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第四章
第190話:楓のしたいことは?
ティアナとヴィオンに連れられて、楓はバルフェムの大通りを歩いていた。
とはいっても、特にやることも決めていなければ、目的地も決めていない。
本当に、ただ散歩をしているだけの状況だった。
「カエデはさ、こっちで何かやりたいこととかないの?」
ふと、ティアナがそんな質問をしてきた。
「こっちでですか? ……あー、そういうことですね」
質問の意図に気づいた楓がそう呟くと、ティアナは微笑みながら頷く。
ティアナはこっちの世界、つまり異世界で何かしたいことはないかと聞いてきたのだ。
「正直、いきなりこっちに連れてこられちゃったんで、特にないんですよね。ほら、王都からすぐにバルフェムに来て、そこからは忙しい毎日でしたし」
「あー……うん、確かにその通りだわ」
楓が異世界に召喚されてから今日まで、一番長い付き合いなのはティアナだ。
召喚初日から護衛としてバルフェムまで行動し、それからほぼ毎日顔を合わせている。
ご飯を作り、一緒に素材を探したり、従魔を探したり。
危険な目に遭った時も、助けてくれたのはティアナだった。
過去を振り返ると、楓はティアナがいなければ異世界でどうなっていたか、想像するだけでゾッとしてしまう。
「……ありがとうございます、ティアナさん」
「え? 私、何かした?」
「うふふ。なんでもないです」
楓から突然お礼を言われ、ティアナは困惑してしまう。
そんなティアナを見ながら、楓は楽しそうに笑った。
「しかし、どうする? 目的もなくただ散歩でもいいのか?」
そこへヴィオンが声を掛けてきた。
性格の問題だろうか、楓とティアナはただプラプラと散歩をするのも楽しいのだが、ヴィオンは目的がないとどうにもそわそわしてしまうのだ。
「そうですねぇ…………あっ!」
ヴィオンの問い掛けに楓は考え、そして声を上げた。
「おっ! 何か閃いたのね、カエデ!」
「はい! 時間もありますし、ピースの新しい従魔具を作りたいです!」
「「がくっ!?」」
「……え? ど、どうしたんですか?」
楓が口にしたやりたいことに、ティアナとヴィオンは呆れてしまう。
「……カ、カエデ? せっかくの休みなのに、従魔具を作るの?」
「はい! だって、ピースの従魔具は休みの日にしか作れませんから!」
「……さすがはカエデさんというか、なんというか」
苦笑いを浮かべるティアナとヴィオンだったが、従魔具を作ってもらえると思ったピースは楓の肩の上で諸手を上げて喜んでいる。
「キュキ! キュッキキー!(いいの! やったー!)」
「うふふ。ピースが選んだ材料を使って、作ろうね!」
「キュン!(うん!)」
上機嫌になり、作ってもらう気満々のピース。
こうなっては、作らないでとは言えなくなってしまったティアナとヴィオン。
二人は顔を見合わせると、苦笑しながら小さく息を吐く。
「……それじゃあ、商業ギルドに顔を出す? カエデの従魔具の材料を預かってもらっているんでしょ?」
「ついでにカエデさんの魔法鞄に材料を移してもらってもいいんじゃないか?」
「いいですね、それ! うん、行きましょう!」
「キュッキュキュー!(レッツゴー!)」
こうして楓たちの目的地は、商業ギルドに決定した。
とはいっても、特にやることも決めていなければ、目的地も決めていない。
本当に、ただ散歩をしているだけの状況だった。
「カエデはさ、こっちで何かやりたいこととかないの?」
ふと、ティアナがそんな質問をしてきた。
「こっちでですか? ……あー、そういうことですね」
質問の意図に気づいた楓がそう呟くと、ティアナは微笑みながら頷く。
ティアナはこっちの世界、つまり異世界で何かしたいことはないかと聞いてきたのだ。
「正直、いきなりこっちに連れてこられちゃったんで、特にないんですよね。ほら、王都からすぐにバルフェムに来て、そこからは忙しい毎日でしたし」
「あー……うん、確かにその通りだわ」
楓が異世界に召喚されてから今日まで、一番長い付き合いなのはティアナだ。
召喚初日から護衛としてバルフェムまで行動し、それからほぼ毎日顔を合わせている。
ご飯を作り、一緒に素材を探したり、従魔を探したり。
危険な目に遭った時も、助けてくれたのはティアナだった。
過去を振り返ると、楓はティアナがいなければ異世界でどうなっていたか、想像するだけでゾッとしてしまう。
「……ありがとうございます、ティアナさん」
「え? 私、何かした?」
「うふふ。なんでもないです」
楓から突然お礼を言われ、ティアナは困惑してしまう。
そんなティアナを見ながら、楓は楽しそうに笑った。
「しかし、どうする? 目的もなくただ散歩でもいいのか?」
そこへヴィオンが声を掛けてきた。
性格の問題だろうか、楓とティアナはただプラプラと散歩をするのも楽しいのだが、ヴィオンは目的がないとどうにもそわそわしてしまうのだ。
「そうですねぇ…………あっ!」
ヴィオンの問い掛けに楓は考え、そして声を上げた。
「おっ! 何か閃いたのね、カエデ!」
「はい! 時間もありますし、ピースの新しい従魔具を作りたいです!」
「「がくっ!?」」
「……え? ど、どうしたんですか?」
楓が口にしたやりたいことに、ティアナとヴィオンは呆れてしまう。
「……カ、カエデ? せっかくの休みなのに、従魔具を作るの?」
「はい! だって、ピースの従魔具は休みの日にしか作れませんから!」
「……さすがはカエデさんというか、なんというか」
苦笑いを浮かべるティアナとヴィオンだったが、従魔具を作ってもらえると思ったピースは楓の肩の上で諸手を上げて喜んでいる。
「キュキ! キュッキキー!(いいの! やったー!)」
「うふふ。ピースが選んだ材料を使って、作ろうね!」
「キュン!(うん!)」
上機嫌になり、作ってもらう気満々のピース。
こうなっては、作らないでとは言えなくなってしまったティアナとヴィオン。
二人は顔を見合わせると、苦笑しながら小さく息を吐く。
「……それじゃあ、商業ギルドに顔を出す? カエデの従魔具の材料を預かってもらっているんでしょ?」
「ついでにカエデさんの魔法鞄に材料を移してもらってもいいんじゃないか?」
「いいですね、それ! うん、行きましょう!」
「キュッキュキュー!(レッツゴー!)」
こうして楓たちの目的地は、商業ギルドに決定した。
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