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第1章:異世界転生
デブからの情報
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「起きろ」
「ぶひんっ!」
俺はデブのお腹に蹴りを入れて起こしたのだが、デブはすぐに状況を理解したのかこちらを睨みつけてきた。
「き、貴様ら、何をやっているのか分かっているのか!」
「敵を縛り上げているだけだが?」
「て、敵だと? 敵はドラゴンだろうが!」
「そのドラゴンを呼んできたのは貴様らだろう?」
「ぐっ! ……俺たちがそんなことをするわけがないだろう」
「どうだかな。とりあえず、丸刈りと長髪からはすでに情報を聞き出している」
「な、なんだと!」
デブは動きが制限されている中、横になっている仲間二人に視線を向ける。
こいつらが生きているか死んでいるかを見ているのかもしれないが、それをさせる俺ではない。
「おい、よそ見するな」
「ぶひんっ! ……ぐ、ぐぬぬっ!」
顔を見られないように二人はデブとは逆側を向かせているが、それでも胸や背中が動いている様子を見られれば生きていることがバレてしまう。
情報を漏らしたことで死んでしまうような魔法や呪いがあれば、死んでいることを確認しようとするだろうし。
「さて、お前にもいくつか聞いておくが、とりあえず問題がなさそうな質問からだ。ドラゴンが暮らしていた森に毒を撒いたのはお前か?」
「知らん」
「本当に知らないのか?」
「……知らん」
……なるほど、こいつだけは他の二人と違うようだな。
「それじゃあ、今度は貴様に支障が出るだろう質問だ。依頼人の名前はなんだ?」
「知らん!」
「知らない? まさか、言えないんじゃないのか?」
「……知らんものは言えない、当然のことだな」
「言葉遊びを楽しむほど、俺も暇じゃないんだよ。……俺が殺してやってもいいんだぞ?」
「くっ!」
その反応、やっぱり話せば何かしらの方法でこいつらに死が訪れると思って間違いないだろうな。
しかし、そうなれば依頼人の情報を得るのは難しくなるか。
「……」
「……油断したな!」
「うるさい」
「ぶひーっ!」
俺は何かをしようとしたデブの顎に蹴りを入れて再び意識を奪い取った。
三人から話を聞いた結果、森に毒を撒いたのはデブの方だろう。
「とりあえず、デブの荷物から毒を探し出すか」
「えっ? でも、デブは毒を撒いてないって言ってたわよね?」
「あぁ。だが、丸刈りや長髪は考えた結果で分からないと答えていたが、デブだけは即答で知らないと言った。この質問がされると予想していたんだろう」
「……なるほど。自分が毒を撒いたから質問の予想ができた、そういうことですね?」
「あぁ。デブは他の二人には内緒で毒を撒いたんだろう。おそらく、依頼人からデブにだけ話がいっていたんだろうな」
レイチェルは納得したように頷いていたが、直後には鋭い視線でデブを睨みつけていた。
「……こいつのせいで私の森が、森の動物が!」
「落ち着け、レイチェル。今はこいつが毒を持っているかどうかを確認する必要がある」
「どうして? 私はすぐにでもこいつを殺したいわ」
「まずはどんな毒が撒かれたのかを確認する。それが分かれば、解毒剤の準備とかにも役に立つだろう」
「……そう、ね。ごめんなさい、少し、興奮してしまったわ」
レイチェルの気持ちも分かる。
突然暮らしていた場所に毒を撒かれ、一緒に暮らしていた者たち……レイチェルでいえば動物たちが苦しんでいるとなれば仕方がない。
「俺もなるべく早くレイチェルの森を助けられるようにするから、今は我慢してくれ」
「……ありがとう、アマカワさん」
笑みを浮かべたレイチェルはとてもかわいいかった。
……さ、さて、行動に移しますか。
「そうだ、アマカワさん」
「なんだ、レイチェル」
「あなたはエルフなのですか?」
「いんや、いたって普通の人間だけど、なんでだ?」
……いや、転生者だし普通の人間ではないが。
「……人間でこれだけかわいい人、見たことないから」
「だよねー! レイチェルもそう思うわよねー!」
結局、そういう話題になるってことか。
俺は苦笑するに止めてデブの荷物を漁っていく。
食料……金……着替え……くさっ!
「……ん? これはなんだ?」
俺は鞄の奥に寝かされていた瓶に入った液体を見つけた。
頑丈に封がされており、明らかに危険な臭いがプンプンする。
「鑑定っと……あー、やっぱりな」
「やっぱりってことは、それが毒なの?」
「そうみたいだ。それも結構猛毒」
「そんな! それじゃあ、私が森を離れている間に動物たちは!」
「……いや、それはまだ大丈夫かもしれない」
「本当?」
「あぁ。原液だと一滴で人は死ぬし、水で割っても濃度が高ければ同じだ。だけど、森全体に行き渡るようにしたってことは蒸発させたはずだし、それに伴って濃度は相当薄まっているはずだ。それならまだ間に合うかもしれない」
これは俺の希望的観測だ。別の方法で毒を撒いていたかもしれないし、濃度だって濃い毒が撒かれたかもしれない。
「……そうね、私が諦めていたらダメですよね」
レイチェルもそのことに気づいているはずだ。
だが、そのことを口にすることなく俺の意見に頷いてくれた。
……絶対に、レイチェルが暮らしていた森を助けてみせる。
「ぶひんっ!」
俺はデブのお腹に蹴りを入れて起こしたのだが、デブはすぐに状況を理解したのかこちらを睨みつけてきた。
「き、貴様ら、何をやっているのか分かっているのか!」
「敵を縛り上げているだけだが?」
「て、敵だと? 敵はドラゴンだろうが!」
「そのドラゴンを呼んできたのは貴様らだろう?」
「ぐっ! ……俺たちがそんなことをするわけがないだろう」
「どうだかな。とりあえず、丸刈りと長髪からはすでに情報を聞き出している」
「な、なんだと!」
デブは動きが制限されている中、横になっている仲間二人に視線を向ける。
こいつらが生きているか死んでいるかを見ているのかもしれないが、それをさせる俺ではない。
「おい、よそ見するな」
「ぶひんっ! ……ぐ、ぐぬぬっ!」
顔を見られないように二人はデブとは逆側を向かせているが、それでも胸や背中が動いている様子を見られれば生きていることがバレてしまう。
情報を漏らしたことで死んでしまうような魔法や呪いがあれば、死んでいることを確認しようとするだろうし。
「さて、お前にもいくつか聞いておくが、とりあえず問題がなさそうな質問からだ。ドラゴンが暮らしていた森に毒を撒いたのはお前か?」
「知らん」
「本当に知らないのか?」
「……知らん」
……なるほど、こいつだけは他の二人と違うようだな。
「それじゃあ、今度は貴様に支障が出るだろう質問だ。依頼人の名前はなんだ?」
「知らん!」
「知らない? まさか、言えないんじゃないのか?」
「……知らんものは言えない、当然のことだな」
「言葉遊びを楽しむほど、俺も暇じゃないんだよ。……俺が殺してやってもいいんだぞ?」
「くっ!」
その反応、やっぱり話せば何かしらの方法でこいつらに死が訪れると思って間違いないだろうな。
しかし、そうなれば依頼人の情報を得るのは難しくなるか。
「……」
「……油断したな!」
「うるさい」
「ぶひーっ!」
俺は何かをしようとしたデブの顎に蹴りを入れて再び意識を奪い取った。
三人から話を聞いた結果、森に毒を撒いたのはデブの方だろう。
「とりあえず、デブの荷物から毒を探し出すか」
「えっ? でも、デブは毒を撒いてないって言ってたわよね?」
「あぁ。だが、丸刈りや長髪は考えた結果で分からないと答えていたが、デブだけは即答で知らないと言った。この質問がされると予想していたんだろう」
「……なるほど。自分が毒を撒いたから質問の予想ができた、そういうことですね?」
「あぁ。デブは他の二人には内緒で毒を撒いたんだろう。おそらく、依頼人からデブにだけ話がいっていたんだろうな」
レイチェルは納得したように頷いていたが、直後には鋭い視線でデブを睨みつけていた。
「……こいつのせいで私の森が、森の動物が!」
「落ち着け、レイチェル。今はこいつが毒を持っているかどうかを確認する必要がある」
「どうして? 私はすぐにでもこいつを殺したいわ」
「まずはどんな毒が撒かれたのかを確認する。それが分かれば、解毒剤の準備とかにも役に立つだろう」
「……そう、ね。ごめんなさい、少し、興奮してしまったわ」
レイチェルの気持ちも分かる。
突然暮らしていた場所に毒を撒かれ、一緒に暮らしていた者たち……レイチェルでいえば動物たちが苦しんでいるとなれば仕方がない。
「俺もなるべく早くレイチェルの森を助けられるようにするから、今は我慢してくれ」
「……ありがとう、アマカワさん」
笑みを浮かべたレイチェルはとてもかわいいかった。
……さ、さて、行動に移しますか。
「そうだ、アマカワさん」
「なんだ、レイチェル」
「あなたはエルフなのですか?」
「いんや、いたって普通の人間だけど、なんでだ?」
……いや、転生者だし普通の人間ではないが。
「……人間でこれだけかわいい人、見たことないから」
「だよねー! レイチェルもそう思うわよねー!」
結局、そういう話題になるってことか。
俺は苦笑するに止めてデブの荷物を漁っていく。
食料……金……着替え……くさっ!
「……ん? これはなんだ?」
俺は鞄の奥に寝かされていた瓶に入った液体を見つけた。
頑丈に封がされており、明らかに危険な臭いがプンプンする。
「鑑定っと……あー、やっぱりな」
「やっぱりってことは、それが毒なの?」
「そうみたいだ。それも結構猛毒」
「そんな! それじゃあ、私が森を離れている間に動物たちは!」
「……いや、それはまだ大丈夫かもしれない」
「本当?」
「あぁ。原液だと一滴で人は死ぬし、水で割っても濃度が高ければ同じだ。だけど、森全体に行き渡るようにしたってことは蒸発させたはずだし、それに伴って濃度は相当薄まっているはずだ。それならまだ間に合うかもしれない」
これは俺の希望的観測だ。別の方法で毒を撒いていたかもしれないし、濃度だって濃い毒が撒かれたかもしれない。
「……そうね、私が諦めていたらダメですよね」
レイチェルもそのことに気づいているはずだ。
だが、そのことを口にすることなく俺の意見に頷いてくれた。
……絶対に、レイチェルが暮らしていた森を助けてみせる。
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