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第二話 先輩ワンコの沽券
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神に今朝の悪行を懺悔しながらぐるぐると逃げ道を探していると、握られた急所をやんわりと揉まれ、吐き出そうとした四の五のが喉のあたりでひっかかった。
俺を黙らせる口説き文句を持っている三初の手を、引き剥がすことも出来ない。
三初がやると言えばやるだろう。そういう男で、事実いろいろ前科もある。
ぎゅうっと三初の腕のシャツを掴む手の握りだけを強くして、むくむくとまた湧き上がってきた微弱な快感に、為す術もなく震えた。
為す術はないけれど、それでもまたあんな風にコイツに抱かれるのは嫌だ。
好き好んで犯されたいわけないだろう。
だってあれ、凄く痛い。プライド的に。
後半は置いておいても前半は腹が立ったし、なによりもなんかコイツに押さえ込まれてるってのが嫌だ。
あの時は不意打ちだっただけで、普通にしてればそうそう力で負けることなんかアリはしねぇ……!
「い、い加減に、しろよ……! ココア二杯ぐらいで……ッ! 男の俺がそう何度もヤられてたまるかッ……!」
「ココア?」
「ふ……ッ、とにかく離せッ」
いくら三初がうまかろうがさっき出したばかりでオカズもなにもないのに、簡単に勃起するわけもない。
ふわふわとした心地よさだけが股間を襲う不快感に、余裕のある俺は貞操を諦めきれず、口だけで抵抗を試みる。
怒声ならまだしも変な声が外へ響くと死にたくなるので声を潜めつつ、しっかりと反抗した。
言っとくけどな、俺は泣き寝入り的なネガティブ思考はほとんど持ち合わせちゃいないぞ。脅されたからって完全に従順になると思ったら大間違いだ。
エロにも比較的オープン。
正直よかったなら、ある程度許容して楽しむ甲斐性もある。
だがここまで断固拒否すんのは、抱かれるのが良いか悪いかじゃねぇ。──コイツだから、嫌なんだッ!
「はー、なんでそんな拒否すんだか……。仕方ない、ワガママな先輩にチャンスをあげましょう」
「チャンスゥ?」
顎を掴んでいた手が頬をなでる。
三初は一瞬目線をうろつかせて呆れたような、頭が痛いような顔をした。
「今一回だけセックスして、先にイッたほうが負け。俺が負けたら全てデータは消してやります。先輩が負けたら俺の……オモチャで。俺はハンデとしてあんたのコレは触らない。余裕でしょ?」
「ぅっ、いやオモチャってなんだよ……!? 嫌だ! 先々されそうなことの範囲広すぎるわッ」
声を潜めながらも頑なに頷かない。
オモチャになるってどういうことだ。普段から結構それらしく遊ばれているが、それじゃあ足りないってことか? あ?
すると三初が馬鹿にしたように鼻で笑い、厭味ったらしく目を細めた。
「へぇ、嫌なの? ふーん。でも先輩、後ろにハマってないんですよねぇ……」
「は?」
「じゃあ絶対負けないはずなのにそんなに嫌がってるとか……本当は抱かれたらイッちゃうくらいどハマりしてるから自信ないんじゃないんですかぁ?」
「──んなわけあるか上等だッ受けて立ってやるッ! さっさとヤれや下手くそ粗チンテクなし野郎ッ」
「うわぁ……マジでチョロいわこの人……」
その三初の見下した言い方が気に食わなくて、俺は青筋立てながら反射的に同意。
三初が頭を抱えてため息を吐いたが、勢いで勝負に食いつく負けず嫌いの俺には、三初が呟いた内容が全く聞こえていなかった。
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