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第一章:不当解雇
閑話:デン視点
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全く、無茶をする奴だと前々から思っていたが、ここでもその無茶は変わらないようだ。
我がどれだけ心配しても、言葉を尽くしても、自分の決めた事を覆す事がない。
こうなると、我は与えられた役割を果たすだけだな。
「しっかしなあ、デン。レインズは本当に大丈夫なのか?」
「安心せよ、ギレイン。我を倒し、従えているレインズがSランク如きに負けるはずがない」
こうも気安く話し掛けられるのはどうもむず痒いが、レインズとしか会話をしてこなかったからか、新鮮で楽しいものだな。
「Sランクを如きと言うか。……こりゃあ、マジでデンがSSSランクなんじゃねえかって思えてきたぜ」
「む? お主ら、我がSSSランクだという事を信じていないのか?」
「信じたい気持ちはあるが、SSSランクってのは伝説になるような魔獣だぞ? おとぎ話とか、そんなんに出てくるな。レインズの実力は実際に剣を合わせて確認したが、SSSランクの魔獣を倒せるほどじゃあないだろう」
ふむ、どうやらギレインはレインズの力を見誤っているようじゃ。
人間相手に戦う場合、魔獣キラーのスキルは発動しない。故に、模擬戦の時の実力を判断材料にするのは間違っているのだ。
「そういえば、ギレインはレインズが魔獣と戦う姿を見ていないんだったな」
「そうだが、俺より少し強い程度だろ? 魔獣キラーのスキルがあったとしても、さすがにSSSランクの魔獣ってのはなぁ。Bランクのオーガやオーガファイターを倒してくれたから、スキルの効果はあるんだろうけどよ」
魔獣に対する知識があり過ぎるのも、時と場合によるという事か。
何とかギレインの誤解を解きたいところだが……どうやら、そうもいかなくなったみたいだ。
「来たようだな」
「まあ、そうだろうな」
姿を見せたのはオーガとオーガファイター。
ギレインや自警団の面々が武器を構えるが、まだ子供であるギースやミリルは震えている。
それに、主力であろう四名以外の大人まで硬くなっているではないか。
「これで戦えるのか?」
「正直、厳しいな。だが、ここは死んでも守り切ってみせるぜ」
「そうか……ならば、お主らは全員で一匹のオーガをやるんだ」
「一匹って、残りはどうするんだ?」
「当然、我が喰らってやろう!」
本当ならば我が全てを喰らっても良いのだが、経験を積ませるという意味では自警団にも戦わせた方が良い。
面倒ではあるが、上手く調整はしてやろうではないか。
「ガルアアアアッ!」
オーガファイターの喉笛に噛み付くと、そのまま喰いちぎり次のオーガファイターへと向かう。
隣に立っていたオーガはそのままとして、自警団に任せる事にする。
数はそこまで多くはない。おそらく、レインズが群れを中心に殲滅してくれているのであろう。
ありがたい事だが、我としては少々つまらん結果になってしまうな。
ウラナワ村の近くに魔獣が生まれ落ちる、といった事も起きんようだし、これではどうも……ん?
「なんじゃ、この気配は?」
我の気配察知に、謎の気配が引っ掛かった。
レインズも気づいたようで、そちらに足を向けているようだ。
これは明らかに魔獣ではない何か。
「……まあ、悪いものではなさそうだし、気にする必要はないか」
我は気配察知の範囲を狭めてウラナワ村周辺に集中させる。
どうやら、正面だけではなく側面や後方からも迫ってきているようだな。
「仕方がない、少し走るか!」
風のように、足音も無く、我は側面へと回り魔獣の首を喰らっていく。そのまま後方へと回り、逆側の側面へ。その時間は1分も掛かっていないだろう。
中にはAランクと思われる魔獣も交ざっておったが、変わりなく喰らってやった。
正面に戻ってくると、自警団が傷を負いながらもオーガの討伐を終えたところだった。
「デン!」
「かかかっ! どうやら倒せたようだな!」
「お前、勝手にどっか行くなよな!」
「なんだ、オーガに恐れをなしたのか?」
「違うわ! お前が心配だったんだよ!」
「……我の心配だと?」
何を言っているのだ。
我はSSSランクのシルバーフェンリル。
BランクやAランクの魔獣なんぞに傷を負うことはないのだがな。
「当り前だろう! 俺たちは仲間だ! まあ、お前からしたら頼りない仲間かもしれないが、仲間を心配するのは当然だろうが」
……ふむ、仲間か。
「……まあ、悪くない響きだな」
「だろう? だから、勝手に魔獣に突っ込むとか、もう止めろよな」
「その言葉、頭の片隅にでも置いておこう」
「片隅じゃなくて、ど真ん中に置いておけよ!」
ギレインは本当に愉快な奴だのう。
レインズとは違うタイプだが、これはこれで面白い。
「ふむ、ギレインよ。次が来たようだぞ?」
「うげえっ! また来たのかよ。レインズは本当に大丈夫なんだろうなあ?」
レインズはすでに何倍もの数を討伐しているのだが……まあ、今は黙っておくとしよう。
ボスを討伐して戻って来たらレインズから報告するだろうし、その時に驚く姿を見るのも面白い気がする。
――だが、戻ってきた時にSSSランクの魔獣が現れたと聞いた時は、我も驚いたがな!
くそっ、やはりついていくんだった! 絶対に楽しい殺し合いができただろうに!
我がどれだけ心配しても、言葉を尽くしても、自分の決めた事を覆す事がない。
こうなると、我は与えられた役割を果たすだけだな。
「しっかしなあ、デン。レインズは本当に大丈夫なのか?」
「安心せよ、ギレイン。我を倒し、従えているレインズがSランク如きに負けるはずがない」
こうも気安く話し掛けられるのはどうもむず痒いが、レインズとしか会話をしてこなかったからか、新鮮で楽しいものだな。
「Sランクを如きと言うか。……こりゃあ、マジでデンがSSSランクなんじゃねえかって思えてきたぜ」
「む? お主ら、我がSSSランクだという事を信じていないのか?」
「信じたい気持ちはあるが、SSSランクってのは伝説になるような魔獣だぞ? おとぎ話とか、そんなんに出てくるな。レインズの実力は実際に剣を合わせて確認したが、SSSランクの魔獣を倒せるほどじゃあないだろう」
ふむ、どうやらギレインはレインズの力を見誤っているようじゃ。
人間相手に戦う場合、魔獣キラーのスキルは発動しない。故に、模擬戦の時の実力を判断材料にするのは間違っているのだ。
「そういえば、ギレインはレインズが魔獣と戦う姿を見ていないんだったな」
「そうだが、俺より少し強い程度だろ? 魔獣キラーのスキルがあったとしても、さすがにSSSランクの魔獣ってのはなぁ。Bランクのオーガやオーガファイターを倒してくれたから、スキルの効果はあるんだろうけどよ」
魔獣に対する知識があり過ぎるのも、時と場合によるという事か。
何とかギレインの誤解を解きたいところだが……どうやら、そうもいかなくなったみたいだ。
「来たようだな」
「まあ、そうだろうな」
姿を見せたのはオーガとオーガファイター。
ギレインや自警団の面々が武器を構えるが、まだ子供であるギースやミリルは震えている。
それに、主力であろう四名以外の大人まで硬くなっているではないか。
「これで戦えるのか?」
「正直、厳しいな。だが、ここは死んでも守り切ってみせるぜ」
「そうか……ならば、お主らは全員で一匹のオーガをやるんだ」
「一匹って、残りはどうするんだ?」
「当然、我が喰らってやろう!」
本当ならば我が全てを喰らっても良いのだが、経験を積ませるという意味では自警団にも戦わせた方が良い。
面倒ではあるが、上手く調整はしてやろうではないか。
「ガルアアアアッ!」
オーガファイターの喉笛に噛み付くと、そのまま喰いちぎり次のオーガファイターへと向かう。
隣に立っていたオーガはそのままとして、自警団に任せる事にする。
数はそこまで多くはない。おそらく、レインズが群れを中心に殲滅してくれているのであろう。
ありがたい事だが、我としては少々つまらん結果になってしまうな。
ウラナワ村の近くに魔獣が生まれ落ちる、といった事も起きんようだし、これではどうも……ん?
「なんじゃ、この気配は?」
我の気配察知に、謎の気配が引っ掛かった。
レインズも気づいたようで、そちらに足を向けているようだ。
これは明らかに魔獣ではない何か。
「……まあ、悪いものではなさそうだし、気にする必要はないか」
我は気配察知の範囲を狭めてウラナワ村周辺に集中させる。
どうやら、正面だけではなく側面や後方からも迫ってきているようだな。
「仕方がない、少し走るか!」
風のように、足音も無く、我は側面へと回り魔獣の首を喰らっていく。そのまま後方へと回り、逆側の側面へ。その時間は1分も掛かっていないだろう。
中にはAランクと思われる魔獣も交ざっておったが、変わりなく喰らってやった。
正面に戻ってくると、自警団が傷を負いながらもオーガの討伐を終えたところだった。
「デン!」
「かかかっ! どうやら倒せたようだな!」
「お前、勝手にどっか行くなよな!」
「なんだ、オーガに恐れをなしたのか?」
「違うわ! お前が心配だったんだよ!」
「……我の心配だと?」
何を言っているのだ。
我はSSSランクのシルバーフェンリル。
BランクやAランクの魔獣なんぞに傷を負うことはないのだがな。
「当り前だろう! 俺たちは仲間だ! まあ、お前からしたら頼りない仲間かもしれないが、仲間を心配するのは当然だろうが」
……ふむ、仲間か。
「……まあ、悪くない響きだな」
「だろう? だから、勝手に魔獣に突っ込むとか、もう止めろよな」
「その言葉、頭の片隅にでも置いておこう」
「片隅じゃなくて、ど真ん中に置いておけよ!」
ギレインは本当に愉快な奴だのう。
レインズとは違うタイプだが、これはこれで面白い。
「ふむ、ギレインよ。次が来たようだぞ?」
「うげえっ! また来たのかよ。レインズは本当に大丈夫なんだろうなあ?」
レインズはすでに何倍もの数を討伐しているのだが……まあ、今は黙っておくとしよう。
ボスを討伐して戻って来たらレインズから報告するだろうし、その時に驚く姿を見るのも面白い気がする。
――だが、戻ってきた時にSSSランクの魔獣が現れたと聞いた時は、我も驚いたがな!
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