異世界従魔具店へようこそ!〜私の外れスキルはモフモフと共にあり〜

渡琉兎

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第二章

第84話:材料の確認とオーダーメイド

 取り出された材料は、レクシアの火魔法に合わせた属性のものばかりだ。
 それを見ただけで、ティアナがレクシアを思って材料を集めていていたことがすぐに分かった。

「へぇ。すごい貴重な材料を集めたのね」

 材料を見たセリシャがそう呟いた。

「そうなんですか?」
「えぇ。深火口爆岩しんかこうばくがんに、赤樹発火木せきじゅはっかぼく、火竜の鱗に爪に牙、さらに魔石まで……あなた、これだけで何世代分の財産になると思っているの?」
「な、なななな、何世代!?」

 セリシャがため息交じりにそう呟くと、楓は目を見開きながらティアナを見た。

「……さあ?」
「え? あの……え? 私はどちらの言葉を信じれば?」
「ティアナさん?」
「あははー! まあ、私にとっては財産よりも、仲間の命の方が大事だからね! できる準備は万全にしたいってわけよ!」

 最初こそ金額の部分で驚きの声を上げた楓だったが、ティアナの「仲間の命の方が大事」という言葉を聞いて、ハッとさせられた。

「……確かに、ティアナさんの言う通りですね。命に代わるものはありませんもんね」
「そういうことよ」
「とはいえ、ティアナさんの場合はやり過ぎな部分もあるけれどね」
「えぇ~? そうかな~?」

 納得した楓とは違い、セリシャは呆れたようにそう口にした。
 するとティアナは否定的な声を上げたが、それでも自分の考えを曲げるつもりはなく、そのまま目の前の材料でレクシアの従魔具を作ってもらうつもりだ。

「……こんなにすごい材料を使わせてもらえるなんて、感激です! 私、頑張りますね!」
「カエデならそう言ってくれると思っていたわ!」

 すると楓はレクシアのため、そしてティアナの仲間を守りたいという思いに応えるため、気合いを入れて声を上げた。

「まずはティアナさんに、どんな従魔具が欲しいか聞いてもいいですか?」

 そこで楓はまず、レクシアの主であるティアナに話を聞くことにした。
 しかしティアナの答えは、意外なものだった。

「そのことなんだけど、レクシアに聞いてもらってもいいかな?」
「もちろんレクシアさんにも聞きますけど、ティアナさんの希望はないんですか?」
「私はレクシアを守れて、彼女が満足してくれる従魔具なら、問題ないと思っているの。カエデの従魔具職人としての想いを聞いたから、そう思うようになったんだ」
「……もしかして、従魔ファーストのことですか?」
「そうそう! 私の考えを押し付けたくないから、お願いできるかな?」

 従魔のために従魔具を作る。
 それは主のたまだけであってはならないと、楓は常日頃から思っていた。
 とはいえ、そのことを口癖にしているわけではない。
 時折、従魔具職人としての話し合いをする時にだけ口にしていた。
 その場にティアナがいたこともあっただろうが、それは数回程度だろう。そう多くはないなずだ。
 それにも関わらずティアナは楓の想いを覚えてくれており、その想いに共感してくれていたのだ。

「……分かりました。でも、ティアナさんが絶対にこれは欲しい! っていうのがあったら教えてくださいね? もちろん、レクシアさんにも聞いてみるので」
「分かったわ。ありがとう、カエデ」

 それから楓は、レクシアに触れる許可を取ってから、その柔らかな毛並みに触れる。

「レクシアさん。どんな従魔具がいいかを教えてくれますか?」
「ココンゴン。コン、ココングルグルゴルルゴン(ティアナはとても強いわ。だから、彼女の隣に立って戦えるような従魔具が欲しいわ)」
「そうなんですね。なんだか、レクシアさんらしいです」

 ティアナと並び立つことを決めたレクシア。
 その想いを聞いた楓は、ティアナとレクシアが最高の関係を築けているのだと笑みを浮かべる。

「クルクル。ココンクルル? グルルゴン(そうそう。ティアナには内緒ね? 驚かせたいの)」
「うふふ。分かりました」

 最後のそう口にしたレクシアに頷き、楓は手を離してから立ち上がる。

「レクシアはなんて?」
「内緒です」
「えぇっ!? な、なんでよ!!」
「レクシアさんからのご要望なので」
「そんな!? 嘘でしょ、レクシア!!」
「……ココーン」
「その顔は、事実なのね!?」

 レクシアの表情からある程度の感情を読み取ることができるようになっていたティアナ。
 頭を抱える姿も、二人の関係性が近くなっている証拠だろう。

「楽しみにしていてくださいね、ティアナさん」
「コンコンコン」
「うぅぅ、分かったわよ~。楽しみにしているからね、カエデ!」

 こうしてティアナとレクシアはセリシャの部屋をあとにし、楓はテーブルに広げられた従魔具の材料に目を向ける。

「……よし、やるぞ!」

 そして、自らを鼓舞するために声を上げた楓は、頭の中に浮かんでいた作り方に思考を向けた。
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