俺TUEEE出来るって常識だよね？

第一章

裏山での薬草の使い方

　動かなければ痛みは我慢できるレベルだ。俺も成長したなと、感じている。しかし、どうしたものか⋯⋯このまま帰ったら何をされるか分かったもんじゃない。おばさんは間違いなくヤバい人だ。となれば、どうにかしてでも依頼を達成しなければならない！

　とは言え、薬草がポンコツだからなかなか治らないし、もう一時間以上もこのままだ。暇潰しに想像ゲームで遊んでるだけしかできない。運が良いことにあれからツノウサギには出会ってない。

　これは【ラックスキル】解放だ！
　おいおい。アンラッキーからラックスキル解放とは粋なことをすではないか。異世界君。
　前の世界ではそー言うの何ていうか知ってるかい？
　《　ツ　ン　デ　レ　》
　って言うんだぜ。まったく、ホントにまったくだぜ。


『うわっ。キモッ』
　気が付くと目の前に女の子が立っていた―――


「は？」
「あ、ごめんなさい。ニヤニヤしている姿があまりにも気持ち悪くて⋯⋯悪気は無かったんです。ごめんなさい」

　え？なに？この世界でもレッテル貼られたままなの？ふざけてるでしょ。

「いや、自他共に見とれる気持ち悪い奴だから気にしないで」

　俺は誤魔化すためにも最高の笑顔で答えたが、女の子はさらに顔がひきつり始める。

「えっ？  あ、はぁ」

　頼む俺を殺してくれ。

「いえ、ナンデモアリマセン。
　両足の激痛で動けず、頭がどうかしてました」

「そ、そーだったんですね。てっきり気持ち悪い人だから人目に付かないように、裏山に籠ってと思っちゃいましたよ」

　もう大丈夫だ。今なら素直に殺されてやるよ。

「⋯⋯ははは、そんなわけ無いよ」

「で、ですよねー」

「ちなみにさ。山頂まで行きたいんだけど、結構距離ある？  転げ落ちたから自分がどの辺りにいるかわからなくて」

「えーと、中腹あたりですね。ってか山頂まで行くなら足を治してからじゃないと厳しいかと」

　そりゃそうだよな。この子が僧侶とかで【キュア】とか持ってないかな。

「薬草はあったから飲んだんだけど、なかなか治らないんだよね。不味いわりにさ」

「えっ？  なんで飲むんですか？  薬草は塗るものですよ！」


　おい、ビックリした顔してんじゃねーよ！俺の方がビックリした顔してーよ！！