俺TUEEE出来るって常識だよね？

第一章

ポーション

　困った⋯⋯どうしよう。キュアを唱えても回復しない。そりゃそうか。

　真面目な話し、ここからナカイトまで戻る方法が思い付かない。インナーを破り、額の傷をカバーしているもののダメージが大きく、スキルを使っても短時間しか効果はないだろう。森を抜ける前にスキル解除が起きてしまいモンスターに見つかる。詰んだ。

　とりあえず今は無駄な体力を消費しないたい為にも寝よう。寝て起きたらきっとどうにかなってるはず！こんなときは現実逃避だ。オヤスミナサイZzz⋯⋯

　＊＊＊

「いってー！！」


　急にほっぺたに激痛が走り目を覚ます。目の前にはユキが仁王立ちのポーズをとっている。

「いってーじゃないですよ。バカなんですか？  待ってても来ないし。ポーション買うと言ってたから、もしかしたらと思ったらコレですよ⋯⋯」

「え？え？なんで此処にいるの？ってかなんで此処がわかったの？」

「⋯⋯。スキルですよ。詳しくは秘密ですけど。ってか、なんで怪我してるんですか？  ポーション買ったんですよね？」

　よし！ここだ。ここが言い訳出来るタイミングだ。俺は悪くない！ユキにも責任はある。

「ポーションは買ったよ！  2つも！  でもいくらかけても効きゃーしない。不良品か？それとも相性でもあるのか？」

「⋯⋯。なんでかけるんですか？ポーションって言ったら飲むでしょ。どんなだけバカなんですか？」

　⋯。
　⋯⋯。

　しらねーよ！！薬草は塗るけど、ポーションは飲むとか。しらねーよ！！初見殺しにもほどがあるだろう⋯⋯？

　それからもユキに罵倒されたが、ポーションを貰い一口飲むと、一瞬にして全回復する。なにコレ凄くない？
　2人ならサンダーベアの群れに遭遇しても倒せるが、自重して【隠密】スキルを発動させ、1度と戦うことなく町まで戻ってきた。

「ここから更に10時間も歩きゃなきゃならんのか。キツイな」

「誰のせいですか？  普通に待ち合わせしてたら、こんなに疲れる事は無かったんですよ！」

　メッチャ怒ってる。何度も謝っても機嫌は戻らない。そりゃそうか。

　逆の立場なら俺でもそうなるだろうな。⋯⋯スミマセン。