誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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第五話 冬暴君とあれやそれ

14※



 馬鹿にされると思ったのに、三初は笑みを漏らして小さくなにかを呟き、なぜか俺に覆いかぶさって汗で湿った額にキスをした。

 ずるい男だ。
 そんな舌打ちとさして変わらないリップ音一つで、俺の反抗思考が溶け消える。

 散々追い詰めて追い詰めて冷たく虐めたくせに、〝よくできました〟と褒めるようにキスをされると、全部許してしまう。

 そうやって甘い気分になってしまうほど眉間にシワの寄った不機嫌な表情をしてしまう俺は、頭の横に添えられる三初の腕に額を擦り付け、「早く、欲しい」と重ねて強請った。

 こぼしたついでに強請ってやるよ。素面じゃやんねぇ。
 欲望に負けて、あとはまぁ、惚れた弱みってやつで。俺は負けてばかりで悔しい。

 ねっとりとローションを垂らして呼吸する後孔に待ちわびた先端があてがわれ、熱棒が肉をぐっと押し開いていく。


「ふ、……っぁ、……っ…ん……」


 それだけで酷く心臓がドクンドクンとうるさく鼓動し、腰の辺りが痺れて、期待で呼吸が荒くなった。

 ……チクショウ。

 薬や時間で嬲られていたとは言え、触れただけで中がうねるような救いようのない体にされて、この先本気で俺はどうなってしまうのか。後戻りできない時、たまにそう思う。

 三初は俺を手遅れに弄んで、そして最後はどうするのだろう。

 ヌルルル、と自分の中に突き込んでくるモノを奥に誘い、強く食い締めて逃がさないよう襞を絡ませる。


「は……っん、……ん」

「っと」


 漠然とした不安が突然胸を過り、俺は抱えていた自分の足を離して、空いた腕を三初の背へ引っ掛ける程度に回した。

 ちょうど狭い器官に長大な怒張が根元まで埋め込まれ、ピタリと肌が合わさる。

 三初が一瞬息を詰めた気がするが、すぐに俺の顔を覗き込むべく体を起こそうとしたため、それを阻止しようと俺は両足を三初の腰に絡ませて捕まえた。


「は……なに、そんなに我慢できなかったの? こういうのは、あんたにしては珍しいですね」

「ンッ……早く、動け……御託ばっか、やかましいんだよ、クソッ……」

「ありゃ、なんかキレてます?」

「知るか……っ俺は、あ、どうせ、変態だから、あっ……く、ん……んっ……あ……」


 乱暴に犯してほしい衝動のまま、開き直ったような不貞腐れたような気分で急かす。


「変態だから、はしたないって?」

「頭、溶けそう、なんだよ、っ……ん…はっ……」


 焦らされて媚薬に煽られたせいか、夢と現実の境目がユラリとぼやけた。

 俺は変態だから抱かれたがって、変態だからお前が好きで、変態だからこんな無様な姿を晒しながら腹の中を擦られて喜ぶわけだ。

 フラれた時のリスクが俺にだけありすぎるこの関係をさっさと精算しなければいけないのに、わかっていても、俺はもっとと続きを求めずにはいられない。

 とどのつまり俺は馬鹿で、快楽に溺れやすい変態で、だから、別に、三初に責任取れと言う気はないってこと。

 俺ばっかりが体を変えられてあと戻りできない感覚を刻まれて、それで三初はいつでも俺から手を引けるアンフェアな関係でも、別にもういちいち嘆いたりしねぇってこと。


「ぁ、おっ……お前なんか、嫌いだ、んっ……は、ぅ……っ」


 わざと繰り返される軽い抽挿に焦れて自分からゆるゆると腰を動かしながら甘く喘ぐ口で毒づいても、ちっとも格好がつかないことは、もちろんわかりきっていた。

 肉棒に絡みつく淫靡な肉襞が収縮し、腰を振るたびにパチュッ、と粘ついた音が鳴る。
 奥をノックされると硬く勃起した屹立から先走りが糸を引き、根元の茂みをしとどに濡らした。




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