俺TUEEE出来るって常識だよね?

チガーイ

文字の大きさ
66 / 96
第三章

ずっと居たい場所だけど

しおりを挟む
 一通りの話しは終えた。
 そろそろ真面目に話さないと、横の奴から怒られるな。

「はっきり言って塔の最上階到達っていうのは、現実味はありますか?」

「『四人だったときなら可能だよ』と言えたが、二人では難しいと思っているよ⋯⋯」

 横にいるアンザさんも同意見らしく頷いている。

「ならばパーティーを組めば⋯⋯」
「それはできない!」

 食いぎみで大きく拒絶された。
 そこまで、マイコへの思いがあるのか? ギアさんもそうだったし。

 しばらく無言の時間があったが、その空気に耐えられなかったのか、神妙な面持ちでタカさんが口を開く。

「大きな声を出してすまなかったね。俺もアンザもコミュ障なんだ⋯⋯」

 ⋯⋯
 ⋯⋯⋯⋯

 はっ?

「キャラを作ってくれたから、外面はなんとかいけているけど長時間は無理だよ。特に上位ランカーになった今では、頼られる場面もあるとなると無理だね。マイコさんの話しを聞くためだから今は話せているが、戦闘とか絶対に無理」

「私も子供の頃からマイコさんやギアさんとパーティーを組んでいたのよ。あのときは慣れがあったけれど⋯⋯今は無理よね⋯⋯」

 残念な人達だ。


「じゃー、なんで可能性が低いと分かっているのに最上階を目指しているんですか?」

「可能性はある! って言うのは勿論あるよ。でもそれ以上に、マイコさんの手懸かりがあるんじゃないのかな? って方が強いね」

「私達は塔から情報を集める。ギアさんは地方を回る。役割ね」

 なんでそこまで最上階を目指す以上にマイコが優先なんだろう。あんなふざけた人なのに⋯⋯

「理由は2つだね。一つ目は、最上階到達。四人なら制覇出来るはずなんだよ。
 そして二つ目は、マイコさんが消えたのには、何か絶対に理由があるはずと思っているから」

「理由ですか?」


「急にこの世界に来たのなら、急に元の世界に戻ることだって全然あるとは思うよ。でもそれ以上に、来たなら来たなりの理由があって、それをクリアしなければ戻れない可能性の方が高いと僕達は考えているんだ」

「ねぇ? あなたもそう思ってるから塔制覇を目指してるんでしょ?」

 たしかに、その通りだ。急に来て、何もしないで戻れるって可能性は低い⋯⋯

「可能性って意味では、マイコさんが死んでいるって事も考えたさ。でもね、あの人が死ぬとは考えられない。秘宝リバースソウルも持っていたし」

「え!? 本当に秘宝って存在するんですか!!」

 今まで黙っていたユキが急に喋るからビックリだ。
 なんだよ、秘宝って。


「あるよ。とは言っても多くはないだろうね⋯⋯リバースソウルだってマイコさんが見つけた一つしか見たことないし」


 話し進めないでくれよ⋯⋯置いてきぼりだぞ。


「あ~、ヒデさんは知らなかったんですね。秘宝といって通常のアイテムでは考えられないような効果があるんですよ。リバースソウルって言うのは持ち主が死んでも一度だけ完全復活が出来ると言われてます」

「はんぱねーな!」

 RPGお約束アイテムまであるのか夢が広がる世界じゃないか。でも、それなら死んではいないな。

「ってなると、戻れる方法が見つかって戻ったか。塔か、町かでバレないように何かしているか⋯⋯」

 タカさんとアンザさんは頷く。
 同じように考えているようだ。

「そう思うよね? 戻れる方法が見つかったのであれば、マイコさんの事だ。キミのような人のためにも方法を後世に残したり、挨拶くらいはすると思うんだよね」

「でもそれは無かったのよ。いなくなる当日も、明日の塔攻略の話しをいていたしね」


 マジであの人は何をしてるんだろう⋯⋯
 それがわかれば、俺が帰れる方法を知るチャンスにもなると思う。

 分からないことを此処で話しをしていても進まないと思うし、何かあれば連絡すると約束し部屋を出た。

 勿論、最後に大きく深呼吸して花園を堪能するのを忘れない。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

処理中です...