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第二章:護衛依頼
第66話:再会
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声のした方へ振り返ると、懐かしい顔に俺は表情をほころばせる。
「レミーか!」
「やっぱりレインズじゃないか! どうしてここにいるんだい?」
ジーラギ国からサクラハナ国へ向かう際、船の護衛をしていたレミーとの再会に驚きつつも、そのまま質問に答えていく。
「移住先の革職人がこちらに商品を卸しに来まして、それで足を運んでます」
「……あんたねぇ。さん付けが無くなったとはいえ、まだ敬語を使っているのかい?」
「敬語も必要ないですか?」
「そりゃそうだ。そんな言葉遣いをしていたら、冒険者は舐められるからね」
「俺は冒険者じゃないんだが?」
「無駄に絡まれるって事だよ!」
快活な笑みを浮かべながら肩を組んできたレミーに、俺は苦笑しながら言葉遣いを変える事にした。
「……わかったよ、レミー」
「それでいいんだ! それで、レインズ。冒険者ギルドには何の用だったんだ?」
「世話になっている村で取れた魔獣の素材を売りにな。あっちで商談をしているところだよ」
「へぇ、そうなのかい。……んで、その剣は? 新しくなってるだろう?」
目ざとく気づいたレミーは視線を俺から腰に下げているブルーレイズに目を向ける。
「あぁ。前に使っていた剣は折れてしまってな。村の鍛冶師に素材を提供して作ってもらったんだ。まあ、俺には分不相応な素材まで持ち出してもらったんだけどな」
「だろうね。抜かなくても分かるよ。この剣は、相当等級の高い剣だってね」
「等級? そんなものがあるのか?」
バージルから受け取った時には等級の話は出てこなかった。
これが素晴らしい逸品である事は理解していたものの、実際にどういった等級に値するのか気になり始めてしまった。
「あるよ。等級は下で三級から二級、一級、特級って感じ。その剣はあたいの見立てだと……一級になるんじゃないかね」
「一級か。凄いな、バージルは」
「でも……もったいないね」
「もったいない?」
「あぁ。この剣の素材は結構いいものを使っているんじゃないかい?」
「……Aランクの魔獣だな」
「へえっ! それは予想以上にランクの高い魔獣じゃないか!」
驚きの声をあげているが、俺にはそれほど驚いているようには見えない。
それよりも、その前に口にしたもったいないという言葉が引っ掛かっていた。
「それで、もったいないって言うのは?」
「Aランク魔獣の素材を使って、それに鉱石にも相当な価値のある素材が使われているはずだ。それなら、特級になってもおかしくはないのさ」
「……それは、バージルの腕が悪いって言いたいのか?」
自分の事なら何を言われても良いと思っているが、他人の事となれば話は別だ。
俺は殺気、とまではいかなくとも強い圧力をいつの間にか発していた。
だが、俺の圧力をレミーは意に介さず受け流しながらニコリと微笑んだ。
「冒険者にとって武器は自分を守る最後の砦だ。だから、もったいないならもったいないとはっきり言わせてもらうよ」
その言葉は俺も理解しているところだった。
仲間も確かに大事だろう。だが、俺はジーラギ国でその仲間に恵まれなかった。
デンは別としても、ほとんどの時間を一人で過ごし、魔獣狩りも一人で行っている。
「……そうだよな。すまん、少し興奮してしまった」
だからこそ、すぐに圧力を押さえて謝罪を口にした。
「いいんだよ。あたいだって仲間の悪口を言われたら文句の一つや二つ、言いたくなるからね」
「……助かる」
軽く肩を竦めたレミーにお礼を口にして、俺は等級に話を戻した。
「しかし、Aランクの魔獣素材を使って特級になるのか」
「まあ、他の素材も重要だけどね」
「それなら、SSSランクの魔獣素材を使ったらどうなるんだろうな」
「……レインズ。それは本気で言っているのかい? そんな伝説級な素材、手に入るわけがないだろうに」
「そうか? ……まあ、普通はそうなんだろうな」
俺の言葉を受けて、レミーは少しばかり表情をこわばらせた。
……うーん、これは口を滑らせてしまったかもしれない。
「……な、なあ、レインズ。まさかとは思うけど、SSSランク魔獣の素材を持っているとか、言わないよね?」
「……」
「……何も言わないって事は、肯定だとみなすがいいのかい?」
「……ぅぅ!」
「あんた、隠し事ができないんだねぇ」
いや、だってなぁ……いきなり過ぎて取り繕う事すらできなかったぞ。
「俺が持っているわけじゃない。村のみんなのものだから、今日はそれを売りに来ているってのもあるんだよ」
「……凄いスキルを持っているとは思っていたけど、まさかねぇ」
驚いているのか呆れているのか、どちらともつかない表情を浮かべているレミーに俺は苦笑を返す。
だが、そのタイミングでヒロさんと受付嬢が入っていった部屋のドアが開かれた。
「ヒロさん、終わったんですか?」
「あぁ、レインズ君。いいえ、それが……ちょっとだけ面倒な事になりました」
「しょ、少々お待ちください!」
先ほど一緒に入っていった受付嬢が慌てた様子で二階へと駆け上がっていく。
「どうしたんですか?」
「それが……SSSランクの素材を出したところで自分では判断が下せないと、ギルドマスター案件になってしまいました」
……さすがはSSSランク素材と言うべきか、確かに面倒な事になったようだ。
「レミーか!」
「やっぱりレインズじゃないか! どうしてここにいるんだい?」
ジーラギ国からサクラハナ国へ向かう際、船の護衛をしていたレミーとの再会に驚きつつも、そのまま質問に答えていく。
「移住先の革職人がこちらに商品を卸しに来まして、それで足を運んでます」
「……あんたねぇ。さん付けが無くなったとはいえ、まだ敬語を使っているのかい?」
「敬語も必要ないですか?」
「そりゃそうだ。そんな言葉遣いをしていたら、冒険者は舐められるからね」
「俺は冒険者じゃないんだが?」
「無駄に絡まれるって事だよ!」
快活な笑みを浮かべながら肩を組んできたレミーに、俺は苦笑しながら言葉遣いを変える事にした。
「……わかったよ、レミー」
「それでいいんだ! それで、レインズ。冒険者ギルドには何の用だったんだ?」
「世話になっている村で取れた魔獣の素材を売りにな。あっちで商談をしているところだよ」
「へぇ、そうなのかい。……んで、その剣は? 新しくなってるだろう?」
目ざとく気づいたレミーは視線を俺から腰に下げているブルーレイズに目を向ける。
「あぁ。前に使っていた剣は折れてしまってな。村の鍛冶師に素材を提供して作ってもらったんだ。まあ、俺には分不相応な素材まで持ち出してもらったんだけどな」
「だろうね。抜かなくても分かるよ。この剣は、相当等級の高い剣だってね」
「等級? そんなものがあるのか?」
バージルから受け取った時には等級の話は出てこなかった。
これが素晴らしい逸品である事は理解していたものの、実際にどういった等級に値するのか気になり始めてしまった。
「あるよ。等級は下で三級から二級、一級、特級って感じ。その剣はあたいの見立てだと……一級になるんじゃないかね」
「一級か。凄いな、バージルは」
「でも……もったいないね」
「もったいない?」
「あぁ。この剣の素材は結構いいものを使っているんじゃないかい?」
「……Aランクの魔獣だな」
「へえっ! それは予想以上にランクの高い魔獣じゃないか!」
驚きの声をあげているが、俺にはそれほど驚いているようには見えない。
それよりも、その前に口にしたもったいないという言葉が引っ掛かっていた。
「それで、もったいないって言うのは?」
「Aランク魔獣の素材を使って、それに鉱石にも相当な価値のある素材が使われているはずだ。それなら、特級になってもおかしくはないのさ」
「……それは、バージルの腕が悪いって言いたいのか?」
自分の事なら何を言われても良いと思っているが、他人の事となれば話は別だ。
俺は殺気、とまではいかなくとも強い圧力をいつの間にか発していた。
だが、俺の圧力をレミーは意に介さず受け流しながらニコリと微笑んだ。
「冒険者にとって武器は自分を守る最後の砦だ。だから、もったいないならもったいないとはっきり言わせてもらうよ」
その言葉は俺も理解しているところだった。
仲間も確かに大事だろう。だが、俺はジーラギ国でその仲間に恵まれなかった。
デンは別としても、ほとんどの時間を一人で過ごし、魔獣狩りも一人で行っている。
「……そうだよな。すまん、少し興奮してしまった」
だからこそ、すぐに圧力を押さえて謝罪を口にした。
「いいんだよ。あたいだって仲間の悪口を言われたら文句の一つや二つ、言いたくなるからね」
「……助かる」
軽く肩を竦めたレミーにお礼を口にして、俺は等級に話を戻した。
「しかし、Aランクの魔獣素材を使って特級になるのか」
「まあ、他の素材も重要だけどね」
「それなら、SSSランクの魔獣素材を使ったらどうなるんだろうな」
「……レインズ。それは本気で言っているのかい? そんな伝説級な素材、手に入るわけがないだろうに」
「そうか? ……まあ、普通はそうなんだろうな」
俺の言葉を受けて、レミーは少しばかり表情をこわばらせた。
……うーん、これは口を滑らせてしまったかもしれない。
「……な、なあ、レインズ。まさかとは思うけど、SSSランク魔獣の素材を持っているとか、言わないよね?」
「……」
「……何も言わないって事は、肯定だとみなすがいいのかい?」
「……ぅぅ!」
「あんた、隠し事ができないんだねぇ」
いや、だってなぁ……いきなり過ぎて取り繕う事すらできなかったぞ。
「俺が持っているわけじゃない。村のみんなのものだから、今日はそれを売りに来ているってのもあるんだよ」
「……凄いスキルを持っているとは思っていたけど、まさかねぇ」
驚いているのか呆れているのか、どちらともつかない表情を浮かべているレミーに俺は苦笑を返す。
だが、そのタイミングでヒロさんと受付嬢が入っていった部屋のドアが開かれた。
「ヒロさん、終わったんですか?」
「あぁ、レインズ君。いいえ、それが……ちょっとだけ面倒な事になりました」
「しょ、少々お待ちください!」
先ほど一緒に入っていった受付嬢が慌てた様子で二階へと駆け上がっていく。
「どうしたんですか?」
「それが……SSSランクの素材を出したところで自分では判断が下せないと、ギルドマスター案件になってしまいました」
……さすがはSSSランク素材と言うべきか、確かに面倒な事になったようだ。
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