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第五話 冬暴君とあれやそれ
61※
「いっ、言ったのにっな、なんで叩、ぁっ、やめろ、やめ……っ!」
「そ? じゃあ言ったからやめたけどまた始めたってことで。あんたのやめてはもっと、ですしね」
「違っ……! 変になるからもう嫌っ、っぁ、ひん゛っ……!」
嫌だと言い切る言葉を切るようにバチンッ! と一際強く尻を叩かれ、一瞬目の前が真っ黒に弾けてグラつく。
それから腰が釣られた魚のように波を作って大きく痙攣し、赤黒く膨れた性器から色の薄い精がビュプ、ゴプッ、とこぼれ落ちた。
カサついた唇から「ぇぁ……っふ……ぁ…っ……っ」というなんの意味もない喘ぎ声が逃げる。
またイッた。
快感と連動させられたおかげで、俺はまた出してしまった。
それもスパンキングで、だ。最低だ。死にたい。もう嫌だ。もうごめんだ。俺の知らないやり方ばかり。
喘ぎすぎて枯れてきた喉が悲壮感を醸し出してわなないた頃、ビクンと一際大きく脈動するモノが弾け、絶頂の余韻を引きずり蠢動する腹の奥へようやく吐精される。
「っぅ……アホ、奥すぎる……クソガキ……ん……っ、ぁ……」
ドクッドクンと撒かれる他人の体液を感じて、これを掻き出す手間を思いやるせない怒りのようななにかが湧き出し、鏡の中の俺が眉根を寄せて目元に薄い膜をはった。
熱い。中も外も火傷しそうだ。
男だから中に出されようがどうでもいいが、そういう問題じゃない。
オモチャは取りに行くくせにゴムは手元になければ探しもしない男はクソだと思うけれど、やはりそれが一番でもない。
嫌だというわけじゃない。それが一番ムカつく問題だ。
頭の中がぼんやりとして、開きっぱなしの口元から覗く舌がヒク、と震えた。
髪を掴む手が開くと、俺の体はあっさりドサッとシーツの上に頭から突っ込んで沈む。
「は……く、ん……」
どうにか起き上がろうと手を動かしたが、足首と繋がれた鎖がジャラ、と音をたてるだけだ。
中に入っていたものがヌルル……と引き抜かれる。
長時間いたぶられていた秘部がすっかり捲くれ上がり、赤い粘膜を覗かせながらヒクン、ヒクンと収縮を繰り返す。
奥に注がれたものが蠕動する襞に誘われて降りてきた気がして、キュウ、と反射的に口を引き締めた。
──……やっと終わった……。
長ぇんだよ、この性悪猫野郎。
カチャン、と拘束具が外され、仰向けに転がされる。
もう一回たりとも出せない。
宣言通りしつこい責めで、根っこから全部搾り取られた。
「ヒッ、冷て……な、に……?」
「冷感ローション。枷、痛かったですか? 縄とか鉄製だと多少痕になるんでちゃんと内側に緩衝材ついてるやつ選んだんですけど、先輩すぐ暴れるんで」
「んぁ……ん……」
久方ぶりに解放された手足を、冷感ローションのまぶされた手がヌルヌルと滑って、関節を解すようにマッサージしていく。
筋肉が固まって軋んでいたが、擦れて痛いなんてことはなかった。
一応そうならないようなものを選んで使ったらしいことをぼやけた頭でどうにか理解して、コク、と緩慢に頷く。
いやまあそもそも使うこと自体おかしいから、優しさのベクトルは間違ってんだろ。
ついでに縄と鉄製の拘束具の使用経験があるような口ぶりにも、若干の恐怖とほんの僅かなモヤが沸いた。
普段からよく身の回りのもので突発的にあちこち縛られるが、俺はそれらを使われたことがない。
つまり過去の恋人との経験談だということになる。
悔し泣きやら男泣きやらを我慢したせいで充血した目が、また少し機嫌を悪くして自分に触れる三初を追いかけた。
「ん、……あ、っく……」
「ふ、爪痕に染みたか。まー猫は引っ掻く生き物ですしね」
「はっ、噛み痕も、だ……ドラ、猫……」
「にゃん?」
「ンん……」
グッ、と両足の膝が顔のそばにくるくらい尻を上げさせられ、無毛の股間が目の前に見えて嫌になる。
赤く腫れてヌメった窄まりを見せつけるような体勢も、からかい混じりに鳴かれることも、いちいち恥ずかしくて死にたくなった。
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