異世界では人並みに幸せになれますように

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カイルが直ぐそこにいるのに！

どうしてもベーニーのお父さんから逃れられない為に私は諦め大人しくして元いた部屋の声を聞く事に集中した。


集中していると大人しくなった私を諦めたと思いベーニーのお父さんの拘束が少し弱くなった。
けど相変わらず口は塞がれたままだけど少し安心できた。


今は逃げ出す事は出来ないけどもしかしたらカイルが気付いてくれるかも知れないと誰がいるのか先ずは隣の部屋の声を聞く。


すると微かに「ワンッ」と声が聞こえた！


この声はラルク！来てくれたんだと嬉しくなる。


すると今度は「お願いします」と声が聞こえた！


この声はジル！ジルもいる。


今度は「此方がリストで御座います」と聞こえた！


この声はセラフィムだ！


皆いる！私は直ぐ近くにいるのに気付いて！
と思って又ジタバタとしようとすると又ベーニーのお父さんが強く拘束されてしまった。


これでは又初めに戻ってしまって後悔して涙が出てくる。


落ち込んでいると隣の部屋からは神殿長の話声が興奮しているのか段々と大きくなってきている、
すると

ダンッ！と何かを叩く音と共に


「無礼な！」
と神殿長の声が聞こえた。


カイルの声は良く聞こえ無いけど冷静に話しているみたいだ。


私はそぉ～とベーニーのお父さんの顔を見ると険しい顔をしていた。


あーもう嫌だ！どうすれば良いんだろう。


すると「誰だ！」バァン！と大きな音がしてビクッとなってしまった。
その音にベーニーのお父さんもビックリしたみたいで私の拘束が解かれ床に転がった。


此方でも私がドスっと落ちた音が響いたみたいで扉がバァン！と開いた。


私はあっと扉を開いた人を見ると驚いた顔をしたセラフィムだった！


セラフィムはハッ！と我に返ると直ぐに私を抱きしめた。


「何をする！その子供を返せ！」


「何を仰います、此方の方は私共の連れで御座います、お返しする訳が無いじゃ無いですか！」


セラフィムとベーニーのお父さんが睨み合っているのでギュッとセラフィムの洋服を掴み抱き付くと頭をポンッとされた。


顔を上げるとそこにはカイルが苦笑いをしていた。


「リア、無事で良かった、、、
　さて、貴殿は確か我が国のカーリット公爵では無かったかな？何故此方に？」


「これはこれはカイル殿下、この様な処で偶然ですな、私は偶然神殿長にようが御座いまして話していた所、
　偶然カイル殿下がいらっしゃったと聞き、私の事は後で先ずは殿下を優先して下さいと神殿長に申し上げたのです。

そして偶然お待ちしている部屋が隣りになっただけでございますよ、ハハハ」


私は皆がいる事で安心できたけど、
凄く汗をかきながらベーニーのお父さんは笑っているけど本当の笑顔では無いんだろうなぁ～
偶然がいっぱいだなぁ～と思ってしまった。