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第三章
アンザさんの部屋は
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一言で言うなら、《花園》この一言に限る。
普通の宿屋だ。
それは間違いないのだが、でも《花園》なんだ!
良い匂いするしさ。
「さっきは、すまなかったね。ビックリしすぎてしまって取り乱してしまった」
「いえ、こちらこそすみませんでした」
どう考えても俺が悪い。ユキも無言で睨んでいるし。
「ギアさんから俺のスキルは聞いているよね? きみは異世界人なんだね」
「握手の件ですよね? 聞いてます。そうです異世界人です」
うん。と静かに頷かれた。
「やはりか。先に言っておいた方が良いと思うけど、俺とアンザはマイコさんに言われてこのキャラを作っている」
高さんはニコッと笑ったが、全然笑えない⋯⋯
アンザさんもニコッと笑ったが、全然笑えない。
オタクなマイコの事だ。何となく理由はわかる。
しかし、何か特別な理由の可能性も否定は出来ないかな。
「なんでキャラを作っているか、聞いて良いですか?」
「すまない⋯⋯詳しくは、俺達もわからない。」
あぁ⋯⋯俺の中で特別な可能性が薄れていく。
「何も聞いて無いんですか?」
「『そう言うものだ』、『必要な物だ』と常に言われていたよ。だからきっと理由があるけど、説明出来ない何かがあるのでは?と考えていた」
特別な理由?
⋯⋯はっ、残念。ねーよ。
「ギアさんにも伝えてますが、マイコはおバカさん何ですよ。だから何となく理由はわかります」
やはりこの二人も空気を変えた⋯⋯
どんだけ慕われていたんだマイコは?
ってか、そこまで慕っている人達に何をしてるんだ。
「ギアさんも同じように不機嫌になりましたが、納得していました。ちゃんと説明する義務が俺にはあると思うので聞いて貰って良いですか?」
一瞬驚いていたが、それでもこの重い空気はそのままだ。
「あぁ、ギアさんが納得出来るだけの理由があるんだね。なら、聞こう」
「ありがとうございます。まずマイコさんが喋っていた元の世界の内容はほぼ嘘です。こちらの世界で言う紙芝居のような物での設定と言えばわかりますか? ギアさんが言っていた格好いいセリフもほぼ、その紙芝居のような物でのセリフのパクりです」
⋯⋯
⋯⋯⋯⋯
「⋯⋯マンガや、アニメと言うやつかな?」
「それはタカさんには、言ってたんですね。そうです。俺も大好きで毎日のように見ていました。マイコとは時代が違ってましたが、言ったやつのほとんどは過去の人気作品だったので、わかりました」
「私から一ついいかしら?」
今まで、無言で聞いていたアンザさんが始めて口を開く。カタコトで話していた時と比べ物にならないほど、セクシーな声音だ。
「はい。何でしょうか?」
アンザさんは真剣な顔で、そして静かに喋る。
「あなたは死なない。私が守るもの」
「うわ~。マイコもそっち派か~。」
アンザさんは静かに睨むので説明しないとな。
「人気作品の人気キャラのセリフなんですよ⋯⋯他にも、『こんなとき、どんな顔をしたらわからない。』『絆だから』とか、違うキャラだと『あんたばかぁ?』、『大人はさ、ズルイくらいがちょうど良いのさ』とかですかね」
セリフを言うたびに二人の顔が変わっていく。
「最後のはギアさんに言われたことがあるわ。なんでもマイコさんが教えた大人の魅力ある言葉使いだとかで⋯⋯」
これほぼ確定だな⋯⋯
「多分ですけど、残念な事にその二人のキャラ設定の理由は、マイコの好みだったというだけで、他に理由はないと思います。ちゃらんぽらんだけど、ダンディーな男、COOLでもあり、爽やかイケメン、友好的なセクシー美人。声質で考えてもそうでしょうし⋯⋯すみません。同郷がバカで⋯⋯」
そうだね!
そういう顔になるよね!
「ちなみに、ギアさんは『あの人の事だからふざけてる可能性もあるから、それも考えなきゃならなかった』って言ってましたね」
「そうだね。たしかに⋯⋯」
それからも元の世界の話しや、マイコについて話しをし、無事に二人とも俺の事を信じてくれた。
「きみが嘘つきだったらぶっ飛ばすだけで済んだのに⋯⋯」とアンザさんがボソッと言ったのを聞き逃さなかった。
唯一マイコに感謝する事があるとすれば、アンザさんがキャラ設定してくれた事だろう。
私TUEEEやって、パーティーを好きにイジって、急に姿を消すとか。やりたい放題も良いところだな⋯⋯
マジで、あったらぶん殴ってやろう。
普通の宿屋だ。
それは間違いないのだが、でも《花園》なんだ!
良い匂いするしさ。
「さっきは、すまなかったね。ビックリしすぎてしまって取り乱してしまった」
「いえ、こちらこそすみませんでした」
どう考えても俺が悪い。ユキも無言で睨んでいるし。
「ギアさんから俺のスキルは聞いているよね? きみは異世界人なんだね」
「握手の件ですよね? 聞いてます。そうです異世界人です」
うん。と静かに頷かれた。
「やはりか。先に言っておいた方が良いと思うけど、俺とアンザはマイコさんに言われてこのキャラを作っている」
高さんはニコッと笑ったが、全然笑えない⋯⋯
アンザさんもニコッと笑ったが、全然笑えない。
オタクなマイコの事だ。何となく理由はわかる。
しかし、何か特別な理由の可能性も否定は出来ないかな。
「なんでキャラを作っているか、聞いて良いですか?」
「すまない⋯⋯詳しくは、俺達もわからない。」
あぁ⋯⋯俺の中で特別な可能性が薄れていく。
「何も聞いて無いんですか?」
「『そう言うものだ』、『必要な物だ』と常に言われていたよ。だからきっと理由があるけど、説明出来ない何かがあるのでは?と考えていた」
特別な理由?
⋯⋯はっ、残念。ねーよ。
「ギアさんにも伝えてますが、マイコはおバカさん何ですよ。だから何となく理由はわかります」
やはりこの二人も空気を変えた⋯⋯
どんだけ慕われていたんだマイコは?
ってか、そこまで慕っている人達に何をしてるんだ。
「ギアさんも同じように不機嫌になりましたが、納得していました。ちゃんと説明する義務が俺にはあると思うので聞いて貰って良いですか?」
一瞬驚いていたが、それでもこの重い空気はそのままだ。
「あぁ、ギアさんが納得出来るだけの理由があるんだね。なら、聞こう」
「ありがとうございます。まずマイコさんが喋っていた元の世界の内容はほぼ嘘です。こちらの世界で言う紙芝居のような物での設定と言えばわかりますか? ギアさんが言っていた格好いいセリフもほぼ、その紙芝居のような物でのセリフのパクりです」
⋯⋯
⋯⋯⋯⋯
「⋯⋯マンガや、アニメと言うやつかな?」
「それはタカさんには、言ってたんですね。そうです。俺も大好きで毎日のように見ていました。マイコとは時代が違ってましたが、言ったやつのほとんどは過去の人気作品だったので、わかりました」
「私から一ついいかしら?」
今まで、無言で聞いていたアンザさんが始めて口を開く。カタコトで話していた時と比べ物にならないほど、セクシーな声音だ。
「はい。何でしょうか?」
アンザさんは真剣な顔で、そして静かに喋る。
「あなたは死なない。私が守るもの」
「うわ~。マイコもそっち派か~。」
アンザさんは静かに睨むので説明しないとな。
「人気作品の人気キャラのセリフなんですよ⋯⋯他にも、『こんなとき、どんな顔をしたらわからない。』『絆だから』とか、違うキャラだと『あんたばかぁ?』、『大人はさ、ズルイくらいがちょうど良いのさ』とかですかね」
セリフを言うたびに二人の顔が変わっていく。
「最後のはギアさんに言われたことがあるわ。なんでもマイコさんが教えた大人の魅力ある言葉使いだとかで⋯⋯」
これほぼ確定だな⋯⋯
「多分ですけど、残念な事にその二人のキャラ設定の理由は、マイコの好みだったというだけで、他に理由はないと思います。ちゃらんぽらんだけど、ダンディーな男、COOLでもあり、爽やかイケメン、友好的なセクシー美人。声質で考えてもそうでしょうし⋯⋯すみません。同郷がバカで⋯⋯」
そうだね!
そういう顔になるよね!
「ちなみに、ギアさんは『あの人の事だからふざけてる可能性もあるから、それも考えなきゃならなかった』って言ってましたね」
「そうだね。たしかに⋯⋯」
それからも元の世界の話しや、マイコについて話しをし、無事に二人とも俺の事を信じてくれた。
「きみが嘘つきだったらぶっ飛ばすだけで済んだのに⋯⋯」とアンザさんがボソッと言ったのを聞き逃さなかった。
唯一マイコに感謝する事があるとすれば、アンザさんがキャラ設定してくれた事だろう。
私TUEEEやって、パーティーを好きにイジって、急に姿を消すとか。やりたい放題も良いところだな⋯⋯
マジで、あったらぶん殴ってやろう。
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