
「なんでだよ!」
「長いからさ!」
「いや、長くないから!」
「アマカワ! さっさと来なさい、置いて行くわよ!」
「ほらほら、リリちゃんが待ってるわよ!」
「……分かりましたよ!」
アガサさんには明日にでも呼び方を変えてもらわなければ。
坊やって、そんな年齢じゃないからな!
俺は何も考えずにリリアーナと行動を共にしており、リリアーナからも特に指摘を受けていなかった。
だからというのは言い訳になってしまうのだが――宿を取っていないのだ。
リリアーナは元々ゼルジュラーダを拠点にしており、贔屓にしている宿屋に連泊するための金額を支払っていたので問題はない。
話を聞くと、空いている部屋に泊まればいいと思っていたようだが――
「ごめんね、リリちゃん。今日は明後日に行われる祭りのせいで満室なのよ」
「あっ! ……そういえば、そんなのがあったわね」
「たぶん、どこの宿屋も似たようなものだと思うわよ?」
「……どうしよう、アマカワ?」
どうしようも何も、できることはただ一つである。
「あー、それじゃあ俺は外で野宿でもするよ」
「ダ、ダメよ! それはダメ! パーティなんだから、アマカワが野宿をするなら私も付き合うわよ!」
「いや、さすがに女の子に野宿はダメだろ」
「……お、女の子……!」
「それに、俺なら野宿にも慣れてるしな。森での様子も見ただろ? ……って、あれ、リリアーナ?」
あー、またこの状態になってしまった。
いったい何が契機になってリリアーナの思考は停止してしまうのだろうか。
「おやおや、まあまあ……」
その様子を見た宿屋のおばちゃんは口に手を当ててニヤニヤしている。
……何を考えているのかさっぱりだよ。
「一応、手がないわけじゃないわよ?」
「ほ、本当、アガサさん!」
おばちゃん、アガサさんって言うのか。
「それはね――リリちゃんの部屋に二人で寝泊まりしたらいいのよー!」
「「……は、はああああああぁぁっ!?」」
いや、いやいや、いやいやいやいや、それは色々な意味でマズいだろう!
「ちょっと、アガサさん! それはさすがに! 男と女が一つの部屋で寝泊まりは外聞が悪過ぎますって!」
「そうかしら? 坊やはそう言っているけど、リリちゃんが問題なければいいんじゃないかしら?」
「ダメに決まってるじゃないですか! そうだよな、リリアーナ!」
「……ア……アマ、アマカワと……同じ部屋で……ね、寝泊まり!」
「……あのー、リリアーナさーん?」
「はっ! ……ま、まあ、アガサさんがその方法しかないって言うなら、仕方ないんじゃないかしら?」
「いや、ダメだろ! 俺が野宿をしたら万事解決なんだから、それで終わり!」
「でも、そうしたらリリちゃんも野宿になっちゃうのよね?」
「ついていくわよ!」
「なんでだよ!」
ぐぬぬっ! いや、俺としても柔らかいベッドの上で眠りたいよ、絶対に熟睡できるし!
でも、だからといってリリアーナと同じ部屋でなんて……理性を保てるかどうかが心配なのだ!
「……べ、別に、森からこっちまでも、一緒に野宿で寝てたじゃないのよ」
「いや、あれは外だし。一つの小さな空間に二人だけというのが問題なんだよ」
「……私と一緒は、嫌なの?」
「ぐぬっ!」
いやいやいやいや、ちょっと待て!
そんな上目遣いで言われたら、言われたらああああああぁぁっ!
「…………嫌では、ない」
「だったら決まりだね! それじゃあちょいと準備をしてくるから、そっちのイスで待っていてちょうだいね!」
「あっ! ちょっと、アガサさん! ……って、行っちゃったよ」
そして残された俺とリリアーナ。……ものすごく、気まずい。
「……な、なあ、リリアーナ」
「……何よ」
「本当によかったのか? その、俺なんかと同じ部屋なんて」
「ま、まあ、パーティだしね」
「パーティだからって、男女が同じ部屋っていうのはなぁ」
俺はアガサさんが歩いていった先の廊下を見つめながらそう呟く。
「……アマカワなら、構わない」
「ん? 何か言ったか?」
「な、なんでもないわ! そう、なんでもないのよ!」
「……?」
「と、とりあえず、決まったことは変えられないわよ! 今からまた野宿とか言い出したら、準備をしているアガサさんに迷惑が掛かっちゃうからね!」
「そうだな。……リリアーナ?」
「こ、今度は何よ」
「……ありがとな」
「――! ……ひ、卑怯ね!」
「な、何がだよ!」
「なんでもよ!」
い、いったい何だって言うんだよ。
でも、怒っているとかではなさそうだし、これ以上は何も言うまい。
俺のやるべきこととしては理性を保ち、リリアーナとの関係を壊さないことだ。
まだまだグランザリウスのことでは知らないことが多過ぎるのだから、ここでリリアーナに嫌われてしまったら頼れる人がいなくなってしまうからな。
「リリちゃん! 坊や! 準備できたよ!」
「あ、ありがとう、アガサさん」
「良いってことよ! ……しっかりやんなよ!」
「――! ち、違うからね!」
何やらぼそぼそと話をしているが、なんのことだろうか。
しかも、リリアーナの奴さっさと行っちゃったよ
「そうそう、アガサさん。俺の名前はアマカワだからね」
「アマカワ君かい? ……坊やでいいわね!」
「なんでだよ!」
「長いからさ!」
「いや、長くないから!」
「アマカワ! さっさと来なさい、置いて行くわよ!」
「ほらほら、リリちゃんが待ってるわよ!」
「……分かりましたよ!」
アガサさんには明日にでも呼び方を変えてもらわなければ。
坊やって、そんな年齢じゃないからな!
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