俺TUEEE出来るって常識だよね？

第一章

裏山の出来事

【異世界】に来る前までの俺は、自分で言うのもなんだが、イケメンとフツメンのちょうど中間くらいの顔立ちで、周りと比べると少しばかり身長が小さかったが、決してモテなかった訳ではない！
　バレンタインともなればクラスメイトから１個は義理チョコは貰えてたし⋯⋯本命？んなもんあるか。イケメンでも本命とか、そう簡単には貰えんだろう。

　クラスの人気者では無かったが、同姓の友達はそこそこ多かったと思う。
　ネトゲを一緒にやる奴はいなかったが、よくつるんでいた奴等もいたし。スマホのゲームなら一緒にやってたし。

　決して優秀では無かったが、そこそこの頭脳もあった。唯一の欠点と言えば、頭の中で色々と創造し、場所をわきまえずニヤニヤする事くらいだ。
　同姓からは『何ニヤついてんだよ(笑)』と突っ込まれ、
　異性からは『うわっ。キモッ』と――――


　～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～

　⋯⋯⋯。
　あれ。冷静に思い出すと気持ち悪いレッテル貼られてたわ。

　何で突拍子もなく、急に一人語りをしているかと言えば、簡単だ。動けないからだ。
　比喩的な意味ではなく。現実の話しだ。


　＊＊＊


　一時間前程に遡るが、武器屋におばさんに依頼された裏山に着き、山頂まであと少しの所でツノウサギ2匹を見付けたのだ。
　俺は、今まで持っていなかった武器を持っているのだ。【SPEED】と【スタミナ】のスキルもある。
　どうするかは火を見るより明らかだ！

　そりゃツノウサギにダッシュしダガーを振りかざす。ここまでは良かった！ここまでは――――

　ダガーを振りかざすだけではなく。初めての【ダッシュ攻撃】だ！足元なんか見るわけ無い。
　そりゃー、木の根につまずき転けるじゃん。

　足を捻挫するじゃん。
　ダガーを手放すじゃん。
　ツノウサギに攻撃されるじゃん。
　避けようとするじゃん。
　山から転げ落ちるじゃん。
　両足ともやっちゃうじゃん⋯⋯⋯

　ハイ！動けない！

　念のため持ってきていた薬草を飲みながら、何度も何度も【ヒール】と念じ続けた。まだ諦めちゃいない！俺はこの世界では異端児だ！俺は他とは違う！！
　何度も繰り返し念じ続けてたら、飽きた。

　だから過去を思い出すことにした。やること無いし⋯⋯
　そんなことをしてたら、思い出せなかった言葉が思い出したよ。


【フラグ】だ⋯⋯
　スッキリはしたけど、イラっとしてる。