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第四章

フィーバー

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「やっと戻ってきたな」

「そうですね」

 復習も取り入れながら63階まで戻ってきた。
 その為、初めて来るときとは気持ちが落ち着いているので、周りに目を向けるだけの余裕は出来たことは素晴らしいと思う。

「さてと。念のため、マイコに関わる物も探しながら進むか」

「でも、この階層はタカさん達が探したんじゃないですか?」

 何を今さらと言わんばかりの顔で見るなよ。


「たしかに言いたいことはわかるよ。でもな~⋯⋯」

「何かあるんですか?」

 多分ある。そんな空気がぷんぷんする。

「多分だけど、普通ではわからない何かを残してると思うんだよね。マイコという人が俺の想像通りの人なら⋯⋯」

「んん?なんでそう思うんですか?」

 全く分からないのだろう。ユキは不思議な顔で俺を見てくる。
 仕方ない。教えてやろう。

 人差し指をピンと天井を差し、しっかりとポーズを構える。


「何故ならば、カッコイイからだ!」

「キモっ⋯⋯」

 何でもかんでもキモいと言いやがって。
 カッコよさを説明しなければ、分からないのだろうか?仕方ないやつだ。

「いや、キモくはねーよ。バレないようにダンジョンに何かを隠すっていうのはだな⋯⋯」

「いえ。キモいのはヒデさんのポーズですよ」


 うっわ⋯⋯フィーバーといえばこのポーズなのに。
 ワールドジェネレーションなのか。
 まぁ、異世界がワールドで良いのかは、俺の英語力じゃわからんけど。

「で、何でまだ何かあると思うんですか?」

 おっ、ポーズはスルーですか?

「いや、ダンジョンで未知なる物を見つける事にロマンがあるように。ダンジョンに隠す事にもロマンがあるんだよ。『コレを見つけるとはやるではないか!』みたいなね」

「なんですかそれ?」

 やはりわからないか。その楽しみがあるからゲームクリエイターがいると思っているのは俺だけじゃないはず。

「まぁ、あっちの世界の話しだからわからなくても仕方ないかもな」

 そんなわけで、同じ異世界人だからわかる物があると考えて行動しようと思った今日オノゴロ島である⋯⋯
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