91 / 96
第五章
わかったこと
しおりを挟む
「ねぇ! 大丈夫ですか!」
「⋯⋯あ、あぁ」
ユキに肩を大きく揺すぶられて、正気になんとか戻った。過去の記憶が衝撃過ぎて、整理は出来ては出来ていないが⋯⋯
「どうしたんですか? 読みってなんなんですか?」
「あぁ、横書きの最初の文字だけを縦に読むと、違う文字が出てくるっていう⋯⋯俺のいた世界ではよくある暗号みたいなものだよ」
ネット生活から随分と離れていた為、全く気づかなかった。というか、普通気づかないだろ。
「⋯⋯今回はアイテムがあったからヒデさんに直接分かるようにしたって事ですかね。ちなみになんて書いてあったんですか?」
「⋯⋯そうかもしれない。書いてあったのはハシマタカコが私。⋯⋯つまり、マイコは偽名でハシマタカコが本名って事だ」
理解が追い付かず、黙ってしまった俺にギアさんが、
「なんでわざわざ偽名を?」
「じゃあ、君はマイコさんと知り合いって事なのかい?」
「あたなはどういう関係だったの?」
三人から矢継ぎ早に質問が飛んでくる。そりゃ俺だけじゃないよな。この展開に頭がついていかないのは⋯⋯
「ふ~⋯⋯。何でかはわかりません。多分その理由も手紙に書いてあると思いますが、先に俺とタカコさんの関係を話しても良いですか?」
目線を皆の方に向けると、全員が頷いてくれた。
「じゃあ話しますね。俺が子供の頃、近所にタカコさんが住んでいて、良く遊んでくれていました。
漫画を読ませてもらったり、お菓子を買ってもらったり⋯⋯凄く面倒見の良い人だったと思います。
ある台風の日の学校帰りに、たまたま一緒になり自宅へと帰ってる最中にスリップしたトラックが俺たちに向かって来ました。俺をかばったタカコさんはトラックにひかれ、そのまま⋯⋯。なんで今の今まで忘れていたのかはわかりません⋯⋯」
全員が静かに俺の話しを聞いてくれた。話しを終えるとギアさんが、
「⋯⋯なるほどな。じゃあその理由が手紙に書いてあるかも知れねーな」
「ですね。すみません。途中で⋯⋯。続き読みますね」
「あぁ、頼む」
そういって、拾ってくれてた手紙をギアさんから受け取り、手紙に目を向ける。
『前回の手紙をたて読みしたらわかるかな。最初の疑問は、なぜ私を忘れてしまっていたのか? だと思う。それは、ヒデ君が悲しまないようにする為だった。
死んでしまった私は、私の事を忘れてくれ! と、願いその代償に私はこの世界へと転生した。転生の加護としてステータスを手入れ、三人の仲間と共に塔の最上階を目指したんだ。私の勝手でこれ以上巻き込みたくは無かったので途中で別れたんだがね。
さて、そうするとじゃあなぜヒデ君がこの世界に転移したかと言えば、私が望んだからだ。今度は私を助けて欲しい、私の勝手だ。すまないと思っている。
本当は、異世界に来た人は来る前にステータスの説明があるはずなんだけど、無理矢理止めた。
何も無いところからスタートしなきゃきっと無理だから⋯⋯。
この手紙を読んでいる時に、私はこの世界でも死んでしまっているかもしれないし、違うかもしれない。
このまま進めば近いうちに百階に到達するだろう。その前に知っていて欲しかったんだ。仲間は死なせたくない。でも私が助けたヒデ君なら。許してくれとは言わない。私は強くない。もうわからないんだ。私を助けてくれ。
ps.偽名を使ったのはカッコイイと思ったからだ。私の名前のアナグラムだ。iは余ったので私だ。と、勝手に決めた。』
⋯。
⋯⋯。
⋯⋯⋯。
読み終えて誰も言葉を発しなかった。ただ静かに、心配そうに、皆が俺を見ている。
「勝手だなんて思っていませんよ。元は無かった命ですし、転移した理由もやっとわかりました。そんなことより、これで恩返しが出来ます!」
「大丈夫ですか?」
なおもユキは心配そうに俺を見てくる。
「あぁ、大丈夫! これで不安も疑問も無くなった。やることもわかった。助け方を書いてないからわからんないけど、それも百階にたどり着けばわかるだろ」
「だな!俺達を置いていくなんて言うなよ」
そう言いながら首に腕を回しながら、ギアさんが言ってくる。
「もちろんですよ! 俺はマイコのように優しくは無いですからね」
冗談でも首を締める力を強めるのは止めてほしかったが、暗かった空気が代わり、明るさを取り戻した。アナグラムは何言ってるかわからないのでスルーした⋯⋯
あの時の頭痛は無理矢理止めた代償だったんだろうな。
待ってろよ! 随分と待たせてしまったけど、今助けに行くからな!!
「⋯⋯あ、あぁ」
ユキに肩を大きく揺すぶられて、正気になんとか戻った。過去の記憶が衝撃過ぎて、整理は出来ては出来ていないが⋯⋯
「どうしたんですか? 読みってなんなんですか?」
「あぁ、横書きの最初の文字だけを縦に読むと、違う文字が出てくるっていう⋯⋯俺のいた世界ではよくある暗号みたいなものだよ」
ネット生活から随分と離れていた為、全く気づかなかった。というか、普通気づかないだろ。
「⋯⋯今回はアイテムがあったからヒデさんに直接分かるようにしたって事ですかね。ちなみになんて書いてあったんですか?」
「⋯⋯そうかもしれない。書いてあったのはハシマタカコが私。⋯⋯つまり、マイコは偽名でハシマタカコが本名って事だ」
理解が追い付かず、黙ってしまった俺にギアさんが、
「なんでわざわざ偽名を?」
「じゃあ、君はマイコさんと知り合いって事なのかい?」
「あたなはどういう関係だったの?」
三人から矢継ぎ早に質問が飛んでくる。そりゃ俺だけじゃないよな。この展開に頭がついていかないのは⋯⋯
「ふ~⋯⋯。何でかはわかりません。多分その理由も手紙に書いてあると思いますが、先に俺とタカコさんの関係を話しても良いですか?」
目線を皆の方に向けると、全員が頷いてくれた。
「じゃあ話しますね。俺が子供の頃、近所にタカコさんが住んでいて、良く遊んでくれていました。
漫画を読ませてもらったり、お菓子を買ってもらったり⋯⋯凄く面倒見の良い人だったと思います。
ある台風の日の学校帰りに、たまたま一緒になり自宅へと帰ってる最中にスリップしたトラックが俺たちに向かって来ました。俺をかばったタカコさんはトラックにひかれ、そのまま⋯⋯。なんで今の今まで忘れていたのかはわかりません⋯⋯」
全員が静かに俺の話しを聞いてくれた。話しを終えるとギアさんが、
「⋯⋯なるほどな。じゃあその理由が手紙に書いてあるかも知れねーな」
「ですね。すみません。途中で⋯⋯。続き読みますね」
「あぁ、頼む」
そういって、拾ってくれてた手紙をギアさんから受け取り、手紙に目を向ける。
『前回の手紙をたて読みしたらわかるかな。最初の疑問は、なぜ私を忘れてしまっていたのか? だと思う。それは、ヒデ君が悲しまないようにする為だった。
死んでしまった私は、私の事を忘れてくれ! と、願いその代償に私はこの世界へと転生した。転生の加護としてステータスを手入れ、三人の仲間と共に塔の最上階を目指したんだ。私の勝手でこれ以上巻き込みたくは無かったので途中で別れたんだがね。
さて、そうするとじゃあなぜヒデ君がこの世界に転移したかと言えば、私が望んだからだ。今度は私を助けて欲しい、私の勝手だ。すまないと思っている。
本当は、異世界に来た人は来る前にステータスの説明があるはずなんだけど、無理矢理止めた。
何も無いところからスタートしなきゃきっと無理だから⋯⋯。
この手紙を読んでいる時に、私はこの世界でも死んでしまっているかもしれないし、違うかもしれない。
このまま進めば近いうちに百階に到達するだろう。その前に知っていて欲しかったんだ。仲間は死なせたくない。でも私が助けたヒデ君なら。許してくれとは言わない。私は強くない。もうわからないんだ。私を助けてくれ。
ps.偽名を使ったのはカッコイイと思ったからだ。私の名前のアナグラムだ。iは余ったので私だ。と、勝手に決めた。』
⋯。
⋯⋯。
⋯⋯⋯。
読み終えて誰も言葉を発しなかった。ただ静かに、心配そうに、皆が俺を見ている。
「勝手だなんて思っていませんよ。元は無かった命ですし、転移した理由もやっとわかりました。そんなことより、これで恩返しが出来ます!」
「大丈夫ですか?」
なおもユキは心配そうに俺を見てくる。
「あぁ、大丈夫! これで不安も疑問も無くなった。やることもわかった。助け方を書いてないからわからんないけど、それも百階にたどり着けばわかるだろ」
「だな!俺達を置いていくなんて言うなよ」
そう言いながら首に腕を回しながら、ギアさんが言ってくる。
「もちろんですよ! 俺はマイコのように優しくは無いですからね」
冗談でも首を締める力を強めるのは止めてほしかったが、暗かった空気が代わり、明るさを取り戻した。アナグラムは何言ってるかわからないのでスルーした⋯⋯
あの時の頭痛は無理矢理止めた代償だったんだろうな。
待ってろよ! 随分と待たせてしまったけど、今助けに行くからな!!
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる