俺TUEEE出来るって常識だよね？

第二章

馬車

　次の日には機嫌は治っていて、必要な物を二人で話し合いながら購入した。武器は初期から持っているロングソード以下しかなかった為、保留。
　昨日使いきったポーションや、保存食といった必需品のみを購入しラゴーデンスを後にする。

「ずーと気になってはいたんだどさ、家畜がいるなら乗ることのできる動物とかいないの？」
「馬や馬車なんかもありますよ。流石に空を飛べたり、海を渡ることの出来る動物はいませんが」
　スカイドラゴンとかいないのね、ちょっと期待してたのに。でも馬がいるならそっちの方が全然早いじゃん。

「ならなんで馬を使わないの？  馬の方が早いじゃん！」
「は～⋯⋯見たことありますか？  馬を！」
「いや無いからいないのかな～って思ったんだよ」
「馬は高価なんですよ、馬車はもっとします。乗るだけでも高いんですよ。そんな高額払ってまでサクラビや、ラゴーデンスなんかに行く価値ありますか？」
　自分の故郷を《なんか》扱いするのか⋯⋯

「まー、そうかもな。でもラゴーデンスは石橋綺麗だったし観光とかあるんじゃない？」
「ヒデさんの頭はお花畑にでもなってるんですか？  馬車だけでも高額なのに、途中で襲われる事を考えれば護衛代もかかる。そこまで支払って石橋を見に行くって⋯⋯」
　いや、観光をそこまで言わなくても⋯⋯
　なんか最近機嫌が悪いな。なにかあったのかね。
　多分、なにかは俺だろうけど。


　基本的に冒険者は自分強化の為にお金を使うのだとか。武器や防具、アイテム、活力を出すために良いものを食べる。ギアさんみたいに酒だけにお金をかけてるのは希だそうだ。

　普通に暮らしている人は、そんなに余裕は無いそうだ。裕福なのは貴族らしい。貴族ってやっぱいるんだ。「ノブレス・オブリージュ」とか言うのかね、言うわけ無いか。

　＊＊＊

　あれから更に一ヶ月以上歩き、色々な事をユキに聞きながらの三ヶ月の道のりも終わりを迎え、やっとディグナルトへと辿り着く――――

　町がどうこうより、まず塔がでかい！  少しずつ大きさを実感出来てはいたが間近で見ると壁だ。頂上は見えないし。搭は円柱になっているとのことだが、一階は直径で5kmほどあるらしい。
　これ、到達者がいないのも納得だわ。


　あーヤダヤダ。これ途中で死ぬ可能性大だぞ⋯⋯