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第五話 冬暴君とあれやそれ
15※
しおりを挟む小刻みで遅い突き上げを繰り返し俺の声から中身の様子を伺う三初は、ゆっくりねっとりと律動しつつ、ふむ、と勝手に納得する。
「なぁんか、拗ねてんのね」
「あッン、ッあ、ひ……ッ」
不意にズルッ、と抜けるギリギリまで引き抜かれたかと思えば思い切り根元まで突き刺され、なにかに縋りたくてつい回していた腕の力をぎゅう、と強めてしまった。
ほざくな。拗ねてなんかない。
大人の対応で割り切っているのだ。
「あっ、奥……っ! あっ…ぁあ……っ」
心の中ではいくらでも素知らぬ顔をできたが、現実の体はようやく熟れた粘膜を激しく擦られる快楽に媚び、低く甘ったるい声をあげて悦んでしまう。
逃げる気なんかないくせに突き上げに合わせて頭が伸び上がり、喉が仰け反る。
屹立の先端から絶頂寸前の濃厚な汁がビュク、と溢れてとめどない。呻きに似た声で途切れ途切れに喘ぐ。イク。すぐイク。
我が物顔で出入りするモノが押しつけるように腹側の襞を擦り上げた。
それが前立腺を押しつぶした途端、腰が疼き中が縮こまる収縮と解放を感じ、我慢しただけ簡単に精を吐き出す。
張り詰めた屹立からゴプッ、と白濁液が迸り、ダラダラと重力に従って滴り落ちる。自分の精液で自分の腹を汚すマヌケだ。
けれどそれだけじゃ終わらない。
満足できない。もっと欲しい。
小刻みに奥を小突かれるだけで、しなった陰茎が簡単に頭をもたげる。
どうにでもなれと投げやりな気分で理性を捨てて、俺がイったことに気づいているくせに止めない男に縋りついた。
「気持ち、なか、すげぇ挿って、っんぅ、ん、く……っ」
「イイ? 嫌いな俺にこうやって奥突かれて気持ちいんですか、っふ、先輩、俺でイイ? 」
「いい……っぁ、っそこい、いい……っ」
「は、絡み方えっぐい、そんなに擦られんの気持ちいいいのね……でもまだ、拗ねてんだ」
「はぁっ……ぁあ……っ」
目の奥がチカチカと点滅する。
トロけた肉壁を乱暴に拡げられて、頭がどうにかなってしまいそうだ。
呆れ混じりの三初の言っていることはわかるが、なにも言いたくないし今の俺にはまともな言葉は吐けないので、俺は三初のシャツに噛みついて自分で腰を動かす。もっと深く入ってこいと押しつける。
ギュゥ……ッ、と中のモノを絞ると、耳元で色のついた吐息が漏れた気がした。
「っん、んん……ッ」
それが仕返しができたようで嬉しくて、もっともっとと自分から体を揺する。
ゴツンッ、ゴツンッ、と串刺しにするような長いストロークに合わせて穴を開き、窄め、ローションごと体液をかき混ぜられる膨満感に耐える。
不本意ながら教えこまれた尻の使い方で、しっかり犯人に報復。
自業自得だぜ。オラ、もっと来いよ。
「はぁ、……アンタと一緒で俺、ずっと我慢してるんですから、加減してくださいよ。あんま持たねー……っこの、色情魔」
「んッ…ぅ、うっせ、ぇ……っあ、うぅひ、っ…んぁ、あっ、ぁっ……!」
チュク、とシャツに噛みついて舐めて吸って、素肌に甘えられない代わりに布地を濡らした。
三初は口調や行為は乱暴になっていっても、そんな意味のわからない俺の愛撫を止めようとはしない。
車の窓ガラスは熱気で曇り、カーナビの青い照明しかない車内は、外からは全く見えないだろう。
長く強いられた我慢を発散させるように求め続けると、限界が近いらしい三初は、はしたなく濡れそぼる俺の肉棒を扱きながら耳朶にガリッ、と歯を立てた。
「痛、っひ、あっぐ……っ」
「今日ね、ゴム着けてないんですけど、なんかもうアレなんで、このまま出していいですか? んで絶対中身漏らさないように、意識して帰ってくれます?」
「なん、っ嫌、だ、嫌に決ま、てっ」
「じゃあ先輩がデキたら、責任取りますから。それならいいでしょ。いいですよね? でないとやってらんなくて、あんたの耳、噛みちぎっちゃいそう……」
「っ」
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