俺TUEEE出来るって常識だよね?

チガーイ

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第四章

いちからリスタート

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「なぁ、ひとつ提案なんだけどさ、ペースを落としてレベルアップを目指さないか?」

 今は、63階のモンスターが来ない場所で一休憩を取りながら提案してみる。

「なんでですか?」

「いや、ある程度の安全マージンを取りながら進んでるのはわかってるんだけど、何があるかわらないじゃんか?」

 スキルに頼って突っ込んでるのもあるけど、日に日に被ダメが増えていっている。
 主に俺が⋯⋯

「そうかもしれませんが、十分な安全マージンはありますし。バカみたいに突っ込まなければ大丈夫だと思いますが⋯⋯」

 正論だな。でも、その方がカッコイイじゃん。
 後方でチマチマ攻撃するのは好きじゃないんだよね。
 しかし、毎日痛い思いするのも疲れたからな。

「いやね、あれだよ。そう! 塔を制覇したらこの世界ともお別れじゃん。そんなに急がなくてもね~。もっとこの世界を堪能しないしさ!」

 自分で言ってなんだが、論点がずれてるな。

「あぁ! そうですよね! 堪能は大切ですよね! わかりました。是非ともゆっくり進みましょう!」

 なんだかよくわからないけど、納得してくれた。
 時々思うけど、ユキってずれてる時があるんだよな。

「こうしましょう! 記念に一階から再度登り直しましょう! 見えなかったものが見えるかも知れませんし!」

「いや、そこまではしなくても⋯⋯」

「いいえ! 初心に帰る事は重要です! ほら、行きますよ!」

 と、やっぱりづれているのか、なぜか一階からやり直しになった。



 縛りプレー最高! とはならず、通常プレーで1階から63階までまた昇る。各階層ボスも倒し直しになり苦労するかと思ったが、もう一度やり直したかいあってスムーズに進んだ。

 いや、俺TUEEEプレーを十分に堪能出来た。
 横にいるユキがいなければ更に思えたほどだ。

 なんかユキがめっちゃ強くなってるとしか思えない。
 時々、他の冒険者に会うことも多く、フォローに入る場面も多かったが、「あの人ヤバくね!」「あの人カッコイイ!」とかの言葉はユキに発せられていた。

 うん。俺も頑張っていたと思うよ。
 でもね、あいつの動きが、めっちゃくちゃ早い!
 しかも正格とくれば、称賛を浴びるわな。


 ユキの提案で、毎日は塔に昇ることを止め、定期的に街に繰り出し、ご飯を食べたり、プラプラと散歩をしたりして、過ごす時間が長くなった。

 きっとそれもあったんだろうな。
 心に余裕が生まれ、被ダメを受けることはほぼ無くなり、連携もスムーズになった。

 まぁ、一度クリアした階層っていうのもあるだろうけどさ。




 1階層から再度登り初めて1年が経ち、また50階層まで登ってきたが、二人してスキルが3つ増えた。

 一年ぶりの水着だったが、ユキは新しい水着を着ていた。
 いや、金は別々だからいいんだけどさ。勿体なくない?

「なんで水着また買ったの?」

「えっ? 気づきました?」

 そりゃ気づくだろう。スクール水着みたなダッサイ水着だったやつが、上下わかれているやつに変わってるんだから。それ防御力絶対に減ってるじゃん。

「まーな。でもなんでわざわざ布地を減らして防御力を下げたの? ハンデ?」

 その答え返ってこず。ジト目でただため息をついて「いきますよ」と一言告げられて終わった。

 俺には答えが返ってくるまで質問し続けるくせに、どんだけ自己中なんだよ。

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