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第一章
出発の朝
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昨晩のうちに荷物はまとめ。今日は挨拶を済ませるだけだ。長年使っていた部屋にも今日でお別れかと思うと何となく悲しくなった。
カウンターへ行き、ベックさん夫婦に旅立ちを伝える
「ボロボロの状態で、無一文の俺を助けていただき、そして今日までお世話になりありがとうございました。今まで本当にありがとうございました。急な話しではありますが、ディグナルトに向かいます。どうしても俺はそこへいかなければなりません」
深々と頭を下げる。
「⋯⋯そうか。いっちまうか」
「なんでだい? なんで急にそんな遠いところにいっちまうんだい?」
ベックさんは納得したのか静かに頷くが、奥さんはビックリした顔をしている。
昨日、散々悩んだ。今まではのらりくらり誤魔化していたが、やはり二人にはちゃんと説明するべきだと思った。
「今まで黙っていてすみませんでした。実は、俺はこの世界の住人では無いんです。此処とは別の世界から来ました。あの日、目が覚めたらこの世界にスウェットのみでした。何故かは今でも分かりません⋯⋯俺は、元の世界に戻りたいのです。その為に、可能性があるディグナルトタワーの頂上を目指します。そこに行けば戻れる保証はありませんが、行かなければなりません」
二人はしばらく黙っていたが、奥さんが話し始めた。
「私にはよく分からないけど、なんで今まで隠していたんだい?」
「黙っていた方が良いことなのかなと思いましたが、二人には真実を伝えるべきだと考えました。それにきっと喋れば信じてもらえず、変に思われるでしょうし⋯⋯」
「がっはは、そりゃそうだ! お前は頭の悪い奴で通ってるからな。たしかに違う世界から来たと聞きゃー、あの変な行動も納得出来る」
うん。ゴメンナサイ。それは俺個人が変なだけであって地球人が変なわけではないです。
「まー、難しいことは俺にもわからんが、決意したなら行ってこい! もし、その世界に戻れなきゃまた宿屋に帰ってこい。金がなくてもな」
「はい! ありがとうございます。では、行ってきます!」
ベックさんは、顔に似合わず涙を流しながら最後に一言だけ
「おう! んじゃ、さよならだ」
俺も涙で顔は歪んでいたが、頑張って笑顔を作り
「⋯⋯⋯はい。さ、さよなら」
宿屋を出て、宿屋に深々と頭を下げ心の中で
『ありがとうございました。』と言い宿屋を後にする。
その後は、ギルドに行き旅立ちの報告をする。
急にいなくなると、突然死の可能性があり、付近に捜索依頼が発動してしまうためだ。
ギルドの報告を終え、出口に向かうとユキと遭遇した。
「おはようございます。今日は何のクエス⋯⋯。え、あ⋯⋯い、行くんですか?」
「あぁ、行く。今までありがとう。」
「な、なら。私も行くしかないですね! 準備があるので、一時間後に門のところで待ち合わせです。」
「は? いや、行かなくて大丈夫だよ、そんなクエスト無いし。多分ここにもう戻ってこないし。」
――――バチン!!
なんでビンタなの?
「い い で す か ? 一時間後に門のところです!では」
そう言うと、カウンターへと向かって行った。
周りからは笑い声が聞こえる。いや、笑えねーよ。
すると、ギアは笑いながら話しかけてきた。
「お前は相変わらずだな。いっつもビンタ食らいやがって」
「そう思うなら止めてくださいよ。ギアさんならユキくらい簡単に止められるでしょ?」
「ははっ。止めちゃなんねーこともあるんだよ。んなことより、どこに行くんだ?」
「ディグナルトタワーに向かいます」
さっきまで笑っていたギアさんが、真顔になる。
「なんでだ?」
「な、なんでも最上階には夢が広がってるらしいじゃないですか?な、なら冒険者として行くしかないですね」
誤魔化せたかな。
「⋯⋯そうか。なら選別だ。コレをお前にやるきっと役にたつだろう」
「ありがとうございます」
そう言うと、小さな金のコインをくれた。
向こうは通貨が違うのかな?
去り際にギアさんが一言だけ
「いいか、上位冒険者にも会うだろうが、|相手を観察して喋れよ」
ん?観察して?見てじゃないのか?酔っぱらってるからいつもの事か。
ギルドを後にし、アイテム屋でテントなど必要な物を購入し、門へと向かう
カウンターへ行き、ベックさん夫婦に旅立ちを伝える
「ボロボロの状態で、無一文の俺を助けていただき、そして今日までお世話になりありがとうございました。今まで本当にありがとうございました。急な話しではありますが、ディグナルトに向かいます。どうしても俺はそこへいかなければなりません」
深々と頭を下げる。
「⋯⋯そうか。いっちまうか」
「なんでだい? なんで急にそんな遠いところにいっちまうんだい?」
ベックさんは納得したのか静かに頷くが、奥さんはビックリした顔をしている。
昨日、散々悩んだ。今まではのらりくらり誤魔化していたが、やはり二人にはちゃんと説明するべきだと思った。
「今まで黙っていてすみませんでした。実は、俺はこの世界の住人では無いんです。此処とは別の世界から来ました。あの日、目が覚めたらこの世界にスウェットのみでした。何故かは今でも分かりません⋯⋯俺は、元の世界に戻りたいのです。その為に、可能性があるディグナルトタワーの頂上を目指します。そこに行けば戻れる保証はありませんが、行かなければなりません」
二人はしばらく黙っていたが、奥さんが話し始めた。
「私にはよく分からないけど、なんで今まで隠していたんだい?」
「黙っていた方が良いことなのかなと思いましたが、二人には真実を伝えるべきだと考えました。それにきっと喋れば信じてもらえず、変に思われるでしょうし⋯⋯」
「がっはは、そりゃそうだ! お前は頭の悪い奴で通ってるからな。たしかに違う世界から来たと聞きゃー、あの変な行動も納得出来る」
うん。ゴメンナサイ。それは俺個人が変なだけであって地球人が変なわけではないです。
「まー、難しいことは俺にもわからんが、決意したなら行ってこい! もし、その世界に戻れなきゃまた宿屋に帰ってこい。金がなくてもな」
「はい! ありがとうございます。では、行ってきます!」
ベックさんは、顔に似合わず涙を流しながら最後に一言だけ
「おう! んじゃ、さよならだ」
俺も涙で顔は歪んでいたが、頑張って笑顔を作り
「⋯⋯⋯はい。さ、さよなら」
宿屋を出て、宿屋に深々と頭を下げ心の中で
『ありがとうございました。』と言い宿屋を後にする。
その後は、ギルドに行き旅立ちの報告をする。
急にいなくなると、突然死の可能性があり、付近に捜索依頼が発動してしまうためだ。
ギルドの報告を終え、出口に向かうとユキと遭遇した。
「おはようございます。今日は何のクエス⋯⋯。え、あ⋯⋯い、行くんですか?」
「あぁ、行く。今までありがとう。」
「な、なら。私も行くしかないですね! 準備があるので、一時間後に門のところで待ち合わせです。」
「は? いや、行かなくて大丈夫だよ、そんなクエスト無いし。多分ここにもう戻ってこないし。」
――――バチン!!
なんでビンタなの?
「い い で す か ? 一時間後に門のところです!では」
そう言うと、カウンターへと向かって行った。
周りからは笑い声が聞こえる。いや、笑えねーよ。
すると、ギアは笑いながら話しかけてきた。
「お前は相変わらずだな。いっつもビンタ食らいやがって」
「そう思うなら止めてくださいよ。ギアさんならユキくらい簡単に止められるでしょ?」
「ははっ。止めちゃなんねーこともあるんだよ。んなことより、どこに行くんだ?」
「ディグナルトタワーに向かいます」
さっきまで笑っていたギアさんが、真顔になる。
「なんでだ?」
「な、なんでも最上階には夢が広がってるらしいじゃないですか?な、なら冒険者として行くしかないですね」
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「⋯⋯そうか。なら選別だ。コレをお前にやるきっと役にたつだろう」
「ありがとうございます」
そう言うと、小さな金のコインをくれた。
向こうは通貨が違うのかな?
去り際にギアさんが一言だけ
「いいか、上位冒険者にも会うだろうが、|相手を観察して喋れよ」
ん?観察して?見てじゃないのか?酔っぱらってるからいつもの事か。
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