俺TUEEE出来るって常識だよね？

第二章

顔じゃない

　あれから半年がたったが、ほぼ毎日ユキと二人で塔を攻略する日々に追われていた。
　多少⋯⋯そこそこのピンチもあったが今は43階まで辿り着いている。

　20階ボスとの戦闘で学んだことは、事前に調べて対策を取るというごくごく当たり前の事だった。お陰で、30階40階と突破することが出来た。

　また、俺は立ち振舞いに意識をしたと言うか、ほぼ塔にいたためか、俺に近づいてくる冒険者はいなかった。

　定期的にユキが太陽の光を求めるので、塔の攻略をせず二人でのんびりと日光浴をするほどの、余裕をもって攻略する事が出来たため、ストレスはそれほど溜まってはいない。

　ただ、最初に太陽を求められた時に
「太陽が必要とか、お前は砂漠にいるスタンド使いかよ？」
　と、渾身のツッコミを入れたがスルーされたことにはストレスが溜まった。

　知らないにしてもせめて何か言えよ⋯⋯


　30階を越えた当たりから塔の中では、時々他の冒険者を目撃する事があった。
　トラップで大量のモンスターに追われている冒険者を助けたり。
　回復アイテムをパーティーに売ったり。
　逆に買ったり。

　冒険者同士のトラブルと言うものは一切無く、冒険者とは誇り高き職業なんだと実感した。

　ただ、たま～に。ユキを見た冒険者が、『あの冒険者可愛くない？』とかの小声が聞こえてくるときがあったが、冒険者が見えなくなると俺の横腹を肘で攻撃しながら
「ほれほれ。ほれほれ」言うので
　非常にストレスが溜まった。

　逆に、綺麗な冒険者を見つけた時に「綺麗な冒険者もいるんだな」と言っただけで、

「あのですね。依頼者にも会うので、冒険者は多少なりとも身なりを気にしなくてはなりません。それはあります。しかしですね。容姿とは持って生まれた才能や育った環境にもよると思います。つまりですね。服装はある程度気をつけなければなりませんが、顔については重要度は低いのです。

　わ　か　り　ま　す　か　？

　顔が良くてもこの塔では効果はありません。別にヒデさんの好みにはこれっぽっちも興味はありませんが、冒険者ならば人を顔で判断せず、振る舞いや行い。そして強さで判断するべきです。全くよそ見をしてる間にモンスターに襲われたらどうするんですか？気が抜けてるんじゃないですか？
　反省してください」

　と、一目見て、一言言っただけで、スゲー怒られた。

　理不尽！

　まぁ、そんなこんなで再起不能になることもなく今日も頑張って塔へと向かっている。