35 / 454
第二話 先輩ワンコの沽券
19
しおりを挟む◇ ◇ ◇
「ちょっと、なに感じてるんですか。もう勃起しないでくださいよ? いい加減戻らないと俺は余裕だけどあんた仕事終わんねぇよ?」
「っせぇな、誰のせいでこんなことになって、ん、っは……っ」
「あー……ゴム持ち歩いてないんでうっかり。あと先輩が中に出せってうるさ「あぁぁあ黙れッ!」マジでうるさいわ……声ガッサガサだし」
足を持ち上げられ中に指を突っ込まれ、奥に溜まった精液を掻き出される。
──結局。
我慢しきれなくて開き直り、泥沼に溺れた俺は、現在しっかりと抱かれ、三初の首に腕を回してしがみつきながらせめてもの責任として後処理をされていた。
今度は気絶しなかったが喉が終わってる。あと尻と関節がギシギシしてる。帰りたい。切実に。
チャプ、と残滓が掻き出され水面に波打つ音を響かせながら、俺は大人しく処理が終わるのを待つ。……仕方ねぇだろ、負けたし。つーかアレ流されたら困るしよ。そういうことだ。
中を指で掻き回されるとまた勃ちそうになるが、流石に何度か出しているのでそうはならなかった。
というか昼休憩のリミットから二十分も遅刻しているのがやばい。
なにがって俺の仕事の進捗だ。
「はっ……あー……昨日の企画通ったら、提携してるスーパーの、っ、ン……ポイントカード会員情報洗って、客層全店リスト、出させねーと……」
「俺が確認して仕上げたからたぶん通りますよ。開発部がヒィヒィ言いながら作った新商品のオープニングね……そのリスト、会員だけじゃなくて非会員の顧客も週一ランダム曜日集計させてデータ化してあるんで、あとで送ります」
「んなっ、んだよソレ。っ、ん」
「あの高級志向のマーケット、うちと自社ブランド食品の製造関係で共同してるでしょ? 取引の頻度高いんでもう関連データだけ共有してもらおうと思いましてね。半年前に提携した時に向こうの人と話し合いして、商品パターンに合わせて販売シュミレーションできるように、各項目細かく種別に分けさせたんですよ。もちろん手間のかからないようにある程度は自動でデータ化されますんで問題なし。で、そのデータはうちのシステムからでもアクセスできる共有クラウドに自動保存。お好みのデータをピックアップしてリスト化できるから……ま、半時間でまとめて資料にして、あと半時間で進行ミーティング用のシュミレーション結果スライド作成イケるな……課長が企画ポシャらせても三分で覆せるし……よし、今日中に企画スケジュール素案組んで定時帰宅。あ、先輩は商品資料まとめて制作会社のCMプランナーに話つけといてくださいね」
「わかってたけどテメェマジでムカつくぐらい準備いいなコノヤロウ」
「作業効率と速度向上。あのシステムは他の提携マーケットにも導入したし企画部全体が市販の販売ターゲット絞りやすくなったんで、うちの部長は俺にあんま強く言えないんですよ。……はい、おわり」
「ぁッ」
にゅる、と中から指が抜かれ、ピク、と体が震えた。
湿った陰部をトイレットペーパーで赤ん坊のように拭われ、ようやく服装を整える。
拭われてる間は三初の毛根引きちぎる勢いで髪の毛掴んでたケドな。死にたい。
硬い便座の上で腰が折れるんじゃないかってくらい体丸めたり反らせたりと無茶をしたので、もの凄く腰が痛かった。
俺はよろよろと個室から出て、酷い二日酔いを患った朝のような表情で手を洗う。
三初はそんな俺をにんまりと機嫌よく見つめ、なぜか同じ洗面で手を洗う。
邪魔だと言うが、べっと小馬鹿にしたように舌を出された。
「テメェは普通に俺と接することができねぇのかオイ」
「滅茶苦茶普通でしょ。これがまぁ、俺の素? 素じゃなくていいなら、しゃーなしキャラエッグ十個で一日だけ他社と企画すり合わせてる時みたいにしますけど」
「一日だけかよ! いらねぇわアホ!」
「イ゛ッ……!」
ガンッと三初の靴を踏みつけ腰を庇って猫背になりながら、俺は顔を赤くしつつトイレを後にする。もちろん怒りの赤面だ。当然。
ずっと素面の三初だったのに今更他みたいに仮面かぶられたって、胸糞悪いだけだ。
それなら今まで通りのがマシだろ。
またキャラエッグなんて子どもの菓子買いに行って笑われるのもムカつくし、はぁ……仕方ねぇな、馬鹿野郎。
ため息を吐いて、ガシガシと自分の髪を乱暴に掻き回す。
「昨今デリケートなパワハラ問題ですかね」
「おうおう裁判なら受けて立つぜセクハラ大魔王がッ」
顔が怖くて不器用な俺がどれだけ口悪く全力で突っぱねても、この馬鹿野郎は俺にちょっかいを出しに来るのだ。
第二話 了
41
あなたにおすすめの小説
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
今度こそ、どんな診療が俺を 待っているのか
相馬昴
BL
強靭な肉体を持つ男・相馬昴は、診療台の上で運命に翻弄されていく。
相手は、年下の執着攻め——そして、彼一人では終わらない。
ガチムチ受け×年下×複数攻めという禁断の関係が、徐々に相馬の本能を暴いていく。
雄の香りと快楽に塗れながら、男たちの欲望の的となる彼の身体。
その結末は、甘美な支配か、それとも——
背徳的な医師×患者、欲と心理が交錯する濃密BL長編!
https://ci-en.dlsite.com/creator/30033/article/1422322
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる