211 / 454
第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です
05(side竹本)
「ま、話術、ですかねぇ……」
「別名減らず口か」
「概ね正解? だから先輩は絶対ミーティングで口うるさいの黙らせてきてくださいよ。俺はミーティング終わるまでサバンナ作ろ」
「誰に言ってんだ、あぁ? テメェは今からサバンナでライオンの餌になってこいッ!」
「またまた。ジョーダンでしょ? 俺がサバンナにでも飛んでいなくなったら、寂しくて泣いちゃうくせに」
「誰が泣くか誰がッ! あといい加減、て、手ェ離せよッ。んで避けろッ」
「やです。避ける気分じゃない」
「避けたくなるまで殴っていいか? ア?」
カタカタしながら隣から聞こえるいつも通りのやりとりに耳を傾け、謎の二人の関係性に疑問を抱く。
ま、年が明けてもこの二人は変わんねーな。通常運転だよな。うん。
なんとなく隣をチラ見すると、いつの間にやら二人は相変わらずの様子で顔を突き合せて睨み合っていた。
……いや、なんか顔近くね?
鼻と鼻が触れ合いそうなくらいの距離感でぶつくさと言い合う二人。口喧嘩であの距離感。
イチョウ倶楽部なら絶対仲直りキスしてる。
「もういいからさっさと避けろマジでッ! 仕事できねぇだろうが!」
「んー……よし。御割犬、オスワリ」
「オイコラ誰が膝に座らせろっつったんだよ。あと犬じゃねぇって何回言ったらわかンだこのゴーイングマイウェイ野郎!」
会話の流れで三初がなにを思ったかポンポンと自分の膝を叩くと、御割は当然中指を立てて拒否した。
そりゃあそうなるよな。
なにも解決してねぇもん。
御割を膝に乗せたまま工作して遊ぶ三初を隣に、俺は真顔で仕事できる気がしない。
近くのデスクの同僚も一瞬振り向いて、すぐに見なかったことにしている。わかる。気持ちすっげーわかる。
「あー、じゃあ膝枕してくれたら避けます。ゲームしよ」
その瞬間、ガンッ! と非常に痛そうな音が鳴る。
おいやめろよ。
突拍子なく本気か分からない冗談言うから、あっちでアンケート纏めてた山本が引き出しの角で脛を強打したじゃんか。
「膝枕もジオラマ作成もゲームも仕事中やることじゃないだろ。頭大丈夫か、社会人」
「日本に足りないのは遊び心ですよね」
「お前に足りないのは人間性だこの社会不適合者」
そんで御割はそれにツッコミいれないのかよ。
ゲームと一括りにする話じゃないだろ。
冗談と本気の境界線がわかりにくい三初に人間性が足りてないのはわかったが、御割は御割で妙にズレている。
おかげで俺はタイプミスをして、そそくさとデリートキーをカチカチ。
「俺今日の仕事終わってますし。帰る前に日報書くだけですし。先輩から任された仕事も全部終わってますがなにか」
俺を筆頭に周囲に驚愕を撒き散らしているとわかっているのかいないのか。
三初はしれっとした様子で仕事を終わらせたのだから、余った時間を自分のために使ってなにが悪い? と訴える。
御割は「じゃあ大人しくデスクに座ってスパイダソリティアでもやってろよ。俺を巻き込むな」と断固突っぱねた。
うん。それもズレてるよな。
普通は周囲の評価を気にしてしまうので、仕事探してやるか、人の手伝うのではなかろうか。
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。