上 下
51 / 96
第二章

ネタバラシ

しおりを挟む
「マジですか?」

 少しは落ち着いた風ではあるけど、目を見開いたままだ。

「マジだね」

「だからかー! いやー、そう言われれば納得できる部分も多々出てきますよ」

 何を納得しているんだろう。人の肩をバシバシ叩きやがるのはよしてください。

「タフなのも、無知なのも、気持ち悪いのも、あ~あと、恋愛しないのも。そうですか、そうですか。先に言ってくれれば良かったのに」

 この世界の住人は勘違いしやすいの?
 気持ち悪いのは、俺だからだよ。ちくしょー!



 そんなわけで、来たときからの説明を一通り済ませると、ユキは全てを納得したようだ。
 こいつよく疑いもしないな。

「で、ですよ。最近おかしかったのは何故ですか?」

「切り替えはえーなお前⋯⋯なんか、この世界に俺以外にも元の世界から来た奴がいるっぽくて、コンタクトを取ってくるんだけど、遠回りに聞いてくるんだよ」

「え? そんなの当たり前じゃないですか?」

 今度はキョトンとした顔をしてるが、何故だ?

「なんで当たり前なんだよ?」

「だって、『あなたは異世界から来ましたか』とか聞いてたら、頭ヤバイやつじゃないですか?」

 たしかに! なにこの子頭よすぎるじゃん!

「いや、そんなビックリした顔されても⋯⋯」

 たしかにそんな頭の悪い事は言えないよな。
 でも、それにしてもなんで元の世界を探すんだ?裏は無いのか?ただ仲間を集めたいだけなのか?

「裏があったら困るじゃん?」

「なら、誰か信用できる人を探してから聞くのが良いんじゃないですか?」

「いることにはいるんだけどさ。サクラビにさ」

 やはりサクラビに行くのが正解なのか。

「なら行ったら良いじゃないですか?」

「お前を置いては行けないだろ」

 すでに俺との行動はある程度知られているはず、狙われないとは限らない。

「あらあらあら。まったく。ヒデさんったら」

 ニヤニヤしながらバシバシ叩くなよ。うぜーな。


 しばらくニヤニヤしながらバシバシ叩かれたが、いつまでもここにいるわけにはいかないし、本題にうつらないとな。


「一人でスキル使っても往復で1ヶ月位はかかると思うし」

「なら私も行きますよ」

「いや、無理だろ」

「私もスキル覚えたじゃないですか」

 ⋯⋯。
 ⋯⋯⋯⋯。

 そーいや、そうだった。
 ビンタの為にスキル覚えてたわ。
しおりを挟む

処理中です...