俺TUEEE出来るって常識だよね？

第一章

新たなる門出

　何はともあれ無事に帰宅することが出来たのは良かった。何度死にかければ気がすむのだろうか。
　ユキは夕食をご馳走することで機嫌を直してくれた。

「ヒデさんって無能なのか、無茶苦茶なのか」

「ちょっと試したくもなるじゃんか。まー、今後は行動に移す前に確認するよ」

「本当にそうしてくださいね。まったく今後が心配ですよ。どーしていくんですか？」

　⋯⋯
　。
　ん。今後？そうだ、自分強化するので手一杯で忘れてた！元の世界に戻る方法を探すんだった。思わず身を乗り出して、ユキに聞く。

「な、なあ！  この世界に、こうなんというか。願いが叶う場所というか。伝説の場所というか。幻の場所というか。そういう場所聞いたことないか！？」

「え。なんですか急に？  確かにそういわれてる場所はありますけど」

「どこだ？」

「ディグナルトですよ」

「⋯⋯ディグナルト？」

「ここからでも見えるじゃないですか。遠くの方にでっかい塔が立っている場所。あの麓にある町がディグナルトです」

　あー、確かに遠くの方に塔があったな。この世界にもでっかい建物があるんだな。くらいしか思ってなかったわ。

「んで、ディグナルトは何故そう呼ばれるんだ？」

「あのでっかい塔がそう言われてるんですよ。なんでも最上階までたどり着くと、《最強の称号が手に入る》《とんでもないスキルが身に付く》《億万長者になれる》とか、それが生じて《願いが叶う》なんて言われてます。まだ、誰も達成してないそうで、真実は分かりません。というか、誰が何のために建てたかも色々と迷信ありますし」


　間違いない。そこだ！んな不思議なもんは、それ以外に考えられない。

「すまんが、その塔の事を知ってる範囲で教えてくれ」

「いいですけど。まず塔は《ディグナルトタワー》と呼ばれてます。最上階は噂では100階。最高でも70階位までしか到達してないそうです。階が上がる毎にモンスターレベルが上がるそうです。私も行ったこと無いのでそれくらいしか⋯⋯ヒデさんってそういうの好きだったんですね」

　その後、宿屋に到達すると準備を始める。話しによると歩いて3か月ほどかかるとのことだ。それでも行くしかない。

　明日には出発しよう。